第22話「涙と、消えて」・前編
こちら、サリアと横山。
【横山】「さて・・・今私の元に、ガナーシュ、アインツ、クレーベル、戸田の4名が死亡したとの情報が入った・・・」
【サリア】「・・・分かっているのであれば、観念してはどうです?4名死亡となれば、そちらの勝ち目はもうない・・・」
【横山】「残念だけど、男の意地ってもんでね・・・それはできない相談だ!」
と、拳銃を一発。サリアはとっさに避けます。
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)・第22話「涙と、消えて」
【高野】「バーニングストームっ!」
【木更津】「うわぁっ!」
木更津は必死に避けます。こうなった以上、戦うしかありません。
【木更津】(でも、やっぱり強すぎる・・・どうすれば・・・)
そこに。
【ドルチェ】「アクアシュプール!」
ドルチェも攻撃を仕掛けてきます。
【木更津】「!?」
【ヴァレイユ】「サンダークラッカーっ!!」
ヴァレイユが何とか帳消し。
【ヴァレイユ】「ドルチェがあたしが何とかするわ!属性も有利だし!」
【木更津】「う、うん!」
確かに、水属性のドルチェ相手にヴァレイユは有利です。が。
【木更津】(それじゃ、属性的に不利なあたしはどうすれば・・・)
・・・氷は火が相手だと溶けちゃいます。
【森野】「まさか私の所に来るのが永川ペアでも神野ペアでも無く、技術界から来た2組とはな・・・」
【川島】「御託はいいわ。さっさとケリをつけるわよ。」
と、川島が早々に構えます。
【森野】「まぁ落ち着きたまえ・・・」
森野が止めます。思わず動きを止める川島。
そして、キンブリーが話し出します。
【キンブリー】「さて・・・我々は、技術界の存在を知った時、確信した。
我々の魔術とこの技術を融合させれば、両方を超越した新世界の扉が開くと!」
【神楽坂】「違う・・・」
ところがその途中、突然、神楽坂が前に出て、一言。
【川島】「神楽坂!?」
彼女は正直、驚きました。腐れ縁になって10年以上、彼が人の話を遮って喋りだすようなことはありませんでしたから。
【神楽坂】「確かにその先にあるのは新世界かも知れないけど・・・そこにあるのは絶対的な力・・・
誰もがそんな力を持てる訳じゃない・・・
そうなれば結局、それは持てる者の自己満足でしかない!」
【キンブリー】「笑止!それこそ持とうと努力すらしない連中の言い訳でしかない!」
【神楽坂】「いや、俺たちは平凡な存在だよ・・・
極端に持ってる訳でも、極端に持ってない訳でもない・・・」
【キンブリー】「ならばなおさら!そこから這い上がれるはずだ!」
さらにキンブリーは言おうとしましたが、森野が止めました。
【森野】「もういい、キンブリー。
・・・君たちの話もよく分かる。しかし、1つだけ覚えておいて欲しい・・・
君たち2組は、既に平凡な存在ではない。技術界と魔術界、両方の世界を生きた、『持てる者』だということを・・・」
【川島】「・・・」
確かに、携帯電話と魔術を同時に使いこなせるのは、2つの世界の中でこの2組だけかも知れません。
【森野】「そして見るがいい・・・これが我々の目指した新世界だ!
放て巨砲!ブラックキャノン!!」
そう森野が叫び、魔術を発動させました。
普通魔術の「技」というのは、魔術師のイメージにより剣などの「形」を成すことによって成立します。
当然、技は魔術師のイメージに拠りますから、魔術界にないものを作ったりはできません。
しかし、このペアにはそれができるのです。森野が発動したのは、闇の魔術で作った大砲。そんなもの、技術界にしかありません。
【カナル】「くっ!」
何とか避ける2組。
【キンブリー】「・・・・・」
キンブリーがさっと腕を動かします。一見魔術を発動したように見えましたが、技名を唱えた訳でもありません。
お構いなしに川島が向かいます。
【川島】「行くわ!」
ところが、その瞬間。
【キンブリー】「ヒドゥン・ブラスター!」
と、キンブリーが技を唱えた瞬間、川島の足元から爆発が。
【川島】「きゃあっ!」
不意を突かれ、吹っ飛ばされてしまいました。
【サララ】「これはまさか・・・いわば、地雷!?」
【カナル】「くっ・・・だったらキンブリーは俺とサララで何とかする!そっちを頼む!」
チャオは飛べますので、地雷の影響を受けません。
【神楽坂】「分かった!」
【川島】「・・・正直不本意だけど、仕方ないわね・・・頼むわよ、神楽坂!」
【神楽坂】「とりあえず、できる限りは。」
こうして、人間対人間、チャオ対チャオの構図ができあがりました。
<中編に続く>