三里の長城編 3話(終)

中には、誰もいなかった。
でもこの中に入ったはずだ・・・。
しかし、誰もいなかった。

とぼとぼと戻るテイルス。

すると、その横の崖にチャオがつるされている。
そして2匹、黒いチャオがいる。
彼らはライターで紐を切ろうとしている。

「・・・危ない!」
しかし、テイルスはここからでは追いつけない。
「・・・助けないと!」

そうだ。助ける。自分の前で、もう誰かに虐められている、殺されようとしている姿はもう見たくない・・・!?
「な、なんだ?」
テイルスはびっくりした。
自分の手が青い・・・。

彼のピアスは青い色に輝いている。
テイルスの姿は、あの伝説のハリネズミ・・・

・・・ソニック・ザ・ヘッジホッグ・・・

彼は、つるされているチャオに走った。
速い・・・速いぞ!
そして、落ちた瞬間のチャオを抱いて
向こう岸にすとんと飛んだ。

悪のチャオは「へ?」
みたいな顔をしてそのまま、
「うわあ、速えぇ!」
といって走り去ってしまった。

「・・・気を失っているのか・・・」
テイルスはルロのいえに戻っていった。

「・・・うーん」
「あ、気がついた。おーい、兄ちゃん!気がついたよ!」
テイルスは
「気付いた?」
といって、中に入ってきた。
体は普通のテイルスチャオに戻っていた。

「あれ?私・・・つるされていたのに、何でここへ?」
「何を言ってるんだよ!兄ちゃんが助けたんだよ!」
オルクが叫ぶ。いや、声大きいって。
「あ、そうなの。ありがとう・・・」

「ところで、何であそこにつるされていたの?というか誰?」
テイルスが訊く。
「私はコウ。私は親がいないの。」
「なんで?」
「知らない。そこで、ボイルという人に育てられた」
「ふーん」
「それで、その人が誘拐団の棟梁との闇取引を裏切って・・・」

そして、彼女はこういった。
「あなたって、旅人?」
「そうだけど?」
「私も旅について行きたいんだけど・・・」
「え、べつに良いけど・・・なにか有るの?」
すると、彼女は「時」と刻まれた宝石のネックレスを持ってきた。

「これは・・・賢者の7宝石の一つじゃないか!」
「そう。これで自分の役に立つことが有るかなあ。なんて」
テイルスは、このコウというチャオと旅に出ることにした。

「えっ、行っちゃうの?兄ちゃん・・・」
すっかり「兄ちゃん」となついてしまったが、ここでお別れ。
「でも・・・自分もいつかは旅に出たいなぁ」
そして、
「テイルスが悪い事したら、自分が倒すんだ!」
「ほお、それは楽しみだね」

そういって、この町を後にした。
自分とコウは旅に出た。
長い旅だろう・・・
そう、この三里の長城のように・・・

三里の長城編 終わり

このページについて
掲載号
週刊チャオ第141号
ページ番号
12 / 17
この作品について
タイトル
2本のしっぽ
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第140号
最終掲載
週刊チャオ第141号
連載期間
約8日