第１３話「その後を、追って」・後編

第１３話・後編


・・・こうして、勢いよく魔術界へ飛び込んだはいいんですが。
【川島】「・・・あれ、雨？」
【神楽坂】「みたいだね・・・」
魔術界は、雨でした。

とりあえず、木更津の家へ。
【川島】「お邪魔しまーす！」
出迎えたのは、木更津ペア。
【木更津】「久しぶり～っ！」
【ヴァレイユ】「ご無沙汰してます。」

入って、奥の部屋へ案内されると、永川ペアと、もう１組、見慣れない女性のペアがいました。
【女性】「永川、この２組が、例の？」
【永川】「ああ、技術界から来て、吉川を倒した２組。」
【チャオ】「なるほどね・・・」

【永川】「紹介するよ。このペアが、僕の魔術高校時代の『四天王』仲間、村井朋子とサヴィエ＝デュセノ。」
【村井】「よろしく。」
【サヴィエ】「よろしくお願いします。」

【神楽坂】「こちらこそ、よろしくお願いします。」
【川島】「吉川を倒したってのは、嘘だけどね。」
・・・まぁ、半分本当で半分嘘なようなものですが。

村井朋子（むらい・ともこ）とサヴィエ＝デュセノ。
氷属性の村井は、魔力に劣りながら、天才的な剣術で魔力的には格上の相手を次々に撃破します。
そこからついた二つ名は、「乱斬りトモコ」。
そしてサヴィエは風属性。こちらは天性の才能から、「風娘」と呼ばれています。

【村井】「そんな、天才とかじゃないって・・・ただあたしは、魔力がないから必死にあがいてるだけだし。」

【ヴァレイユ】「にしても、旧四天王が２組も・・・後の２組はどうしているんですか？」
【永川】「僕はサリアと１組でずっと旅してたから、ちょっとね・・・知ってる？」
【村井】「あたしも最近見てないわね・・・まぁ、あの２組のことだし、元気にやってるでしょ。」
【サヴィエ】「そうですね・・・それに、バーミリオンと対していれば、いつかは会うんじゃないですか？」
【サリア】「確かに、戦っていれば会いそうな気がします・・・」

ちなみに、そのうちの１組はもちろん神野・トリシャのペアです。

【永川】「で、本題なんだけど・・・説明、してもらえる？」
【川島】「ええ、もちろん。」
すると川島は、リュックをひっくり返しました。
出てきたのは、たくさんの拳銃。

【神楽坂】「い、いつの間に！？」
神楽坂は当然ビビります。近所の幼馴染（？）がこんなものたくさん持ってたらたまったもんじゃありません。

【川島】「ああ、これはあの２時間の間にリネージュ先輩に頼んでおいたのよ。」
【神楽坂】「あ、そういう事か・・・」
そう、あのダンボール箱の中身は拳銃だったのです。それも、たくさんの。

【サヴィエ】「これは・・・？」
【川島】「これが、技術界で主に使われている武器よ。
　　　　　ちょっと実践してみたいけど・・・雨じゃちょっとね。」
【村井】「雨に弱いの？」
【川島】「そうじゃないんだけど、みんな濡れちゃうの嫌でしょ？」
外は、雨です。

【村井】「いや、あたしは構わないけど。ねぇ、サヴィエ。」
【サヴィエ】「チャオはあんまり関係ないですし。」
【木更津】「タオル準備しておこっか？」
話は決まりました。全員、庭に出ます。

雨の庭。川島が１丁持って、説明を始めます。
【川島】「この鉛の弾を、もの凄い速さで飛ばすの。急所に当たったら、確実に死ぬわ。」
左手には、弾丸。
【サヴィエ】「どのくらいの速さなんですか？」
【神楽坂】「多分、魔術界では出せない速さだと思う。正面にいたら、絶対に避けられないし・・・」
【村井】「なるほど、ねぇ・・・」

【川島】「撃ってみるわ。下がってて。」
そう言うと、引き金に手をかけて、狙いを定めました。神楽坂ペアの誘導で、みんなは下がります。

そして、一発。
雨の中に乾いた銃声が響きました。

川島が撃った弾丸は、少し向こうにあった木製の柵を砕いていました。
【村井】「これが・・・技術界の武器・・・」
【永川】「改めて見ると・・・凄いな・・・」
【サリア】「そうですね・・・」

と、その時。
背後から、気配を感じました。
【サリア】「スプリット・フィールド！」
すかさずサリアが魔術を発動します。
向かってきた攻撃は相殺されました。

【永川】「攻撃！？」
【木更津】「ど、どこから！？」
すると、バーミリオンの兵士が次々と現れます。
【村井】「囲まれてる！？」

【川島】「・・・いきなりバトルのようね・・・久しぶりの肩慣らしにはちょうどいいわ！」
【神楽坂】「そう考えられるなんて羨ましい・・・」

【永川】「このメンバーなら何とかなりそうだ・・・いくぞ！」
かくして、いきなり戦闘開始です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　来週へ続く