特別編「太陽の、下で」・中編
中編
【不良A】「魔術師?ああ、カバン持ってるから、あの学校のガキか・・・なめんじゃねぇよ!」
不良集団が一斉に、中谷ペアと水口ペアに殴りかかってきました。両ペアも魔術で応戦し、バトルスタート。
【水口】「こーいう連中は殴る蹴るばっかりだ・・・離れて撃てば問題ないぜ!」
水口は不良が殴りかかってきたところをさっと避け、一歩踏み出してクルリと回り、
【水口】「クラッシュウェーブ!」
水属性の魔術を一撃。まず1人。
【ギステア】「ダブルストーム!」
【グレット】「バスターソード!」
ギステアとグレットが空を飛ぶ不良チャオを次々になぎ倒していきます。
【中谷】「おっと!」
中谷は剣一本で次々と斬っていきます。
しかし、魔術師2組ではさすがに相手の数が多すぎます。すぐに囲まれてしまいました。
【中谷】「ちっ、さすがに無理があったか・・・」
そこに。
【山吹】「はああぁぁっ!!」
山吹ペアと木更津ペアが飛び込みました。
【水口】「悪ぃ、助かった!」
【木更津】「ど、どうなってるの!?」
【中谷】「見ての通り。連中を敵に回したんだよ。」
【山吹】「何があったかは知らないけれど、面白そうじゃない・・・」
【木更津】「で、でも・・・」
木更津が、更に喋ります。
【木更津】「許可の無い校外での魔術使用って、緊急の時以外は禁止じゃなかった!?」
確かに、その校則はあります。が。
【ギステア】「おいおい、今の状況が緊急じゃなくていつ緊急なんだよ。」
・・・不良集団に囲まれてて緊急じゃないとは、また悠長なものです。
【ライラ】「そしてもう1つ、あたしらの魔術高校の一番大事な決まりがあるじゃない!」
【木更津】「あ、そっか!」
【4組】「・・・『魔術師である前に、1人の人間、1匹のチャオであれ』!!」
4組はそう言って、不良集団に突っ込んでいきました。
本来、魔術高校の1年生というのは魔術の基本を学び、実戦は2年生になってから学びます。
ですが、この4組の強さは別格でした。1回、2年生に混じって実戦の授業を受けたことがあるくらいです。
年に何組かこういう強いペアはいるものなので、特別珍しいことでもありませんが、4組の実力を証明するものです。
そして、こういうペアは概して、実戦に飢えています。
まぁ、1年生で実戦の授業は普通やりませんし、上級生の授業に混じるのも年数回。当然のことでしょう。
中谷ペアや水口ペアなんかは、まさにそうでした。だからこそ、わざわざ不良集団を敵に回したのです。
【不良A】「くっ・・・おい!下がるぞ!」
さすがに不利とみたのでしょう、不良集団は路地裏へと逃げ込みました。
【中谷】「ふぅ・・・どうする?」
【山吹】「そりゃもう、トコトン付き合うしかないでしょ!」
【水口】「っしゃ、追うぞ!」
【ヴァレイユ】「こっから先は連中のいわばホームよ・・・香織、気をつけて!」
【木更津】「うん!」
そして4組も、路地裏へと走り出しました。
しばらく行くと、小さな空き地に出ました。
すると、数十組、不良集団が一斉に現れます。
【ギステア】「ここが根城のようだな・・・」
【ライラ】「にしても、こんなところがあったなんてね・・・」
【グレット】「よし、いくぞ!」
再び、バトルスタートです。
【不良A】「おりゃああっ!」
【中谷】「て、鉄の棒かよ!?」
鉄の棒を振り回してきました。こんなのが当たったらただじゃ済みません。
【中谷】「くっ・・・」
中谷は少し考えて、剣を抜き、左側から振り回してきた鉄の棒を剣で止めました。
【不良A】「そんなんで止められると思ってんのかよ!」
【中谷】「力のかけようによっては、止められるんだな・・・これが。」
と、剣を左手に持ち替えました。しかし、鉄の棒は食い止められたまま。
そして中谷は、空いた右手で、
【中谷】「ブラックシュート!」
一撃で仕留めてみせました。
と、そこに。
【男】「・・・何やってんだ?騒がしいな・・・」
奥から、1人の男が出てきました。
【不良A】「が、ガンツ!」
ガンツ。この不良集団のリーダーで、闇の魔術師でもある男です。
人間なので本名は違うのでしょうが、誰も本名は知りません。
【水口】「来やがったな・・・」
【山吹】「あれが噂のガンツ・・・」
【ガンツ】「魔術師4組か・・・ザコ相手に何やってんだよ、おめぇらは。」
【不良A】「案外強ぇんだよ、アイツら。」
【ガンツ】「ま、魔術もロクに扱えない連中には無理か・・・
お前ら!誰でもかかって来いや!片っ端から潰してやる!」
【木更津】「・・・ねぇ、誰から行くの?」
【中谷】「そうだな・・・木更津、お前行け!」
中谷は、なんと木更津を指しました。
【木更津】「え?あ、あたし!?」
【山吹】「そうね、ああいう力任せの相手に魔力頼りのあたしらが行っても無理だわ。
トリッキーな香織なら、うまくいけるかも!」
【水口】「っしゃ、頼んだぞ!」
戸惑う木更津。
【木更津】「ヴァレイユ、何とか言ってよ・・・」
【ヴァレイユ】「ファイト!」
【木更津】「はぁ・・・とりあえず、頑張ってみるから、フォローお願いね・・・」
・・・彼女も腹を決めました。一歩歩み出て、ガンツの前に立ちました。
<後編に続く>