2・夢じゃない

もしも壊れた時計のように時が動かなかったらどんなに良いだろ。
ブリーズ。どう思う?
・・・頬が痛くない。これは夢なのか?
ブリーズ。なんで俺の夢にいる?なんでおまえをさわれる?
・・・もう一人いたのか?

The cold breeze

俺は残り一日の朝に息吹を訪ねた。
息吹は相変わらず目が見えないままだ。
しかし、そんな事も明日にはもう終わる。
きっと俺のイメージもこれで終わる・・・・・・。

息吹の俺はこの俺よりもイメージが良いのだろうか?
もしそうだとしたら、息吹にとって目が見えないよりも絶望だ。
イメージほど人間を幸せにする物はないんだ。
そんなことをいつか教えてもらったような気がしたから。

「真さん・・・。いよいよだね・・・。」
「あぁ、そうだな。」
「ねぇ真さん。チャオの奇跡の話って知ってる?」
「へぇ、どんな話?聞かせてくれよ。」
「チャオはね。純粋だから、真実を夢で見せてくれるの。
 そうやって、人を純粋にさせていくの。
 でもね、それは一部の人とチャオがパートナーになるとき。
 もしかしたらブリーズと真さんも・・・なんてね。」

俺はそんなことあり得ないと笑い飛ばした。
こんな杞憂な考えしかできない俺がそんなブリーズとなんて。
そして、いつものように話をし始めた。

それにしても、俺は一つだけ前から思っていた。
なんで、息吹は俺が来ると俺だって分かるんだろうか?
いつか、俺にあったことでもあったっけ?
確かに、ブリーズになら会ったことがあるが・・・。

3年前の朝。
今日とにている、だんだんと寒くなってくる時期だった。
俺は迷子のチャオと出くわした。
俺はその日限り、かわいそうだと思って其奴を止めた。
次の日には警察に届けて見つかったらしいが。

「・・・今日、いよいよだな。がんばれよ。」
「うん、がんばるよ・・・じゃ、最後にブリーズ泊めてね。」
「あ・・・あぁ。」

俺は息吹が思っていない最後と言う言葉を重く受け止めた。
最後か。最後・・・。
俺の中に起こってはならない感情が重くつらくのしかかった。
俺は言ってしまった。

「そうだよ、どうせ最後だよ。」
「え?何?何を言い出すの?」
「どうせ、俺の顔みて別れるつもりだろ?別に良いどうせ最後。」
「え・・・そんなつもりじゃぁ・・・。」
「うるさいな。もう良いよ。おまえの目はどうせ見えるさ。
 それで終わりだ。じゃあな。」
「え・・・ちょっと、話を聞いて・・・あ・・・。」

俺は内心と反発、息吹を無視してそのまま病室を出た。
本当に、口は災いの元だな。
でも、心はすっとしたような気がした。
どうせ、どんな顔でもサヨナラって分かったからかな。

「ごめんなブリーズ。でも、こんな俺とはお別れだぞ。」

俺は下手なドラマの展開のようにしてしまった。
だけど、ドラマではない。
どうせ、俺はバッドエンド。そんなドラマはないからな。

俺は家に帰って、最後にブリーズと一緒に寝ることにした。
今日はいろいろあったからだろうか、すっと眠れた。

「・・・あれ?此処は何処だ?」

夜中だとおもったのに・・・早い朝だな。
でも・・・此処は何処なんだ?
そう、そこには白い空間が果てしなく続いている。
いや、水色の点がこっちに近づいてくる。
近づくにつれそれはチャオ・・・いやブリーズだと分かった。
 
「やっと来たチャオね。」
「あぁ。これは夢だな。」
「そう夢。でもね、この夢は夢じゃないんだよ。」
「ほぉ。ま、いいや、ところで相談があるんだが・・・。」
「言われなくても分かっているよ。だって此処は君の頭だもの。
 ・・・あ、もう一人来たね。」

そう言うとブリーズは指を指した。
俺もそっちの方向を見た。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第185号
ページ番号
2 / 3
この作品について
タイトル
The cold breeze
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第185号