第11話「空と、海の、狭間で」・中編

第11話・中編


【永川】「き、貴様は・・・っ!」
永川たちの方に現れたのは、1匹のチャオ。
【???】「へぇ、こりゃラッキーだなぁ・・・」

【ヴァレイユ】「誰なんですか?」
【永川】「黒幕は貴様か・・・SEVENTH HEAVEN、アインツ=ラッカールトっ!!」

なんと、バーミリオン側も「扉」を確保していたのです。

【川島】「せ、SEVENTH HEAVEN!?」
【木更津】「・・・えっと、吉川を倒して、ガナーシュが逃げて、ここにアインツがいるから・・・これで2匹と1人か。
      あれ?でも、吉川を倒したから、『SIXTH HEAVEN』じゃないの?」
【永川】「名前の問題じゃないと思う・・・」
はい、確かに。

【アインツ】「とにかく、終わりだ、永川慶十郎・・・今のオレには、これがある・・・」
と、取り出したのは、
【ヴァレイユ】「こ、コバルトポールっ!?」
【永川】「くっ・・・」
これではさすがの永川ペアも、勝てそうにありません。大ピンチです。


一方。
【ルーティア】「あ、あなたは・・・」
こっちにいたのは、一人の人間。
【神楽坂】「・・・知ってるんですか?」
【ルーティア】「うん、見た事ある・・・
        チャトル大学前教授、横山章仁(よこやま・あきひと)・・・」
【横山】「よく知ってるな・・・さすがはルーティア=リネージュか・・・」

【カナル】「前教授?」
【ルーティア】「うん、確か総合科学の教授だったと思うんだけど、危険思想だったかで追放になって・・・」


ここで、今回の事件のタネ明かしをしましょう。
学会を追放された横山に、魔術界から派遣されたアインツが接近。
コバルトポールを盗むよう唆(そそのか)し、某国特殊部隊の協力も得て、盗んだのです。


【アインツ】「さて・・・いくぜ!」
と、アインツが攻撃しようとしたその時。

基地にルーティア嬢の私設軍隊のミサイルか何かが直撃したのでしょう、爆音と共に基地が大きく揺れました。
【アインツ】「くっ!?」
【木更津】「うわぁっ!?」

そのはずみで、アインツはコバルトポールを手放してしまい、隣にあった階段から転がり落ちていきました。
【アインツ】「ちっ!?」
【永川】「今だ、追って!」
【木更津】「う、うん!」
木更津ペアと川島ペアが追います。

【アインツ】「させるかよ!グロリアスフィールド!!」
アインツもさせじと魔術を発動。
【川島】「!?」
【サララ】「地属性!?」

【サリア】「スプリット・フィールドっ!」
サリアが、攻撃を止めました。
【ヴァレイユ】「サリアさん!?」
【サリア】「急いでっ!」
【川島】「ええ!」

そして、川島ペアと木更津ペアは、階段を駆け下りていきました。

【アインツ】「まぁいい・・・勝負だ、永川慶十郎!」
【永川】「サリアも下がってて・・・1対1だ!」
【サリア】「ええ・・・」

こうして、技術界で、魔術の戦いが始まりました。



【紀流院】「・・・ルーティアちゃんについて、何か知らないか?」
紀流院、早速本題。
【きょうじゅ】「ローティーン?・・・ああ、この前の夜のお花見の時の娘じゃの?」
【ロルフィーヌ】(・・・お花見?)
【紀流院】(たぶん、戦闘のことだと思うが・・・)
・・・きょうじゅ、分かっているのかいないのか。

【きょうじゅ】「・・・探しとるのか?」
【紀流院】「・・・ああ。」
なんか、珍しく真剣です。

【きょうじゅ】「だったら丁度いい新発明がある!ついてくるがいい!だーっはっはっはっは!!」
そう言うと、きょうじゅはある方へ歩き出しました。
【紀流院】(大丈夫か・・・?)
一抹の不安を抱えつつ、紀流院もロルフィーヌもついていきます。



【ルーティア】「でも、なぜこんな事を・・・!?」
【横山】「夢を知らない現実主義者(リアリスト)どもに、分からせてやるのさ・・・この世界は無限の可能性があるという事を!
     そうだ・・・ルーティア=リネージュ・・・貴様こそがこの世界の無限の可能性の象徴だろう!なぜ私を追い払うっ!」
そう言うといきなり、拳銃を一発。ルーティア嬢も神楽坂ペアも、とっさに避けます。

【カナル】「おい、何をいきなり訳の分かんねぇ事言い出すんだアイツは!」
【神楽坂】「俺もよく分かんねぇけど、だから追い出されたんじゃないの?」
そこに、ルーティアが。説明を始めます。
【ルーティア】「確か、彼は『異世界がどーたらこーたら』っていう研究をしてて・・・でも、普通の人は異世界には行けないでしょ?
        だから、変人扱いされて、遂には追い出されたの・・・」
最も、技術界には「普通じゃない人」がたくさんいるんですけどね。

とにかく、チャトル大学の総裁も務めているルーティア嬢。最終的には、彼の追放に彼女がハンコを押したのです。

【神楽坂】「で、どうするんですか!?」
【ルーティア】「捕まえられれば、一番なんだけど・・・」
すると、横山が。

【横山】「まぁ、いいだろう・・・もうすぐこの基地ごと吹っ飛ぶからな・・・」

【神楽坂】「ふ、吹っ飛ぶ!?」
【ルーティア】「まさか、時限爆弾を!?」

【横山】「そうだ・・・残り、10分ってところか・・・」

<後編へ続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第193号
ページ番号
33 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日