3・運命の人

The worm breeze

「・・・息吹?」
「そうチャオ。僕が連れてきたの。」
「ブリーズ・・・おまえまさか・・・。」
「分かる?僕と真くんこそチャオの奇跡を起こせる、
 最高のパートナーなんだよ。」

俺はそっと近づくが、途中で壁にぶつかってしまった。
俺は思いきり叩くが全然通れない。

「何でかどうかは分かるチャオね?閉ざしているチャオよ。」
「う・・・ブリーズ。その目線はきついぞ・・・。」
「とにかくチャオ。チャオの奇跡は夢の中だけチャオ。」
「あいつが主導権を握っているのか・・・?」

チャオという動物が此処まで出来るとは思えなかった。
だが、そんなことに感嘆している場合じゃない。
俺は息吹を呼んでみた。息吹は振り向かない。

・・・・・・。

私は夢の中にいた。なんか硬直状態に私はしているみたい。
なんか、目が見えるのは一瞬振り向いたときにいたブリーズの
おかげかもしれない。チャオの奇跡がおこったのかな。

と言うことは真さんの顔も見えると言うこと。
やっと見ることが出来る。いや、でも見たくない。
見て、本当にイメージと違ったら私はこれまでの真さんを、
ぶち壊してしまうことになりかねないから。

「息吹ちゃん。早くしないと夢がさめちゃうチャオよ~。」
「なによ。ブリーズ。明日どうせ見えるんだから。」
「息吹ちゃん。一番早く見たがっていたのは息吹ちゃんじゃ?」
「まぁそれはそうだけれど。」

「ねぇ、一度だけ真さんを見たことがないの?」
「いや。一度も・・・。」
「違うチャオね。僕を捜しているときに、僕を抱いていた人を、
 じっと見ていたの覚えているチャオ。見えたチャオよ?」
「・・・あの人だったの?」

思い出すあの顔。自分の大人に近づいて初めて出てくる、
あの感情。あれが、真さんだったんだ・・・。

赤くなる息吹をニヤリと笑ってブリーズは続ける。
「そうチャオ。さぁ、チャオの奇跡はもう終わっちゃうチャオ。」

・・・・・・。

その時だった。息吹が振り返ったのだ。
俺は初めて、目線を合わせた。

息吹はちょっとばかし笑っていた。
俺もつられて笑った。ブリーズも笑っていた。
俺はブリーズを抱いて高く掲げた。

・・・やっぱり俺たち二人で良かったんだ・・・。

そう思った瞬間、時計の音がして俺は目が覚めた。
久しぶりの気分の良い目覚めだった。

俺は息吹の手術が成功したと言う知らせを聞いて、
家を出ることにした。そして、あれを渡すことにもした。

途中、宝石店にブリーズと寄った。そして例のあれをもらった。
おれはそれを持って病院へ行った。

「息吹。元気だったか?」
「えぇ・・・。昨日は最後とかいってごめん。」
「いいよいいよ。こいつのおかげでこうやって目を合わせても、
 軽く話が出来るようになったんだから。」
「・・・そうね。ところで左手に何をもっているの?」

俺はソニックチャオのブリーズをいすにおいて、それを渡した。

それは運命の人にしか渡せない、
ブリーズの形をした宝石が入っている指輪だった。 fin

このページについて
掲載号
週刊チャオ第185号
ページ番号
3 / 3
この作品について
タイトル
The cold breeze
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第185号