第18話「皇帝と、女王」・前編

決勝戦当日。いよいよ、その時です。会場は、超満員。

【実況】「さぁ、いよいよ今年の魔術大会も決勝戦!勝ち残ったのは、やはりこの2組!
     無敵の『皇帝』(ザ・エンペラー)、永川慶十郎と、彼の死んだ恋人のパートナー、サリア=ハージェス!!
     そして最強の太陽女王(ヘリオクイーン)、神野由希恵と、彼女の盾となる光の女神(レイゴッデス)、トリシャ=エスペラ!!」

2組が、両側から入場します。
【永川】「・・・。」
【サリア】「ふぅ・・・」

【神野】「いよいよね・・・」
【トリシャ】「ええ・・・」


魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)・第18話「皇帝と、女王」


それを、観客席から見る主人公達。
【神楽坂】「どっちが勝つんだろう・・・」
【川島】「どっちもあたしらには雲の上だしね。」

【牧原】「いいか、アンタら。
     この戦い、死んでも見逃すんやないで・・・」
牧原が言います。・・・死んだら見れないような気がしますが、まぁいわゆる比喩という事でスルー。
【村井】「それくらいみんなも分かってるでしょ。
     ・・・正直、あたしや牧原としても気になるからね・・・」

【木更津】「そういえば、2組が戦ったことってないんですか?」
木更津が聞きます。
【サヴィエ】「千紗とエストが死んでからは、1回もないですから・・・」
【ヴァレイユ】「なるほどね・・・」

【審判】「時間無制限、人間・チャオ共にKOされたらそこで終了!・・・いいですか?」
2組が、コクリと頷きます。

そして、向かい合って、握手しながら、一言。
【神野】「・・・この戦いが終わった後も、こうして握手できるように・・・いい?」
【永川】「ああ、純粋な『バトル』だ・・・」

そして、一歩下がり、構えました。

【審判】「それでは、いいですか・・・レディー・・・ゴーっ!!」

【永川】「行くぞ!」
【神野】「ええ!」
永川と神野はいきなり剣を抜き、斬ってかかりました。


【カナル】「始まったぜ・・・」
【サララ】「いよいよですね・・・」


【サリア】「スプリット・フィールド!」
【トリシャ】「スパイラルシールド!」
サリアの攻撃を、トリシャが止めます。

【トリシャ】(サリアは地属性・・・空を飛べるチャオにとって地属性はそれだけで不利・・・)
しかし、気がつくと、サリアは彼女の目の前にいました。攻撃に隠れて移動していたのです。
【トリシャ】「!?」
【サリア】「ジオスマッシュ!!」
【トリシャ】「きゃああっ!」
サリアが先制。

【トリシャ】「サリア、千紗のパートナーだった頃より、よっぽど強くなってるじゃない・・・」
【サリア】「かも知れませんね・・・あの人についていれば、自然と・・・」
【トリシャ】「こっちも本気でいくわ!フェアリーアタッカーっ!!」
トリシャの手元から光が散り、それぞれが複雑な軌道を辿り襲います。これを撃ち落とすのは至難の業。
しかしサリアは、
【サリア】「グランドポール!!」
正確な位置把握で地から柱を次々とせり上げ、全て相殺しました。
・・・が。
【サリア】「しまった!?上!?」
その間にトリシャは、上に回りこんでいたのです。
【トリシャ】「はああぁっ!」
剣を突き立て、サリアのところに飛び込みました。
【サリア】「くっ・・・!」
こちらも直撃。これで互角です。

【実況】「どっちも凄い事になってるぞ!!まさに究極の魔術戦!」

【神野】「そこっ!」
神野が永川の一瞬のスキを突き、踏み込みました。剣先が永川の顔をかすめますが、あと一歩。
【神野】「!?」
【永川】「踏み込みが・・・甘い!」
踏み込めば、当然スキができます。永川は、そこを突きました。
しかし神野も神野。サッと向きを変え、その剣を受け流します。
【神野】「これであたしを斬れるなんて・・・甘いわ、慶十郎!」
と、ニヤリ。お互い様です。

【牧原】「どないや、朋子はん・・・今のあの2人に、剣で勝てそうか?」
【村井】「あー、それは無理。元々勝てるかどうか分からないのに、気迫が違いすぎるっての。」
ただし、元々勝てるかどうか分からないというのは、村井の謙遜。実際は、純粋に剣の腕では村井が一番です。

永川と神野は、そのまま剣で戦い続けますが、しばらくして。
【神野】「ねぇ、思ったんだけどさぁ・・・こーいうのは、朋子に任せない?」
【永川】「それもそうだね・・・折角観客もいるんだ、もうちょっと派手に行こうか・・・」
【神野】「ええ・・・アタッキングソード!」
【永川】「インペリアルソードっ!」
二人とも、剣を大剣に変えました。途端に、緻密な攻防戦から派手な斬り合いに変化します。

【神野】「はあぁっ!」
【永川】「遅いっ!」
神野が大剣を右から振ります。永川は飛んで避け、上から突き立てて襲いますが、今度は神野がかわします。
派手さを増す戦いに、会場のボルテージは最高潮。

【神楽坂】「す・・・すごい・・・」
【川島】「パワー、スピード、テクニック・・・全部が違いすぎるわ・・・あたしらは、所詮異世界から来た普通の高校生なのよ・・・」

【ゲオルグ】「・・・いや、そうでもないんだぜ?」
【神楽坂】「え?」
そして、牧原ペアと村井ペアが喋りだしました。

<中編へ続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第221号
ページ番号
57 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日