第17話「4組の、戦い」・中編
第17話・中編
【ヴァレイユ】「ど、どうなったの!?」
衝撃が収まると、そこには永川とサリアが、まだなお立っていました。
【カナル】「失敗か!?」
【サリア】「・・・ええ、失敗ですね・・・未完成・・・で・・・す・・・」
そのまま、サリアは倒れました。
【審判】「サリア、失格!」
【木更津】「やられたのに未完成って、どういう事!?」
【ヴァレイユ】「村井先輩とサヴィエ先輩、そして最強の『舞』でしょ?
・・・例え倒したとしても一瞬でも立っていられるんだったら、それは失敗なんじゃない?」
・・・そう、この程度の破壊力ではないはずなのです。本来の夢浮橋は。
そしてそれは、本人が一番よく分かっていました。
【村井】「くっ・・・やっぱダメか・・・!」
村井もサヴィエも、立っているのがやっと。もう体力の限界です。
・・・そして、永川は。
【永川】「そうだね・・・夢浮橋は未完成・・・サリアには悪いけど、サリアは倒れても僕は倒れない・・・」
こちらもかなりの傷ですが、立っています。
次の瞬間、永川は剣を抜き、村井とサヴィエを一撃。
村井もサヴィエもそれを受けるだけの力は残っておらず、
【村井】「やっぱり・・・無理だったのかな・・・永川に勝つなんて・・・」
【サヴィエ】「そう・・・ですね・・・」
そう言い、倒れました。
【審判】「そこまでっ!永川・サリアペアの勝ちっ!」
【永川】「・・・大丈夫?」
直後、永川は村井のところへ。
【村井】「ええ・・・負けたけど、なんかスカッとした・・・」
村井は自力で立ち上がり、永川と一緒に控え室へ戻っていきました。
【神楽坂】「・・・これが・・・」
【カナル】「四天王レベルの戦い・・・」
【サララ】「4年以上も仲良くしながら、試合となれば互いに死力を尽くして、んで直後にはもうああやって普通に話してる・・・」
【川島】「あたしらは・・・無理ね。」
川島はチラリと神楽坂の方を見て、即答。一応、10年以上の腐れ縁です。
【神楽坂】「無理だな・・・」
控え室。神野ペアと牧原ペアがいるところに、永川ペアと村井ペアが戻ってきました。
【トリシャ】「あ、戻ってきた。」
【ゲオルグ】「で、どっちだ?」
【村井】「見事にやられた。やっぱ勝てないね、あたしじゃ。」
【永川】「それじゃ、次の試合・・・頑張って。」
【牧原】「ああ!」
【神野】「ええ!」
代わるように、神野ペアと牧原ペアが出て行きました。
そして、第2試合。
【神楽坂】「次は神野さんペアと牧原さんペアか・・・どうなるんだろう。」
【牧原】「読者の皆はんには初披露か・・・いくで、ゲオルグ。」
【ゲオルグ】「分かってる。」
【神野】「牧原相手なら、本気を出しても問題ないわね・・・いくわよ、トリシャ。」
(というか、本気を出しても勝てるかどうか分からない相手なんだけどね)
【トリシャ】「もちろん。」
【審判】「レディー・・・ゴーっ!!」
その合図がされるや否や、牧原が先制攻撃を仕掛けます。
【牧原】「スクリューサンダーっ!!」
神野とトリシャがさっと避けると、外れた攻撃は地面に激突。巨大な埃を巻き上げました。
【木更津】「あれが・・・」
【ヴァレイユ】「『破壊王』牧原雅幸・・・」
神野も負けてはいません。
【神野】「アタッキングソード・・・ツインっ!!」
4話の神楽坂ペア戦で見せた大剣が、2つ繋がりました。
それをグルグルと振り回し、牧原の猛攻を全て薙ぎ払います。
【川島】「な、何あれ・・・あんな巨大な剣を2つ繋げて、余裕で振り回して・・・!」
最も、技に「重さ」はほとんどありませんが。
【木更津】「聞いた事ある・・・神野先輩の得意技で、あれを目の前にして生き残れた敵はいないって・・・」
【ヴァレイユ】「二つ名が『太陽女王(ヘリオクイーン)』なのも、あの豪快さが由来なのよね。」
【トリシャ】「フェアリーアタッカーっ!」
【ゲオルグ】「ジオクラッシャーっ!!」
トリシャが光を飛ばし攻撃を仕掛ければ、ゲオルグが地を操り攻撃を止める。
こちらも見応え十分。
どちらも派手さをウリとしているペア。戦いは徐々にド派手な方向へと向かっていきます。
観客のボルテージも最高潮。神楽坂たち3組も釘付けです。
と、そこに。
【村井】「お、やってるね。」
【永川】「あの2組がやると、いつものことながら派手だね・・・」
戦いを終えた村井ペアと永川ペアが、観客席の神楽坂たちのところへ。
【サララ】「だ、大丈夫なんですか!?」
【村井】「うん、こんぐらい平気。昔もしょっちゅう負けてたから慣れてるし。
それに・・・」
【カナル】「それに?」
【サヴィエ】「この戦いの行方は、どうしても見ておきたいですし・・・」
と、2組は座りました。
<後編に続く>