第19話「天国からの、宣告」・中編
第19話・中編
その「友達」とは、高野千佳(たかの・ちか)とドルチェ=ステシオのペア。
小さい頃から仲が良く、木更津と中学までは一緒でした。
同時に高野・ドルチェともに魔力がとても高く、将来を嘱望(しょくぼう)されてもいる存在でした。
ところが、なぜか木更津が行った魔術高校には進学せず、別の街の普通の高校に進学。
それ以来連絡が途絶え、何をしているのかと思いきや、あの画面の右側に映っていたのです。
【木更津】「まさか・・・なんで・・・!?」
【牧原】「残酷やけど・・・間違いないな。そんだけ魔力があるんやったら、SEVENTH HEAVENに居ってもおかしゅうない・・・」
小さい頃から木更津ペアと高野ペアはよく魔術で対決していました。しかし、高野ペアの全戦全勝。
高野ペアの圧倒的な魔力に、木更津は全く歯が立たなかったのです。
(逆に言えば、彼女に対抗すべく、木更津はあのテクニックを身につけました)
【神野】「そういえば慶十郎、あの喋ってた男に見覚えがあるみたいだけど?」
【永川】「ああ・・・奴だ・・・戸田光彦(とだ・みつひこ)・・・!」
実は戸田、2年前の戦い(戦争になりそうなのを止め、エストと箕島千紗が死んだというあれです)の際、永川と戦っているのです。
当時敵グループの幹部でしたが、唯一逃れて生き残っていたのです。
【村井】「あの様子からして、その戸田って男がリーダーで間違いないな・・・」
【サリア】「これで、SEVENTH HEAVENのメンバーが全員判明しましたね・・・」
戸田光彦、ガナーシュ=ヴィデンス、吉川久志(既に死亡)、アインツ=ラッカールト、クレーベル=ゼムリャ、高野千佳、ドルチェ=ステシオ。
【川島】「香織ちゃん・・・大丈夫・・・?」
彼女、相当ショックが大きい様子で、直後は錯乱状態でしたが。
【木更津】「うん・・・大丈夫。
・・・確かめなきゃ・・・千佳がなんであっちにいるのか・・・戻ってこなきゃダメだって、言わなきゃ・・・!
それができるのは、あたししかいない・・・!」
強い決意で、瞳に灯が燈りました。
【神野】「それじゃ、この7組で、北の大地にある奴らの本拠地に乗り込んで、SEVENTH HEAVENを叩く・・・いいね?」
【永川】「ああ・・・」
【牧原】「しかし、ちょうど7組かぁ。SEVENTH HEAVENに対抗する意味で、SEVENTH HELLなんてどうや?」
【村井】「わざわざ名前を付けてる場合じゃないでしょ。」
【カナル】「・・・なぜに俺たちは勝手に追加されてるんだ?」
【サララ】「一応主人公とヒロインだから、としか説明がつかなそうなんですけど。」
数日後、準備を整えた7組は、街を出発。一路、北へ向かいました。
その、北の大地。
【戸田】「・・・これでいいのか?」
【横山】「ええ・・・これであの街の連中全員に、我々の理想を示すことができます・・・
それに賛同し、味方する者も現れるでしょう・・・」
【戸田】「そうか・・・ならいいが・・・」
【横山】「ところで、これから君達はどうするのかね?」
【戸田】「まずは軍隊の様子を見てからだ・・・まだ読めない部分が多いからな。
もし苦戦しているようならば、早めに動く・・・」
【横山】「それならば、ここでゆっくりできるでしょう・・・技術界の武器で武装した我々に敵はいません・・・」
【戸田】「いや・・・旧四天王が厄介だ・・・連中を葬らなければ、我々の勝利はない・・・!」
【横山】「では、どうするのです・・・?」
そこに、階段から男のペアが降りてきました。
【男】「旧四天王ねぇ・・・確かに厄介だ・・・そこで、だ。」
【チャオ】「全軍を進軍させ、同時に我々の本拠地をこの地下基地へと移動する!」
と、チャオが地図を広げて指したのは、ちょうど街と彼らが今いる場所の中間にある場所。
【横山】「無謀な!危険すぎる!」
思わず、横山が叫びました。確かに、危険な賭けでもあります。
【男】「だが、旧四天王が集結した以上、全軍をもって叩かねば勝てないだろう・・・なぁ、戸田?」
【戸田】「は、はい・・・確かに・・・」
かつて永川と戦った男。その強さは、よく知っています。
別室。
【高野】「はぁ・・・」
【ドルチェ】「千佳、どうしたの?・・・やっぱり、香織とヴァレイユ?」
【高野】「うん・・・」
実は彼女たち、戸田からは大会の様子の視察を命じられて街に行き、客に紛れて木更津ペアと村井ペアの試合を観客席で見ていたのです。
【ドルチェ】「大丈夫よ、いくら強くなったといっても、旧四天王には全然勝てなかったじゃん。
あたしらに立ち向かおうなんて、夢にも思ってないはずよ。」
【高野】「そうだよね、きっと・・・」
しかし、彼女たちにしてみれば予想外のことが、実際に動き出していました。
<後編に続く>