第20話「半分の、奇跡」・後編

第20話・後編


永川と、戸田。
攻勢だったのは・・・戸田でした。


【戸田】「スプラッシュライト!」
【永川】「くっ!」
永川が防御技を発動します。

【戸田】「そこだぁっ!」
戸田はすかさず剣を抜き、永川の盾に剣を突き刺しました。
【永川】「!?」

いくら永川の盾でも、戸田の剣が相手では防ぎきれません。
盾にヒビが入り、直後砕けました。
【永川】「!?」
戸田はそのまま突撃し、永川に斬りつけました。
【永川】「ぐはぁっ!」

そのまま戸田は攻撃の手を緩めません。
【戸田】「ジャスティスキャノンっ!」
強烈な一撃。永川は壁まで吹き飛ばされ、激突。大きな衝撃が走ります。

【戸田】「勘違いするな・・・今の私は2年前の私ではない!
     私は貴様に勝つために、変わったのだ・・・!」

確かに、2年前の戸田ではありませんでした。
スピード・パワー・テクニック、全てが違ったのです。
永川は戸惑いもあり、何もできません。

【戸田】「まさかここまであっけないとはな・・・永川慶十郎・・・
     これだけ強くなっていれば・・・あの男に勝てるかも知れん・・・」

【永川】「あの男、だと・・・?」
永川が立ち上がりながら聞きます。
【戸田】「そうだ・・・バーミリオン総帥、森野夕夜(もりの・ゆうや)とそのパートナー、キンブリー=アルディオス・・・」
戸田が始めて、その名を口にしました。彼らこそ、世界を狙う張本人。

【永川】「強いのか・・・?」
【戸田】「ああ・・・ペアだからという事もあるが、以前戦って敗けた・・・ボロボロにな・・・
     ま、勝っていたら私がバーミリオンの総帥だろうがな・・・」

【永川】「・・・・・」
一瞬彼が心配したのは、先に行ったサリア達。
しかし、正直、それどころではありませんでした。まずは、自分の身。



【高野】「なんで・・・なんで香織がここに!?」
【木更津】「・・・成り行きで。」
【ヴァレイユ】(えっ!?)

・・・まさかのボケ炸裂。確かに、そうではありますが。

高野は一瞬キョトンとしますが、すぐにクスリと笑いました。
【高野】「香織は相変わらずね・・・」
【木更津】「そっちこそ、なんで・・・!?」

今度は、木更津が聞く番。
すると、高野がゆっくりと口を開きました。

【高野】「・・・あたしは、羨ましかった・・・」
【木更津】「・・・?」
【高野】「香織が、羨ましかった・・・」
【木更津】「あたし、が・・・?」

その後、高野が喋った内容は、こんな感じ。

本来、魔力は高野ペアの方が圧倒的に上です。
この2組は小さい頃からよく遊びで戦ってましたが、最初は高野ペアの圧勝でした。

ところが、木更津はそれを乗り越えようと、あのテクニックを身に付けました。
おかげで、中学3年の頃になると、気がつけばこの2組の戦いは接戦。
高野は、自分より遥かに魔力で劣るはずの木更津ペアが自分と互角に戦っているのを見て、そのテクニックを羨ましく思ったのです。

そこで、彼女は決めました。このままでは、抜かれる。
同じ魔術高校に入るより、どこか別のところで特訓して、もっと強くなろう。
そこで別の街の普通の高校に入学。その時出会ったのが、あの戸田光彦でした。

【ヴァレイユ】「確かに、その考えは間違ってないかも知れないけど・・・ドルチェも千佳も、世界征服に手を貸そうとしているのよ!?」
【ドルチェ】「もう、戻れないのよ・・・」
【ヴァレイユ】「!?」
【ドルチェ】「一瞬、引き返そうかとも思った。でも、気がつけばバーミリオンの幹部、SEVENTH HEAVENの一員よ!?
       どうやって抜けろって言うのよ!」

ドルチェの悲痛な叫びが、響きます。

【高野】「それに、もう覚悟は決まったわ・・・」
【木更津】「・・・?」
【高野】「・・・こうなったら、もうどうしようもない。
     香織を倒して、あたしらの手で、新しい世界を作る!」
【木更津】「千佳!?」
【高野】「香織、ごめんっ!フレイムブルーム!!」

高野が火属性の魔術を放ちました。全く予想していなかった木更津に直撃します。

【木更津】「きゃああっ!」

こうして、遂に、かつての親友同士が戦うことになってしまったのです。


                    続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号
ページ番号
65 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日