第23話「輝ける、魂よ」・後編

第23話・後編


【カナル】「・・・ん・・・」
カナルが気が付きます。どうやら、ギリギリセーフのようです。
【カナル】「サララ!」
横にいたサララに声をかけます。
【サララ】「はっ、キンブリーは!?」
どうやら、彼女も何とか無事な様子。

【キンブリー】「なっ・・・生き残っただと!?」

【カナル】「残念だがな・・・俺達は主人公なんだよぉっ!」
【サララ】「か、カナル・・・」
・・・こうなるとただの開き直りです。

ただ、世の中には開き直った方がいい場合もあります。

【サララ】「そうね・・・主人公にヒロインが死ぬはずありません!」
もう2匹にとって根拠なんて、どうでもよくなってました。

【キンブリー】「何を話しているか知らないが・・・ならばこれで葬る!
        壊せ紅魂!クリムゾンクライシスっ!!!」
再び必殺技。巨大な光球が向かってきます。

【サララ】「拓け天風!ヘヴン・ウィンディっ!!」
サララが風でそれを食い止めます。
【サララ】「カナル!」
【カナル】「ああ!」
そして、カナルは走り出し、

【カナル】「バーニング・・・ナックルっ!!!」

巨大な光球に一撃。
それを受け、光球は押し返され、キンブリーの方へ。
【キンブリー】「な、なんだと!?」

サララの風がそれを後押しし、さらに加速します。
【キンブリー】「く・・・来るな・・・来るなあああぁぁぁっ!!!」

しかし、光球はそのまま、キンブリーを飲み込んでいきました。
そして、その後には、何も残っていませんでした。

【サララ】「やりました!」
【カナル】「ああ!」
会心の片手ハイタッチ。全てが終わった、そんなスッキリとした表情です。



【川島】「・・・うう・・・
     あっ!森野はっ!・・・・!?」
森野の必殺技を受けた川島が気がつくと、そこには。
【神楽坂】「ヘヴンスシールド!」
【川島】「神楽坂!?」
なんと、先に気づいた神楽坂が、川島を守るように、耐えていたのです。

【森野】「くっ・・・この私の必殺技がパワー不足とはな・・・」

【神楽坂】「あ、気がつきました?」
【川島】「ええ・・・でも、何でよ?」
【神楽坂】「え?」
【川島】「何であたしなんかを守ってんのよ!?そんな余裕があれば普通に戦ってなさいよ!」
【神楽坂】「2人じゃなきゃ、奴には勝てない・・・だからですよ・・・!」
つまるところ、神楽坂が普通に戦っても、結局は勝てない。そういうことです。

【川島】「・・・仕方ないわね・・・それじゃ、いくわよ・・・!」
【神楽坂】「ああ・・・!」
圧倒的に不利な状況なのに、なぜか2人には自信がありました。

【森野】「まぁいい・・・今度こそ葬る!ブラックブレイザー!」
2人は別方向に避けます。

【神楽坂】「レイグラディウス!」
神楽坂は剣を抜き、森野とぶつかります。

【森野】「そして逆側から来るのであろう!ブラックキャノン!」
右手で剣を持ちつつ、左手で魔術を一撃。しかし。
【森野】「!?・・・手応えがない!?」

剣を持つ神楽坂と剣を持たない川島であれば、どうしても剣の方に注意力が行ってしまいますし、そうするのがセオリー。
そこを突いた川島は、攻撃を完全に読んで簡単に避け、森野の死角に入ったのです。

【川島】「海淵に沈め!エンジェルオブアビス!!」

川島の必殺技が、至近距離で炸裂し、さすがの森野もよろめきます。

【森野】「くっ・・・!?」
次の瞬間、川島は信じられない行動に出ました。

森野の真後ろに回り込むと、なんと羽交い絞めにしたのです。
【森野】「くっ・・・貴様・・・何のつもりだっ!」
【川島】「神楽坂!早くコイツを!」
そう、神楽坂にトドメを刺させる作戦なのです。

【神楽坂】「えっ!?で、でもっ!」
しかし、このまま剣を突き刺せば、森野を貫いて川島にも傷が入ってしまいます。最悪、串刺し。

【川島】「あたしはいいからっ!」
    (さっき守ってもらったのに・・・こうでもしなきゃ借りが返せないわよ・・・)

【森野】「くっ・・・放せぇっ!」
必死であがく森野。
【川島】「神楽坂ぁっ!早くっ!」
川島も必死ですが、力でどうしても劣る以上、限界があります。

【神楽坂】「ご・・・ごめんなさい!」
神楽坂も決心しました。一言謝った後、

【神楽坂】「シャイニング・・・ブレイカーっ!!!」

必殺技である大剣で、森野を突き刺しました。


それは、森野が力で川島を振り払った瞬間。・・・つまり、川島は無傷。

【森野】「ぐは・・ぁ・・・っ!」
そのまま、森野は倒れ、動かなくなりました。


【神楽坂】「はぁ、はぁ・・・終わった・・・のか・・・?」
【川島】「ええ・・・ありがとう・・・」
【神楽坂】「珍しいですね・・・川島さんが、お礼を言うなんて・・・」
【川島】「うるさいわね・・・」

そのまま2人は、燃え尽きたようにその場にへたり込んでしまいました。

でも、いいんです。全て、終わったのですから。

                    続く

このページについて
掲載号
7.16 耐久の鬼誕生祭 in 週刊チャオ(226号)
ページ番号
74 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日