第14話「刃と、銃」・中編

第14話・中編


クレーベルの剣は神楽坂の目の前をかすめ、神楽坂はすんでのところで後ろに下がりました。
【クレーベル】「外れましたか・・・だけど!」
クレーベルはなおも迫ります。
【神楽坂】「レイグラディウスっ!」
クレーベルの2撃目は神楽坂が剣で受け止めます。

【カナル】「おい、大丈夫か!?」
【神楽坂】「大丈夫っ!」
しかし、相手はSEVENTH HEAVEN。久しぶりの実戦である神楽坂一人では、ハッキリ言って無理。
すかさずカナルが拳銃を数発撃ちますが、
【クレーベル】「残念だけど・・・僕はそれを知っているんだよねぇ・・・」
クレーベルは簡単にかわします。

再びクレーベルの刃は神楽坂へ。彼は受け止めますが、力の違いを感じました。
【神楽坂】(コイツに剣じゃ勝てない・・・ならっ!)
神楽坂は数歩下がり、
【神楽坂】「ホワイトメイズっ!」
遠くから1発。

しかし、次の瞬間、神楽坂の視界からクレーベルが消えました。

【神楽坂】「!?」

なんと、クレーベルは、カナルの目の前に。
【クレーベル】「君、魔術を使わないなんて・・・変だなぁ・・・」
そう言い、魔術を一撃。
【カナル】「ぐわああっ!」
【神楽坂】「カナルっ!」

しかし、クレーベルは休む間もなく、神楽坂の方へ。
【神楽坂】「しまったっ!?」
【クレーベル】「翼を持たない人間なんかに、翼を持つ僕らチャオが負ける訳ないでしょう・・・?」
そう言い、剣で一撃。

神楽坂の左腕から、血が吹き出しました。
【神楽坂】(ま・・・負けた・・・状況が圧倒的に不利とはいえ・・・っ!)
そのまま、崩れ落ちる神楽坂。

【クレーベル】「まぁ、殺しはしませんよ・・・ちょっと状況的に不利なんでねぇ・・・」

クレーベルとしても誤算でした。
四天王は永川ペアしかいないと踏んで襲撃したものの、実際には村井ペアまで。
こうなると本来の目的は果たせません。技術界から来た魔術師1組を倒したところで無意味です。

クレーベルは全軍に撤退するよう合図をすると、自らも消えました。


【木更津】「あれ、いなくなっちゃった?」
【川島】「逃げるつもり!?」
【永川】「状況が不利とみて、撤退したんだろう・・・」
【村井】「とりあえず、何とかなったわね・・・」
こちらも戦闘終了。

【川島】「あれ?そういえば神楽坂は?」
【サヴィエ】「多分、裏の方に・・・」

そう言われ川島とサララが木更津家の裏の方へ回ると、そこには左手を抱える神楽坂と、倒れているカナルが。
【川島】「ちょ・・・ど、どうしたのよ!?」
【神楽坂】「SEVENTH HEAVENが・・・」
【サララ】「ちょっと待って下さい、すぐに皆さんを呼んできます!」
サララは急いで、表の方へ向かいました。

【神楽坂】「バカだよな、俺・・・カナルが魔術使えなくて、久しぶりの実戦で・・・
      そんでもって家の裏に1組で向かったら、絶対こうなるってのに・・・」
【川島】「あのねぇ、運が悪いだけでしょう!?誰もSEVENTH HEAVENがいるなんて思ってなかったんだし!
     だから・・・しばらく黙ってなさいよ・・・傷が広がったらどうするのよ・・・!」

そのまま、黙りました。上を見上げます。
雨がやむこともなく、ただ空から落ちてきていました。


【村井】「吉川、ガナーシュ、アインツに続きクレーベルか・・・
     いよいよ向こうも本気だね・・・」
木更津家の中。神楽坂は左手以外は大きなケガはなく、カナルも軽傷。
【永川】「悪い・・・僕が魔術界に呼んだばっかりに・・・」
【神楽坂】「いいんです、このくらいなら、覚悟してましたから・・・」

【サリア】「ところで、これからどうするのですか?」
【永川】「とりあえず、神楽坂君ペアと川島さんペアを技術界に帰して・・・」
と、そこに。
【川島】「待って!あたしらもついていくわ。」
【永川】「だけど、ここから先は多分向こうも本気で攻めてくる・・・この程度のケガじゃ、今度は済まないかも知れない!」
と、神楽坂を指します。確かに、敵はまだまだいます。吉川以外、誰も倒してないのです。

【永川】「悪いことは言わない。帰った方がいい・・・」
しかし、意外な人物がそれを止めました。

【村井】「・・・ねぇ、永川さぁ、もしアンタが逆の立場だったら・・・どうするの?
     あたしはよく知らないけど、さっき見たよりずっと危ない武器があるっていう技術界に、アンタはコバルトポール目掛けて飛び込んでいった・・・」
【永川】「でも、あれとこれとじゃ違う!」
【村井】「いや、違わない・・・2年前、戦争になりそうだからって、魔術もロクに使えないのに飛び込んでったのは誰?
     ・・・あたしであり、アンタであり、千紗だったんでしょ!?」
【永川】「だから僕はっ!」
なおも永川は否定します。2年前箕島を失った以上、彼らにそんな思いはさせたくないのです。
しかし、村井も下がりませんでした。
【村井】「だったら、戦いつつ、彼らをそうさせないようにする・・・それがアンタの役目なんじゃないの?」

<後編に続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第217号
ページ番号
46 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日