第20話「半分の、奇跡」・前編
一行が突入した、地下基地。
既にバーミリオンは、全軍をここに移動していました。そう、彼らも。
【戸田】「地上で戦闘?」
【横山】「はい、先手を取られたようです・・・」
【戸田】「まぁいい、放っておくか・・・
もし不利なようであれば、ガナーシュ・アインツ・クレーベルの3匹に行かせておけ。」
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)・第20話「半分の、奇跡」
ところが、さらに報告が。
【戸田】「なに?丘の隠し扉から侵入者?」
【横山】「ええ・・・カメラが入ります。」
横山がボタンを押すと、そこには移動する一行の姿が。
【戸田】「永川ペアか・・・だが、他は見慣れん奴だな・・・」
【横山】「いえ、彼は・・・」
と、横山が指したのは、神楽坂。そう、11話で技術界で対峙しています。
【横山】「技術界で永川と一緒に行動していたのを確認しています。」
【戸田】「ほう・・・無関係ではないという訳か・・・
とにかく、このままにはしておけん・・・私が行く。」
【横山】「・・・今、何と?」
横山は、その言葉を疑っている様子。
【戸田】「だから言っただろう。私が行くと。
・・・永川とは、決着を付けねばならん・・・」
【横山】「しかし!」
そこに、前回も現れた、謎の男のペアが。
【男】「横山、行かせてやってくれないか・・・」
【横山】「は、はい・・・」
【チャオ】「ついでに、高野・ドルチェに準備をしておくよう言っておけ。」
【横山】「承知しました・・・」
さて、地上。
【神野】「くっ・・・さすがに多すぎるわね・・・」
【トリシャ】「威勢よく飛び込んだはいいけど、ね・・・」
【村井】「そりゃ、相手が技術界の武器で武装してるからね・・・」
気がつけば、すっかり囲まれてしまいました。
相手は次々に銃を撃ってきます。しかし、天才的な身のこなしで次々と避け、魔術を放つ3組。
さて、敵の撃った流れ弾が逆側にいた敵に当たり、倒れます。
【牧原】「ホンマ怖いな・・・即死やないか。」
【ゲオルグ】「相手は技術界の武器持ってんだから、当然だろ。」
【サヴィエ】「同士討ちを誘えば、何とかなるかも知れません・・・!」
そこに活路を見出した3組は、少し動きを変えました。
自ら倒すのではなく、避けて同士討ちを誘うための動き。
魔術をなるべく使わずに、長期戦に備えます。
何しろ、相手は大勢の部隊。すぐには終わりそうにありません。
地下基地を進む一行が出くわしたのは、大広間のようなところ。
【川島】「広いわね・・・」
【永川】「でも、なんで基地にこんな広い部屋が・・・」
確かに、基地にこんな部屋、一見不必要です。
なのに、この基地にある、理由とは。
【戸田】「『決戦の間』だよ、分かるかい?
・・・永川慶十郎!」
【永川】「戸田光彦・・・貴様がSEVENTH HEAVENのリーダーだったのか・・・」
2人の男が、静かに歩を進めます。
【神楽坂】「あれが・・・」
【カナル】「SEVENTH HEAVENのリーダー・・・」
【サリア】「私たちは先を急ぎましょう・・・」
【サララ】「サリアさん、いいんですか?」
【サリア】「戸田は彼個人の因縁です・・・私が入る余地はありませんから・・・」
と、サリアは歩を進め、近くのドアを開けて、先に進みました。
神楽坂たち3組も、サリアについていきます。
【戸田】「さて・・・邪魔はいなくなったか・・・」
【永川】「何故だ・・・何故2度までも世界に抗う(あらがう)!」
【戸田】「違うな・・・2年前、貴様に敗れた時、私は誓った・・・いつか我が理想を成し、貴様を倒すと!
貴様こそが我が理想に抗っているだけであろう・・・」
【永川】「世界は支配や戦いなど、望んでいない!」
【戸田】「・・・やはり話すだけ無駄なようだな・・・」
【永川】(しかし・・・奴は確かにSEVENTH HEAVENのリーダーだ・・・
だけど、バーミリオンそのものを統率している感じじゃない・・・となると、さらに「上の存在」がいるのか・・・?)
永川は戸田と対峙しながら、考えます。
【永川】(もし魔術師ならば、その存在も相当な魔術師・・・彼らと当たらなければいいが・・・)
「彼ら」とは、神楽坂たち主人公一行のこと。
【戸田】「何を黙っている・・・?それでは、こっちからいくぞ・・・!
セントブラストォっ!」
【永川】「来たか!ブラックレイ!」
まず、両者が一発放ちました。
その魔術は、互いに外れ、消えていきます。
次に2人は、互いに交錯しました。
その瞬間、爆発のような衝撃が広がります。
<中編に続く>