『パープル・スカイ』 もう何一つ見落とさない。 

いつか、自分がダーカになった理由を、
客が誰もいないときに考えていた。
でも、結局思い出せなかった。
ただ、どこかで聞いた、軽快な唄が、
その黒く、ある意味では白い、そのチャオを満たしていた。

チャオはふと、紫色のドロップをなめた。

マスターと呼ばれた日もいつか分からない。
でも、そこにある差し入れのMDプレーヤーは、
間違いなく「マスターへ」と書いてあった。

そして、そのマスターはそのどこかで聞いた曲を、
別にMDプレーヤー再生するわけでもなく、
頭に思い浮かべていた。

―いつか、幸せが見つかるかな。俺にも、さ。

ダーカは眠った。

夕方頃に目覚ましをセットして、仮眠をとる。
今日も誰かの話を聞いてまた、自分自身成長するだろう。
だけど、いま、頭にあるこの唄は成長しないで、
ずっといびつな歌詞を保っていて欲しい、
そう思いながら。



世界はいつも空が見ている
どんな悪も小さな善も
恐ろしさはいらない
たまには風に身を任せて飛んでみないか

太陽系ほど 果てしなくても良い
コンビニより 身近でなくても良い

そんな 空 そんな 君 聞かせてくれ その声を その声を



例えば僕は君を見つけて
何か話しかけられるだろうか
片思いは何か寂しい
あの子とは友達でいいやなんて思うことが凄くむなしい

夕焼けの雲みたいに 余裕でなくても良い
電波みたいに すぐでなくても良い

そんな 空 そんな 君 聞かせてくれ 何度でも 何度でも



いつかこのチャオ色の空が紫色に染まって
君がそれにとまどうなら
僕を使い捨ての杖にしても良いから

いつか・・・いつか・・・



君はいつも僕が見ている
ちっぽけな嘘も小さな善も
恐ろしさはいらない
たまには僕に身を任せて飛んでみないか

太陽系ほど 果てしなくても良い
コンビニより 身近でなくても良い

そんな 空 そんな 君 聞かせてくれ その声を その声を

そんな 空 そんな 君 聞かせてくれ 何度でも その声を



終わり。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第222号
ページ番号
8 / 8
この作品について
タイトル
「ナナイロ・ドロップ」
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第222号