「9章」 121話 『予想外続きの混沌』
真実の冒険 「9章」 121話 『予想外続きの混沌 』
ーーーーーDN帝国ーーーーー
大雨が中心地の赤い高層ビル付近に急に降り注ぎ、《女神》が降臨。
秘密兵器であった《ジェノム0》が出現し次々と飛空挺を破壊。
まさに混沌としている。
そんな中、この混沌を世界へ中継している一つの飛空挺があった。
「まさに混沌とはこのことです!見たこともない姿のチャオが次々と現れています!」
中継している飛空挺はジェノム0の攻撃を現時点では受けない場所から全世界へ発信していた。
実際にこの中継を要請した人物はレジェンディアにいる政界政府長官《グローリー》である。
ーーーーーレジェンディア 会議室ーーーーー
場所は変わって、ここはレジェンディアのとある会議室。
世界を統制するチャオが存在する国だ。(8章 115、116話参照)
会議室には数多くの世界政府の役人が集まり、中継が投影されている画面を見ている。
この中にはレジェンディアの許可を得て入国した一部の国王も集結している。
「なんだこの見たことない禍々しい黒いチャオは!」
「それもそうだが、雨雲近くを飛んでいる見たことないあのチャオはなんだ!
私は長く生きているがあの高さまで飛べるチャオは知らんぞ!」
「黒いチャオはDN帝国が作成した兵器なのか??」
《ジェノム0》と《女神》を見た多くのチャオが困惑している。
そんな中、中継を見るグローリーは険しい表情をしながら側近の世界政府役員を隣へ呼び出した。
「どうしました長官」
「すまない、《手段》を施行させてくれ。準備が整い次第連絡をくれ。」
「えっ!」
思わず叫びそうになった側近だが、すぐグローリが口を覆った。
「悟られたくないんだ。早くしてくれ。」
「しょっ承知しました。」
側近はすぐさま会議室を後にする。
「(このままではDN帝国の崩壊だけでなく《世界が崩壊》させられる可能性がある。
なんとしても防がねば・・・!)」
ーーーーーDN帝国 総裁室ーーーーー
再び場所は戻って、DN帝国の中心地にそびえ立つ赤い高層ビルの最上階。
ヴォルストは女神を見るやいなや窓を叩き割るくらいに強く叩いた。
「どうして私の邪魔ばかりをするんだ!!!!」
ヴォルストはうなだれた。こんな姿を近くにいたブレインは見たことがなかった。
全ては上手くいくはずだった。ジェノム0の量産化に成功し、マスターエメラルドの製造に成功。
DN帝国の軍事力は他国とは比較にならないほど強固でもある。
その証拠に今までレジェンディアは国の保護という《名目》でDN帝国を慕っていたのだから。
しかし今となっては《DN帝国より強力》となりえる存在、そう《チャイン》がいる。
不安要素はこのチャインだけであった。
不安要素は大事なところでやってくる。まさにそれが現在の状況であるのだ。
「ブレイン!!」
鬼のような形相でブレインをヴォルストが呼びつける。
「なんでしょうヴォルスト様」
「《ジェノム0》を全て!上空にいるアイツに突撃させることは可能か?」
「かっ可能ではあります。ただし、かなり上空であるため、
あの高度が戦場となる場合はジェノム0のエネルギー量ではすぐに落ちてしまう可能性があります。」
「なるほど。」
鬼の形相ではあるが、
いたってヴォルストの頭の中は冷静である。
「つまるところ、《私の近くまで》まではおびき寄せれば戦えるってことだな。」
「その通りです。」
「そしたら1~3機はアイツにぶつけて自爆させるんだ。そうすれば攻撃体制となり私の所へくるはずだ。」
「じっ自爆させるのですかジェノム0を!!」
「私の言う通りにしろ!!アイツを叩き潰すことが最優先だ!」
「しっしかし!」
「口答えするな!!!」
ヴォルストはジェノムの首あたりをつかみ締める。
ジェノム0の生みの親は《ブレイン》である。
ブレインからしたらたまったものではない。
ただ、ヴォルストは本気である。
「わかりましたヴォルスト様、、、!すぐさまジェノム0を向かわせますので、、
てっ手を離してください!!」
ヴォルストはブレインから手を離した。
ブレインは息を吐きながら、すぐ総裁室を後にした。
ーーーーーDN帝国 上空ーーーーー
ヴォルストの言う通り、ブレインはすぐさま《女神》のところへジェノム0を突撃させた。
大雨をかい潜りながら複数のジェノム0が女神のところへ向かっていく。
今まで飛空挺を攻撃していたジェノム0も目的を変更し突入していった。
「これは《チャイン》が所持しているジェノムの姿にそっくりだな」
女神はつぶやいた。
ジェノム0の一部が女神へ突撃しにいく。
女神もジェノム0の動きに合わせて攻撃を避けていく。
今度は複数のジェノム0が女神を取り囲みながらフォーメーションを組み、攻撃していく。
逃げ場のなくなった女神は一部のジェノム0の自爆をもろに受けてしまった。
女神はジェノム0の自爆により一瞬、よろつく。
その瞬間他にいる2機のジェノム0が女神に突っ込み自爆した。
ヴォルストの命令通り、3機のジェノム0が自爆し女神に致命傷をあたえた。
女神は気絶したのか上空から下へ急降下していった。
「やったか!!」
ヴォルストは落下していく女神を見た。
女神はどんどん落下していく。
もしかしたらこのまま3幻神の一角《女神》を倒したとヴォルストは思った。
が、高層ビルの最上階、ヴォルストの目線の対角線上で急に急降下をやめ停止した。
「やりやがったな貴様!」
女神はヴォルストを見てつぶやく。
そう、ヴォルストの近くまできただけなのだ。
ヴォルストの思惑通りではある。
そしてダメージを負っていることに変わりはない。普通のチャオであればジェノム0の自爆1回で死んでしまう。
そんな中、女神は槍を取り出し、光魔法を精製した。
そして自分に魔法をかけた。
すると、自爆により負傷した女神の体の火傷が尋常じゃないスピードで治っていく。
また、回復と合わせて槍の先から大きな水玉を精製した。
「さっきは《大雨》で驚かしただけだが、今度はその赤い高層ビルを真っ二つにしてやるよ!覚悟しな!!」
女神は水玉をどんどん大きく精製していく。
どうやら強固となった巨大の水玉を高層ビルにぶつけて破壊するつもりのようだ。
水玉を精製しながら回復もしていくが、その間にジェノム0の攻撃を女神は受けている。
なのでダメージを受けながら回復し、水玉を精製する。
回復量が尋常でないため、ダメージを受ける量は少量だ。
大きくなる水玉を対角線上の窓からヴォルストは見ている。
すると、突如高層ビル最上階の天上がオープンした。
高層ビルの最上階の総裁室は天井が開閉式の部屋だったようだ。
ヴォルストは自分自身の剣《ダイダロス》をとりだし攻撃体制となる。
「最近お前の仲間の《鬼神》にも攻撃されたばっかだが、、、今回はお前を終わらせてやろう!!」
ヴォルストと女神の戦いが始まる。
122話へ続く。