第１７話「４組の、戦い」・後編

第１７話・後編


【牧原】「くっ・・・あれを出されると危ないわ・・・こっちは剣持ってへんしなぁ・・・
　　　　　ゲオルグ！」
【ゲオルグ】「ああ！」
牧原はゲオルグを呼びました。

【神野】「突っ込むわ！フォローお願い！」
【トリシャ】「ええ！」
神野は巨大な剣を１つにして、牧原とゲオルグのところに飛び込みました。
（２つ繋げると振り回すのには好都合ですが、なかなか扱いにくいものです。
　神野は上手く使い分けることによって、独自のスタイルを生み出しています）

そして。
【神野】「はあああぁぁっ！！」
一撃、横に振りました。
【ゲオルグ】「しまったっ！？」
ゲオルグに直撃するコース。


・・・ところが。
【ゲオルグ】「・・・ん？」
ゲオルグの感覚が正しければ、神野の一撃は自分を直撃していたはずです。なのに、ノーダメージ。

【神野】「ゲオルグ・・・アンタ、天才？」

なんと神野の剣は、ゲオルグのポヨと頭の間の隙間を空振りしたのです。つまり、セーフ。
【トリシャ】「狙っても無理よねぇ・・・絶対・・・」

【神野】「・・・っていうかその隙間ってどうなってんのよっ！マイティシュートっ！」
【ゲオルグ】「知るかよっ！ジオフィールドっ！」
・・・敵同士で漫才しながら戦わないで下さい。一応、大会の準決勝なんですけど。

【ヴァレイユ】「そういえば、なんでついてくるんだろう、これ。」
頭の上のポヨを触りながら、ヴァレイユも首を傾げます。当然、ハテナマークに。
【木更津】「技術界って、そういうの解明できてるの？」
【川島】「いや、これはあっちでも謎よ・・・」
　　　　（なぜか三日月のポヨを持ってる変なチャオはいるけど・・・）
ちなみに、向島きょうじゅのこと。きょうじゅについては第２部参照。


・・・気を取り直して。

【ゲオルグ】「グラウンド・ポール！」
地面から柱が次々とせり上がっていきます。
【神野】「そんな柱ぐらい・・・牧原がいない！？」
神野が柱を壊そうとしますが、その異変に気づき一瞬動きが止まりました。

【牧原】「ワイならここやっ！」
【神野】「上っ！？」
なんと、牧原は柱に乗っていたのです。そして飛び降り、上から。
【牧原】「サンダーナックル・・・インパクトぉぉぉっ！！！」
牧原の必殺技。直接殴ると同時に強力な魔術を放ちます。上からの攻撃で威力倍増、普通の人には止められません。
物凄い衝撃音が、会場に響き渡りました。


【カナル】「ど、どうなった！？」
衝撃が収まると、そこには意外な光景が。

【牧原】「神野はんが・・・いない！？」
いたのは、トリシャ。最も、倒れていますが。
【審判】「トリシャ、失格！」

神野は、ここにいました。
【ゲオルグ】「い、いつの間にっ！？」
【神野】「はああぁぁぁっ！」
ゲオルグのところ。神野の渾身の一撃が決まり、ゲオルグも失格。

【牧原】「ゲオルグっ！？・・・そうか、そういう事やな・・・」
牧原が必殺技を決める直前に、神野の目の前にトリシャが飛び込み庇ったのです。
あれをマトモに食らってしまうと、いくら神野といえどただでは済みません。
しかし、強力な防御技を持つトリシャならＫＯされる程度で済む。実際、トリシャはすぐに立ち上がり、戦いに影響しない場所まで下がりました。

【神野】「トリシャ・・・何度も助けられてばっかりね・・・決めるわ！
　　　　　舞えよ不死鳥！フェニックスレイっ！！！」
今度は、神野の必殺技。光が巨大な不死鳥を形作り、牧原のところへ向かっていきました。

大剣を振り回すのが得意な神野の必殺技が射撃系とは意外な気もしますが、剣は作って振り回せばそれで済むものです。
逆に大きすぎると扱いにくい。だからこそのこの技なのです。

【木更津】「ま、牧原先輩・・・」
【ヴァレイユ】「防御しない！？」

牧原はそのままフェニックスレイを受け止めるように立ちました。
【牧原】「はぁ・・・いつまで経っても神野はんには勝てんなぁ・・・」
そのまま攻撃を正面から受けて、牧原は失格。神野・トリシャペアの勝利です。

【神楽坂】「でも、なんで何もしなかったんですか？」
【村井】「あの状況だと、何をやっても負けるからね・・・」

牧原は必殺技を撃った直後で魔力が回復しておらず、必殺技を撃って相殺する訳にはいきません。
そして防御ができない雷属性。逃げる暇もないとなれば、こうするしか無かったのです。

【川島】「あとは決勝ね・・・」
【ヴァレイユ】「先輩には失礼だけど、順当ね。」
永川・サリアペアと神野・トリシャペア。魔術界最強を決める戦いです。


一晩休んで、翌日。
いよいよ、決勝戦が始まります。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く