「8章」 90話 「ヴォルストの思考と悲劇」

一方、DN帝国秘密基地では大変な事態に陥っていた。
その一番の理由はやはり『大結晶の絶壁』における兵士の激減であった。
別にDN帝国全体の兵士の数が減ったわけではない、B~Sランクの兵士チャオの数が多く亡くなってしまったことだ。
今、秘密基地では『3幻神復活計画』が失敗に終わり、これからのDN帝国の策と兵士の配備などについて大きく検討をしていた。
今、全ての幹部が秘密基地の内部にある会議室で議論を行っている。


【DN帝国秘密基地・会議室】


ヴォルストが今の現状をすごい剣幕で語る。
くそ!我々の唯一の世界征服の案が失敗に終わってしまった・・・!
今の兵士の数ではとてもじゃないが3幻神相手に叶うはずがない。我らは最強の組織・最大の軍事力を持っていたはずなのに!
この先一体どうすればいいのか・・・・・・・。A、Bランクのチャオの数が激減してしまったことが辛い・・。
一番辛いのは私の息子『ドラゴ』が行方不明になったことだが。
まさかまさかだ。あの復活の瞬間に『チャイン』が現れたのは・・・・・・


かなりグロッキー状態になり、多少鬱ともいえる状態であるヴォルストにブレインは声をかけた。


ブレイン「まあ・・・落ち着いて下さい総帥。まだ我々は負けたわけではないです。」
ヴォルスト「ジェノムも奪われたんだぞ!!あと我々に何が残されている!!」
ブレイン「確かに・・。ですが策はあります」


ブレインは大きなスクリーンを兵士に用意させ、そこに映写機で作戦の書いたビジョンを映し出す。
そして長々と説明をしだした。これに他の幹部のチャオも真剣に聞く。
この作戦はとても意外なものであり、また3幻神を食い止める大きな作戦でもある。
ただこれを失敗してしまえばDN帝国はほぼ壊滅・・解散の危機にさらされてしまうというハイリスクな作戦であった。
約1時間の説明をしたブレインは他の幹部、またヴォルストに質問の時間を開設する。


ブレイン「この作戦は非常に大変である・・。だがこれを成功すればまだ我々にも可能性があるということだ・・。」
ドイル「なるほどな。俺は異論はない」
アタリーナ「私もよ。」
アトモス「・・・・・・・・・・・・・・」
タイダル「すごい作戦であるが・・・・・・果たしてうまくいくのかね」


タイダルが言った後に、少し不安をつのらせた言葉を使ったことで少し回りの空気が沈む。
そこでヴォルストが席を立ち上がり言葉する。


ヴォルスト「よし。ここで考えても仕方がない。今はもう夜が近い。明日の早朝からこの作戦を決行する。」


ヴォルストはそう言い放ち、会議室を出た。
それにつられて幹部全員が部屋を出る。
これにて会議は終了。明日から新しい作戦のためズカズカとヴォルストは自分の部屋に戻っていこうとする。
しかし、ここでDN兵士がヴォルストの前に現れた。
兵士は頭を一回下げ、質問をした。


DN兵士「ヴォルスト様!前に捕まえたあの・・一味の仲間はどうしましょうか?今はまだ食べ物を与えず牢屋にぶち込んでありますが・・。」
ヴォルスト「ああ・・あいつ等か。このままほおっておけ。あと2日たてば餓死してしまうだろう。それにもうアイツ等の仲間は全員死んだに違いない。今はそれどころじゃないだ。話は終わりだ」
DN兵士「は!」


DN兵士はまた頭を下げ、さっそうとその場を離れる。


ヴォルストは部屋へ戻り、一人で考えた。
今考えればアイツ等がいなければ我々の作戦は成功していたのだろうか・・?
そもそもジェノムはアイツ等によって破壊されたんだ。なんという邪魔をしてくれていたんだ。
そしてアイツ等のせいでほとんどの兵士が犠牲になってしまった。
やはり今からでもあの捕まえた仲間を殺してしまおうか。いや、普通に殺すだけでは私の怒りは収まらない。あのまま餓死しても苦痛だがさらなる苦痛を与えてやろうか。
毒ガスやギロチンなんててもあるが・・・・・・。


やはり考えがこれまた以上。ある意味病気ともいえる状態にヴォルストはあった。
部屋からまた出たヴォルストはこの鬼蓄のような考えを兵士に言おうとし歩いてく、その途中兵士がものすごい形相でヴォルストの前に現れた。


ヴォルスト「おお・・いいところに来た。お前あいつ・・・・」
DN帝国兵士「聞いて下さい!ヴォルスト様!緊急事態です・・・・・・!!!!」


ヴォルストの言葉を無視し、汗をびっしょりだしたDN兵士は叫んだ。


あの3幻神が!!・・・あの3幻神が!!・・・この場に!!・・・現れました!!!!

このページについて
掲載日
2010年2月7日
ページ番号
273 / 310
この作品について
タイトル
真実の冒険
作者
土星(サターン)
初回掲載
週刊チャオ第107号
最終掲載
2021年6月29日
連載期間
約17年3ヵ月12日