第10話「そこに、あるもの」・中編

第10話・中編


【サリア】「今度は、どこに行くんですか?」
サリアが聞きます。
【ルーティア】「私設軍隊の基地。某国特殊部隊を今から潰すわ!」
【神楽坂】「い、今からですか!?」
思い立ったら即実行。彼女の信条ですし、何よりそれが何であろうとすぐできる環境にあるのが彼女です。


しばらくすると、ミスティックルーインの一角に着きました。
【川島】「ここは・・・?」
【ルーティア】「ここが私設軍隊の基地なの。もちろん、最高機密だけど。」
そう言い、降ります。
そして、草むらに隠れたある隠しスイッチを押すと、暗証番号を打ち込むためのテンキーが現れます。
さらに暗証番号を打ち込み、その上いくつかの生体認証をパスすると、ようやく、岩に隠れていた大きな扉が開きました。

【木更津】「す、すごーいっ!」
そこでは、既に数百人ともいう兵士が、出撃準備を始めていました。

ルーティア嬢が現れたのを見ると、すぐに兵士が集まります。

【ルーティア】「準備はどう?」
【兵士A】「はっ、すぐにでも!」
【ルーティア】「それと、戦闘機を1機、あたしに貸して!あたしも行くわ!」
【兵士A】「了解しました!」
【ルーティア】「それじゃ、全員出撃!目標は伝えてある通りね!」
命令が下りました。兵士たちは一斉に動き出します。

【神楽坂】(あれを、またやるのか・・・)
思い出したのは、きょうじゅ宅付近での空中戦。正直、かなり怖いものでした。

そんな中、次々と戦闘機が出撃していきます。
【ルーティア】「それじゃ、あたしたちも乗ろっか!」
【神楽坂】「乗らなきゃ・・・ダメですか?」
【川島】「あのねぇ、コバルトポールがあるかも知れないのよ!?行かなきゃいけないに決まってるじゃない!」
・・・横からツッコミ。搭乗決定です。

【アナウンス】「シグナル、オールグリーン。テイクオフ!」
【ルーティア】「オッケーっ!」
そして、彼女は操縦桿を一気に引きました。戦闘機は加速し、離陸。海へ出ました。



さて、その頃。
【紀流院】「くっそぉ、また騙されちまった・・・」
ステーションスクエアの街中を、紀流院が歩いていきます。

すると、街頭のテレビが、臨時ニュースを流しました。
【アナウンサー】「臨時ニュースです。たった今、リネージュ財団の私設軍隊と思われる戦闘機約100機が、ミスティックルーインから出撃するのが確認されました。
         先日チャトル大学教授・向島きょうじゅ宅付近で発生した戦闘と関連があると思われますが、詳細は不明です。」
【紀流院】「な、何だって!?」
驚く紀流院。しかし、彼にはどうすることもできません。

そこに、やはり1匹のチャオが。
【紀流院】「お!ロルフィーヌじゃねぇか!」
【ロルフィーヌ】「なんだ、誰だと思えば筋肉バカ(紀流院のこと)じゃないか。」

ロルフィーヌ。泣く子も黙る超ナルシストチャオです。ちなみに自称「ネオンエメラルドライトカオスチャオ」(意味不明)。
豪華な屋敷に住み、多数のメイドを抱え、やたらとセリフが長い。

【紀流院】「お前がこんなところ歩くなんて珍しいな。何かあったのか?」
【ロルフィーヌ】「あ、あるわけないだろう。第一、あったとしても君みたいな奴に話すものか。」
【紀流院】「・・・その言い方だとあるな。言え!言わないと殴るぞ!」
【ロルフィーヌ】「なんだと!?この華麗なる僕を殴るのかい、貴様は!」
・・・しかし、格闘でロルフィーヌが紀流院に勝てるのかといえば、答えはノーです。

【ロルフィーヌ】「まぁいい。別に貴様には関係ないし、話しても何の影響もないだろう。
         最近、ルーティア嬢が晩餐会に現れないのだよ。何かあったのかと思えば、コレだ。」
と、街頭テレビを指します。
元々金持ち同士、お互いに交流があるルーティア嬢とロルフィーヌ。
ところが最近、ロルフィーヌ家が主催する晩餐会に、彼女が現れないのです。

【紀流院】「・・・そういやさっき、あのショッピングセンターで、ルーティアちゃんから電話貰ってた女がいたぞ?」
【ロルフィーヌ】「な、なんだと!?」
【紀流院】「確か、高校の後輩だって言ってたな・・・あれと関係あるのか?」
あれとはテレビのこと。もちろん大有りですが、彼らに分かるはずもありません。

【ロルフィーヌ】「くっ・・・何とかして、何があったのか掴みたいが・・・」
そう言いながら、2匹で街頭テレビを見上げます。


戦闘機。
【ルーティア】「そろそろ着くよ!・・・あ、そうだ!」
【サララ】「何ですか?」
彼女は、操縦席の横にあった物入れを開けて、あるものを出しました。

<後編へ続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第192号
ページ番号
30 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日