第19話「天国からの、宣告」・前編
あの激闘から数十分。
【神野】「・・・マジで出なきゃダメ?」
【トリシャ】「一応準優勝だし、出なきゃダメなんじゃない?」
【神野】「表彰式なんてかったるい・・・こっちは死ぬ思いで戦ったばかりで、早く寝ちゃいたいのに。」
とは言ったものの、さすがに欠席する訳にもいかず、しぶしぶ出ることに。
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)・第19話「天国からの、宣告」
という訳で、表彰式。
【サヴィエ】「ところで・・・」
【村井】「どした?」
【サヴィエ】「なんで表彰されるのがあの2組だけなんでしょう・・・」
【牧原】「そういえばそうやな・・・3位決定戦でもやりゃええのに。
準決勝で勝ったペアと負けたペアで、扱いが違いすぎるで。」
【村井】「確かに。だけど、コイツと3位決定戦はやりたくないなぁ・・・」
【牧原】「どーいう意味やソレ。」
【ゲオルグ】「お静かにー、表彰式が始まりますよー・・・」
【司会】「それではこれより、表彰式を始めます。
まずは準優勝、神野由希恵・トリシャ=エスペラ組!」
そう名前を呼ばれると、彼女たちは台にあがりました。
歓声に、手を挙げて応えます。
そして、大会の役員から、銀メダルが胸にかけられました。
【神野】「・・・ま、いっか。素直に喜んでおこっと。」
【村井】「なんであそこまで準備しといて、銅メダルがないんだか・・・」
【ゲオルグ】「もう止めないか・・・」
【司会】「そして、優勝は・・・永川慶十郎・サリア=ハージェス組!!!」
会場がよりいっそう、大きな歓声に包まれます。
その中で永川とサリアが台に上がり、手を振ります。
【神楽坂】「はぁ、やっぱり遠い世界の人なんだよなぁ・・・」
と、その様子を観客席で見ながらポツリ。
【木更津】「・・・そういえば、あれ、何だろ?」
【ヴァレイユ】「ん?」
木更津が指したのは、会場の外側。
ヴァレイユが見ると、見慣れないポールのようなものが立っていました。
そして、永川とサリアが大会役員から金メダルを受け取った、その瞬間。
爆発音が、響きました。
【永川】「!?」
【神野】「えっ!?」
【川島】「な、何なの!?」
大騒ぎになる会場。
【神楽坂】「あ・・・あれは!?」
【カナル】「なんで、ここに・・・」
そこで、神楽坂とカナルが見たのは。
【男】『我々は、バーミリオン幹部組織「SEVENTH HEAVEN」だ!』
どう考えても、そこにあったのは、巨大な画面。
会場の両端に建っていたポールを結ぶようにして、会場の真上に画面が映りました。
無論、こんなものが魔術界に元々あるはずがありません。
【村井】「SEVENTH HEAVENっ!?」
画面に映っていたのは、ある人間の男。しかし、村井に見覚えはありません。
その両脇には、SEVENTH HEAVENの面々が。そこには、ガナーシュやアインツ、クレーベルも映っていました。
【サララ】「恐らく、あの横山って教授がこの装置を・・・」
【川島】「そんな事はどうでもいいわ!今は連中の話を聞くのが先よ!」
確かに、技術界の技術であれば簡単ですが。
【男】『我々の理想はただ1つ!魔術と技術の融合による、新世界の創造!
そのために我々は、この世界を制す!志ある者は、我々と共に進むがいい!』
【永川】「奴は・・・まさかっ・・・!!」
【牧原】「くっ、いつの間に現れおったっ!」
と、牧原が構えますが、
【神楽坂】「それはいわば幻です!本物じゃありません!」
と神楽坂の一言により止めました。
【男】『近々、我々の友軍が街に現れるだろう・・・期待して待つがいい!』
男がそう言うと、画面は消えました。
再びざわつく会場。
そんな中、とっさに永川ペアと神野ペアは他の5組がいた観客席のところへ移動しました。
【永川】「連中が遂に動き出した・・・今まで出で来なかったのは、このための準備だったんだ・・・!」
【サリア】「しかし、いつの間に・・・」
【神野】「世界を征服しようと思ったら、どうしたって準備期間が要るわ。
奴らは、あたしらが大会をやっている間を利用して準備期間に充てた・・・」
【村井】「こうなったら、こっちも動かずにはいられないわね・・・」
【牧原】「確か、連中の本拠があるんは、北の大地やったか?」
【永川】「ああ・・・」
そんな中、あの映像が映って以来、呆然としているペアが1組。
【木更津】「う・・・うそ・・・でしょ・・・?」
【サララ】「どうしたの?」
【ヴァレイユ】「あたしらの友達が・・・あそこに映ってた・・・」
<中編に続く>