第20話「半分の、奇跡」・中編
第20話・中編
【神野】「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
地上。3組が突っ込んでから、どれくらい時間が経ったでしょうか。
【牧原】「魔力はあまり使わへんかったけど、体力がもうないわ・・・」
時間はもう夜。ただ、今夜は満月。月明かりで、あまり暗くはありません。
【村井】「・・・どうする?もしここに、SEVENTH HEAVENが出てきたりしたら。」
そう、3組は相当な時間と体力を使って、「半分の奇跡」を起こしたのです。
【ゲオルグ】「そいつぁたまんねぇなぁ・・・」
実際、全員いつ倒れてもおかしくない状況。しかし、だからといって倒れる訳にはいきません。
【サヴィエ】「しかし冷静に考えれば、これだけ戦って下が気づかないはずがないですし・・・」
そういう意味では、絶望的な状況です。
【トリシャ】「冗談抜きで、どうするのよ・・・」
・・・そして。
村井の「もし」が的中してしまいました。
【ガナーシュ】「ほう、旧四天王3組か・・・」
【アインツ】「おいおい、まさか連中、あの部隊をたった3組で!?」
【クレーベル】「いや、彼らの実力なら不可能ではないでしょう。ただ、あちらとてただでは済まないはず・・・」
【ガナーシュ】「つまり、今が狙い目ってトコか?」
【クレーベル】「ええ・・・いきますよ!」
ガナーシュ、アインツ、クレーベル。
運命は容赦なく、3組に襲い掛かります。
3匹が揃って、3組のところへ向かってきます。
【牧原】「・・・どないするんや?」
【神野】「・・・バラけるわ!1組1殺!」
(ペアのあたしらだから、2対1なら何とかなるはず・・・)
神野の指示で、3組は分かれました。
しかし、この指示は常識的に考えると間違いです。なぜならば。
【アインツ】「おい、どうする?」
【クレーベル】「バカめ・・・これで1匹が3組に囲まれることはなくなり、こっちに有利になった・・・
乗ってやれ。んで、確実に始末しようじゃないか。」
と、3匹も散りました。
恐らくあの判断ミスは、神野がかなり疲れていたために生まれたものでしょう。
結果、神野・トリシャにガナーシュ、牧原・ゲオルグにアインツ、村井・サヴィエにクレーベルが対することになりました。
一方、基地を進む主人公一行。
【サリア】「しかし、戸田がいたということは、ひょっとすると、バーミリオン全軍がここに・・・?」
【木更津】「ってことは、まさか・・・」
【サリア】「ええ・・・高野さんも、いるかも知れません・・・」
【ヴァレイユ】「・・・・・」
思わず、黙り込んでしまう木更津とヴァレイユ。
そこに。
【川島】「!?」
【神楽坂】「足音!?」
足音らしき音がして、一行は止まりました。
【ガナーシュ】「終わりだな・・・太陽女王(ヘリオクイーン)・神野由希恵、光の女神(レイゴッデス)・トリシャ=エスペラ・・・」
【神野】「さて・・・それはどうかしらね・・・」
【ガナーシュ】「そんな状態でよく言うな・・・フロスティソードっ!」
ガナーシュはいきなり剣を抜き、神野に斬ってかかりました。
【神野】「くっ!」
神野は一歩も動かずに自らも剣を抜いて受け止めます。
【ガナーシュ】「そんなんで・・・止められるとでも思ってるのかよっ!」
ガナーシュはさらに攻撃を仕掛けます。神野は受け止めるのがやっと。トリシャも疲労もあり、手出しできません。
他の2組も似たようなもの。猛攻をかけるSEVENTH HEAVENに対し、動かずに守るばかりの旧四天王という構図ができています。
【クレーベル】「少々悪いですけど・・・ここで死んでもらいますよ・・・」
【アインツ】「ザマ無ぇな・・・これが旧四天王か?」
地下基地。足音の先に現れたのは。
【木更津】「・・・千佳・・・」
そう、紛れも無く、高野千佳とドルチェ=ステシオでした。
しかし、本当に驚くのは高野ペアの方。まさか、来るとは思ってなかったのですから。
【高野】「香織・・・なの・・・?」
【ドルチェ】「なんで・・・ウソでしょ・・・!?」
高野ペアは全く動かず、ただただ驚いています。
一方の木更津ペアも、動きを止めて、高野ペアの方をただ見ています。
【サリア】(このスキに・・・先に行きます!)
【神楽坂】(い、いいんですか?)
【サリア】(私達には、まだ倒すべき敵がいます・・・ここは彼女に任せましょう)
【川島】(ええ!)
と、木更津ペアと高野ペアの横を素通りするように通り過ぎ、さらに先へ向かいました。
<後編へ続く>