第19話「天国からの、宣告」・後編
第19話・後編
さて、出発から数日後。
一行は、小高い丘の上にいました。
【神楽坂】「今、どのくらいなんですか?」
【永川】「ちょうど半分、というところか・・・」
【ヴァレイユ】「ねぇ、あれ・・・」
【サリア】「あれは・・・」
そこでヴァレイユが指したのは、そこから見える草原にいる、いかにも怪しそうな人たちの集まり。
【トリシャ】「ひょっとして、バーミリオンの部隊!?」
【神野】「見たところ、SEVENTH HEAVENはいないみたいだけど・・・」
と、双眼鏡を見ながら言います。
【永川】「あれが先鋒部隊か・・・どうする?」
【村井】「相手が技術界の武器で武装してるとなると、7組じゃ不利ね・・・」
【木更津】「先輩、ちょっと見せて下さい!」
【神野】「うん、いいけど?」
と、木更津が双眼鏡を受け取りに一歩前に出ると、足元で不思議な金属音が。
【木更津】「何か踏んだ?」
そう言って足元を見てみると。
【牧原】「・・・隠し扉やで、これ・・・」
なんと大発見。
【ヴァレイユ】「またすごい偶然・・・」
隠し扉を開けると、どうやらそこはバーミリオンの基地。
【ゲオルグ】「まさかこんな所に基地が・・・」
【永川】「ここから入れるみたいだね・・・よし、行くぞ!」
と言った、その瞬間。
銃弾が、川島のすぐ右を掠めました。
【川島】「!?」
【サララ】「大変です!気づかれました!」
【牧原】「何やて!?」
そう、草原にいたバーミリオンの部隊に気づかれてしまったのです。
【サヴィエ】「こっちに向かってきます!」
【永川】「急げ!みんな、早く入るんだ!」
・・・しかし。
【神野】「・・・あたしらが食い止めるわ。慶十郎、先に入って!」
【永川】「!?」
【神野】「あの戸田って男を止められるのは、慶十郎しかいないと思うわ・・・」
神野ペアが残るというのです。
【木更津】「そういう役目は、弱いあたしが!」
と、木更津が引き受けようとしますが、
【神野】「香織ちゃんはダメよ。
・・・止めなきゃいけないんでしょ?友達を。」
【木更津】「う、うん・・・」
地上の部隊に、高野やドルチェはいませんでした。それならば、地上にいる理由はありません。
【川島】「香織ちゃんがダメなら、あたしらが止めます!」
【神楽坂】「わざわざ神野さんが止める必要はないじゃないですか!」
しかし、神野はそれでも首を横に振りました。
【神野】「あなた達もダメよ。
・・・主人公とヒロインだし。」
・・・・・。
【カナル】(そっ、そんな理由でっ!?)
【サララ】(なんか私たち、ノセられてません?確実に。)
・・・とりあえず。
永川ペア、木更津ペア、神楽坂ペア、川島ペアの4組が、隠し扉から中へ飛び込みました。
【トリシャ】「さて・・・みんなも早く入ったら?」
残ったのは、神野ペアと、この2組。
【村井】「残念だけど、あたしらはちょっと強情でね・・・今扉を入る気にはならないのよね・・・」
【牧原】「それに、ワイらには扉に入る理由がない。地獄の底までついてったるで・・・」
どうやら、全く入る気がないようです。
【神野】「そう・・・あたしも牧原や朋子相手に強くは言えないわね。勝手にしなさい・・・」
そう喋っているうちに、バーミリオンの部隊が迫ってきます。
そんな中3組は、静かに目を閉じました。
【神野】「そういえば、今思い出したんだけど、あたしらが高3の時、何て言われてたか、覚えてる?」
【サヴィエ】「確か、『4組揃えば、奇跡が起こる』・・・でしたっけ?」
【ゲオルグ】「そういえばあったな、そんな言葉・・・」
【神野】「そこで問題。今、目の前にたくさんの敵。しかも技術界の武器で武装してる。
こっちは慶十郎抜き。・・・奇跡は起こせると思う?」
【牧原】「・・・正直、無理やな。」
【村井】「だけど・・・半分ぐらいなら、いけるんじゃないの?」
【トリシャ】「半分の奇跡、か・・・悪くないわね・・・」
神野と村井が剣を抜きます。村井は、左手に。それは、本気の証。
そして、目を開けました。
【神野】「行くわよ!」
【牧原】「ああ!」
【村井】「ええ!」
そして、大部隊の中に、飛び込んでいきました。
続く