「9章」 120話 『襲来』
真実の冒険 「9章」 120話 『襲来 』
ーーーーーDN帝国市街地ーーーーー
DN帝国の中心地へセヴンの飛空挺から飛びたったガイア一向。
ジンが氷と風の魔法を使用し、ブリザードを発生させDN帝国へ先制攻撃を与える。
また、レッドとオキスの攻撃により破壊した他国の飛空挺の残骸がDN帝国の建造物へ次々とぶつかり燃えていく。
また、DN帝国のチャオの声だろうか、四方八方より戸惑いの声が聞こえる。
どうやら奇襲により想像以上に統制がとれていないのだろう。
「前が何も見えないな」
飛空挺からDN帝国の市街地へ飛び降りたオキスは呟いた。
建物物の崩壊によって砂埃が舞い、市街地全体の視界を遮っている。
これではどこへ進めば良いか分からない。
「どうするオキス」
オキスの後に続いて飛び降りたレッドがオキスに問いかける。
「そうだな…とりあえず視界を広げるか」
オキスは炎を作り上げ、自分の槍に炎を纏った。
その槍を回転させ振りかざす。
その瞬間、槍の先から炎のサイクロンを生み出し風圧とともに視界がかすかに晴れた。
炎のサイクロンは街を破壊していく。
「すげえ技覚えたなオキス。。。まるでジンのブリザードのようだな。」
「ジュラル師匠の元で覚えたんだ。とりあえずあそこを目指そう。おそらくジンもそこへ向かっていったはずだ!」
オキスが指差した先にはそびえ立つ1本の赤い高層ビルがあった。
この赤い高層ビルこそがDN帝国の総帥が住んでいる総本山となる。
オキスとレッドはかすかに晴れた視界を利用し、高層ビルへ走っていく。
時にDN帝国兵士に見つかりながら攻撃をされるも、現時点のオキスとレッドでは相手にならない。
次々と突き飛ばし高層ビルへたどり着いた。
ーーーーーDN帝国高層ビル前ーーーーー
高層ビルの入り口前にはジンとヴィラが既に到着しており、DN帝国兵士を全滅させたところであった。
高層ビルの入り口はジンの氷技とヴィラのサーベル攻撃によりボロボロとなっている。
ただ、入り口付近を守っていたDN帝国兵士はSランクと呼ばれた赤い服を着た兵士ではなかった。
先程飛空挺からは赤い服をきた兵士が多数目撃されていたにも関わらずだ。
まるで誘っているかのような弱い警備体制である。
「お、到着したか。」
ジンはオキスとレッドを見てつぶやいた。オキスとレッドはうなずく。
「このビルの屋上に総帥はいるのかな。」
「かもな。。。しっかし高いビルだな。最初からここに到着するべきだったかな。」
オキスとレッドは高層ビルを見上げた。
高層ビルは約50階となる高層ビルである。
「DN帝国側の体制も甘いし、このビルに突入することが罠なのかもしれんな。」
「ビルに入った瞬間に襲撃される可能性もありますよね」
ジンとヴィラがつぶやく。その後、高層ビルの奥のエレベータよりチャオが降りてきた。
「DN帝国への奇襲は成功したかい?」
おりて着たのはDN帝国の幹部であるドイルだ。
黒いスーツを着ている。
また、Sランクと呼ばれる赤い服をきたDN帝国兵士を引き連れていた。
距離としては10m近く離れているがジン達(オキス、レッド、ジン、ヴィラ)は武器を構えた。
「久しぶりだな。あの時はお世話になったぜ。」
オキスがドイルにくいかかる。
オキスとレッドはドイルに一度大結晶の絶壁と呼ばれる場所で敗北している。( 8章 77話参照)
「負かした相手なんて覚えてねえよ。弱いやつなんてな」
「なんだと!!」
オキスがさらにくいかかる。
ドイルは再び喋る。
「そんなことより、お前ら本当馬鹿だろ。《ここ》で俺らに襲撃されることは予測できたはずだ。
たった4人でノコノコやってきやがって。しかも入り口だぞ?
まあ、、、、実際俺等も行動が遅れて少し被害がでたことは事実。
ここからはDN帝国の全勢力をもってお前等を潰させていただく。」
ドイルはDN帝国兵士に声をかけた。
DN帝国兵士はボタンを持っており、ボタンを押下する。
すると、高層ビルの上空からジン達が見覚えのあるチャオが《複数》降りてきてジン達を囲んだ。
「(これが《例のやつ》か。。。)」
オキスが心の中でつぶやく。
降りたチャオは今まで死闘を繰り返してきた相手、ジェノムの姿であった。
オキス達は既にジェノムの量産型が存在することを機密文書より知っている。(8章 95話参照)
それでも死闘を繰り返したそっくりの相手が複数いることは恐怖である。
「ブレインがジェノムの量産化に成功してね。
名前は《ジェノム0》
能力はオリジナルのジェノムと比較すればやや劣るが、量産化により軍事力を拡大に向上させることができた。
君達にはジェノム0の実験台になっていただく。
あとで屍を回収してやろう。ハハハ!」
ドイルは喋り終えると再度エレベータに乗り、上昇していってしまった。
ジェノム0の色はオリジナルのジェノムとは違い、黒い色をしている。
また、上空には複数のジェノム0が高層ビル上空より次々と飛んでいく姿が見られた。
「とりあえずこいつ等を片付けるのじゃ!」
囲い混んでいる複数のジェノム0に対し、まずはジンが飛び出して行く。
ジェノム0との戦いが始まった。
ーーーーー高層ビル 最上階 総裁室ーーーーー
一方、高層ビルの最上階である総裁室からDN帝国総裁であるヴォルストと
最高幹部のブレインがジェノム0が飛んで行く姿を眺めていた。
ジェノム0は上空を浮遊しながら次々とセヴンの援軍できた飛空挺を破壊していった。
破壊された飛空挺の残骸がDN帝国のいたるところに落下し火災は起きているが
ジェノム0のお披露目とその強さに喜んでいた。
「いい感じじゃないか。これくらいの被災は覚悟している。このままジェノム0を使い、出来る限り敵を壊滅させるぞ。」
ヴォルストは窓の外を見ながらつぶやいた。
「まずはDN帝国へ攻めてきた飛空挺等を壊滅させ、その後レジェンディアに突入させます。
レジェンディアを壊滅させ、世界政府を壊滅させれば我々の世界支配も可能かと。」
ブレインがつぶやいた。
「DN帝国へ牙を剥いた愚かな奴らを徹底的に叩き潰すぞ。あとはマスターエメラルドの出力を急げブレイン!」
「承知しました。ヴォルスト様。」
「(あとは《不安材料》が来ないことだけだな、、、)」
「どうかしましたヴォルスト様?」
「いや、、これからの体制について話し合いをしたい。現在の状況について幹部達を呼び会議を始めるぞ!」
ヴォルストは高層ビルの会議室へ向かおうと窓から離れようとした。
そのとき、高層ビルのはるか上空より雨雲が現れ高層ビルに大雨が発生した。
高層ビルは大雨に強く打たれ大きく揺れる。
「なんだこの雨は!!」
ヴォルストは窓から空を見上げた。
すると雨雲とは別の上空にヒーローカオスの形をしたチャオが飛んでいることがわかった。
黒の魔石により復活した「女神」が舞い降りたのであった。
「マスターエメラルドを回収しにきたわ。」
女神は窓に映るヴォルストを見て呟いた。
121話に続く。