第18話「皇帝と、女王」・中編

第18話・中編


永川慶十郎と、神野由希恵。2人の過去を、話し出しました。
【牧原】「永川はんは、小さいころ病弱やったらしいで?
     そん時から魔力は別格やったけど、まさか魔術師にはなれんやろって、思われとったらしい。」
【川島】「えっ、そうなんですか!?」
驚く川島。
【村井】「由希恵も小さい頃はものすごい臆病だったらしいね。
     やっぱり魔力はあったらしいんだけど、魔術師になるのは無理だって言われてたんだって。」
【神楽坂】「へぇ・・・」

【サヴィエ】「そんな2人を変えたのが、パートナーのエストやトリシャであり、また魔術だった、と聞いてます。
       細かい話は、私たちも聞いたことありませんが・・・」
【ゲオルグ】「俺たちは高校に入ってから知り合ったしな。そんな過去の話、誰だってあんまり話したくはねぇだろ。」

【カナル】「人って、変わるんだな・・・なぁ、神楽坂?」
と、神楽坂を見上げて言いました。
【神楽坂】「俺を見て言うなよ・・・」
・・・確かに。

【牧原】「にしても、小さい時に苦労した方がええんかなぁ・・・?
     ワイはガキん時魔術で遊んでばっかやったけど。」
【村井】「かもね・・・あたしは物心ついた時から親に剣術の練習させられてたし。」

【牧原】「しかし、そんな2人が今、魔術師の頂点を賭けて戦うてるなんて・・・なぁ・・・」


【永川】「はあぁっ!」
【神野】「ええいっ!」
2人の想いが激しくぶつかった時、2人の大剣は砕け、光と闇の粒が散りました。

【永川】「これもダメ、か・・・」
【神野】「そりゃ、魔力が続く限り何回でも作れるけど・・・結果は同じ、ね。」

【トリシャ】「ふぅ・・・サリア、あなたは立派な慶十郎のパートナーよ・・・あたしが認めるわ・・・」
【サリア】「いいえ、私はまだまだです・・・ですが、このままでは決着を見るのは難しい・・・」
【トリシャ】「ええ・・・と、なれば・・・」

サリアとトリシャは互いに頷いて、それぞれのパートナーのところへと戻りました。

【サリア】「どちらも、互角のようですね・・・」
【永川】「ああ・・・」

【神野】「大丈夫、トリシャ?」
【トリシャ】「ええ、もちろん。・・・となると、次は・・・」


【実況】「今度は2対2のコンビバトル!!両者完璧なコンビネーションを見せる!!」


【神野】「ブライティショット!」
【サリア】「グランドウォール!」
神野の攻撃をサリアが止めているうちに、永川が回りこみ、剣を抜きます。
【トリシャ】「させないわ!」
トリシャがとっさに盾を作って食い止めると、自らも剣を抜き、空中から永川に斬ってかかります。
人間と違い「上」からも、三次元の方向から自在に攻撃するトリシャ。さすがの永川も、ついていくのがやっとです。
【永川】「くっ・・・」
【サリア】「ケイっ!アーシィ・グレイブっ!!」
サリアが駆けつけます。魔術発動、トリシャは不利とみて下がります。
しかし永川が体勢を立て直す前に、入れ替わるように神野が突っ込み、
【神野】「シャイニングボールっ!」
永川の、目の前で撃ちます。

【村井】「まさか、あれを零距離でっ!?」
【牧原】「いくら慶十郎はんでもっ!」
と、村井や牧原が驚く程の威力を持つ技。

しかし永川は、
【永川】「ダークネスフィールド!」
盾をとっさに発動。

激しい火花が、散ります。
【神野】「はああぁぁっ!」
【永川】「ぐ・・・っ!」
しかし、結果は引き分け。両方とも、砕け散りました。


【神野】「くっ・・・アタッキングソード・ツインっ!」
準決勝に続き、巨大な両剣です。

【神楽坂】「出た!」
【木更津】「永川先輩はどうするの!?」

【永川】「ブラックブラスターっ!」
射撃技。防御技を持たない神野はその剣を振り回して防ぎます。

【村井】「なるほど、これで相手の動きを止めて・・・」

【サリア】「今です!スプリット・フィールド!!」

【牧原】「サリアはんが突っ込む、と。」
【ゲオルグ】「だが、向こうもやる事は分かってるみたいだな・・・」

【トリシャ】「させないわ!フェアリーアタッカーっ!」
【サリア】「くっ!」
サリアが攻撃する直前にトリシャが先制攻撃。しかしサリアも耐えます。

一方神野は永川の攻撃が切れた瞬間を狙い、一気に永川のところに飛び込みました。永川は素早く剣を抜いて止めます。
神野のパワーを受け流し、明らかに神野より細い剣でありながら攻撃を全て止めてみせます。

【川島】「は、速い!?」
【サララ】「剣が・・・見えない・・・」

しかし、それでもなお決着はつかず。
【カナル】「・・・終わるのか?これ。」
【神楽坂】「どうなんだろう・・・」


【神野】「ふーっ・・・さすがに疲れてきたわね・・・そろそろ決着つけない?」
【永川】「そうだね・・・ずっとこうやってても、多分終わらない・・・」

2人が少し下がり、構えました。
そして、それぞれのパートナーに。
【神野】「トリシャ、後を頼むわ・・・」
【永川】「サリア、大変かも知れないけど・・・よろしく。」
そう言い残しました。

【村井】「・・・いよいよ、か・・・」
【牧原】「終わるのが惜しいけどなぁ・・・」

そして両者、必殺技を放ちます。

<後編に続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第221号
ページ番号
58 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日