『愛藍傘』 片思いは何を語るだろう。  

ランナーは走った。

走った、走って、走った。

でも、ゴールは結局見えなかった。

―ゴールがないんですよ。そのマラソンは。

男が雨で濡れた服をそのままにして、
いすに座っていた。

―ねぇ、マスター、ゴールするためにはまだ走るんでしょうか。

ダーカは穏やかに言った。

―貴方がゴールを信じる限り、ですかね。

男はふうと息を吐いた。

―とは言っても。信じれなくなってきているんですよ。
―・・・そうですか?貴方はまだいけると思っている。
―いや、無理だと思うんだ。うん。
―疲れたのですか?
―いや、足は全然疲れないさ。

足は疲れないからということからして、
男は何かしら、signを送っているように見えた。

ダーカは、あぁ、そういうことかと理解して、
ごそごそとドロップを取り出してきた。

―あ・・・藍色?
―ブルーベリー味ですよ。まぁ、名前は愛藍傘って言うんです。
―・・・マスター、何故僕の「マラソン」を見破られたんですか?

ダーカは普通に長年の勘、と言おうとしたが、やっぱり止めて、
数分間が得た後、こういった。

―今の私のゴールは目の前の人を満足させることですから。

終わり。

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掲載号
週刊チャオ第222号
ページ番号
7 / 8
この作品について
タイトル
「ナナイロ・ドロップ」
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第222号