~生きている赤い闘志~

その後自分は何事にも漠然と取り組んでいた。
あっという間に時間だけが過ぎて行った・・・。

ある時、自分は引っ越しをすることになった。
チャオワールドを離れて、人たちも住む町へ行くのだ。
母親は「しっかり、いってらっしゃい!」と気丈に。
妹はいかにもうるうる目をしながら自分を見つめる。

荷物整理中。自分は懐かしいものを見つけた。
あの時の黒いギター。
涙は出なかった。もう昔のことだろうからか?
でも、そのギターをみているとこのままも行けないと思い、
そっと鞄に詰めたのだった。

そして、それを隠すように母親と別れた。
なるべく母には悲しい思い出であるそれを見せたくなかった。
そして、自分はチャオワールドから旅立った。

そこは、何もかもが凄かった。
鳴りやまない車の音。光の数々。
刺激的な世界に自分は覚醒した。
で、自分は自然にギターを弾いて歌いたいと思ったのだった。

早速、自分は近くの本屋による。
もちろん買ったのは、ギターのコード表。
自分は、お父さんからもらった赤い闘志、そして
天性のセンスに自分を賭けた。

でも、事はうまくいくはずがなかった。
少ない仕送り。母親だけだからしょうがないかもしれない。
だからチャオのバイトもしないといけない。
忙しすぎる時間。
ギターなんて趣味の一環だと悟ってしまう自分。

でも、それでもギターを弾き続けた。
そして、ある程度弾けるようになったら、曲も作った。
本当に流れ作業。
お父さんもこうやって成長したのかもしれない。

そして、自分にとって二回目の運命の日。
自分はライブハウスにいた。
200人くらいが自分を見つめている。
自分はあるがままに歌う。
ギターを響かせる。

そして・・・演奏を終了した。
自分は・・・そっと顔を上げた。
そこら中の人から拍手が上がっていた。

自分は、成功した。
それからは、本当に速かった。
CDやMDも発売する。
もちろんチャオにも人にも。

自分の作った曲は本当にどれも売れた。
そして、自分はだんだんと年を重ねていった。

そろそろ、ロックもおわりかな・・・
そんなとき、リスナーからの声援でこんな声が。
「あなたもバラードを弾いて欲しいです!」
バラード。
悲しみの歌がすぐに思い浮かんだ。あの時。
本当に、曲にしても良いのだろうか。

しかし、自分はあの時の言葉を思い出した。
「なぁ、ギター。おまえは次は誰と組む?」
結局俺はあの時何も言えなかった。
でも、今の俺には分かった。
あの時、お父さんはギターに他の曲にも挑戦して欲しかったんだ。

ロックから又曲を変える時期にお父さんは倒れた。
お父さんは他の才能を活かせなかったことに悲しんでいる。
そうだ。それをかなえるんだ・・・

自分は曲を作り上げて、
そして、それをライブの時に歌おうと決心した。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第169号
ページ番号
2 / 3
この作品について
タイトル
オンリーロード
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第169号