第１０話「そこに、あるもの」・前編

【？？？Ａ】「ほう、これがコバルトポールか・・・
　　　　　　　・・・で？どうすればいいのだ？」
【？？？Ｂ】「面倒だな・・・永川は、そのルーティアって女のところにいるのか？」
【？？？Ａ】「ああ。この世界で最も敵に回したくない女だ・・・」
【？？？Ｂ】「ちっ・・・だが、要は永川を引き離せばいい・・・できるか？」
【？？？Ａ】「そのくらいならな。・・・ったく、何のために某国の協力までこぎつけたってんだ・・・」


魔術師狂想曲（マジシャン・ラプソディ）　第１０話「そこに、あるもの」


一方、ルーティア嬢。
【ルーティア】「あんな戦闘機、見たことないし・・・」
戦闘機の機種はＧＵＮのものですが、識別信号は独特のもの、カラーリングも見たことない色でした。
【ルーティア】「ＧＵＮじゃないとすれば・・・どこなんだろ？」
色々考えを巡らせますが、なかなか思い当たりません。

【ルーティア】「ＧＵＮから技術供与した国は、どこも友好国ばっかりだし・・・
　　　　　　　　・・・！１つあった！昔技術供与してたけど、今は比較的仲が悪い、あの国が！」
とっさに彼女はモニターに向かい、調べ始めました。


さて、今日は日曜日。
神楽坂ペアと川島ペアは、木更津ペアと永川ペアを連れて、買い物に出ることにしました。

【木更津】「うわーっ、かわいーっ！」
【ヴァレイユ】「香織、ちょっと・・・」

【永川】「やっぱり、技術界は違うね・・・便利だし、面白いし・・・」
【神楽坂】「でも、それだけ大変なこともあります・・・
　　　　　　魔術界みたいな世界に逃げたいって人も、多いですし・・・」
世界も、いろいろです。

【川島】「そういやあたしら、結局リネージュ先輩に会ったのに、
　　　　　ケータイの番号どころか、写真もサインももらってないわね・・・」
【サララ】「でも、先輩のサインや生写真なんて、世界に数える程しかないんですよ？
　　　　　　仮に頼んでも、してもらえるかどうか・・・」
【川島】「そりゃ、そうなんだろうけど・・・」

と、そこに。
【チャオ】「うおおおおっ！！」
【川島】「！？」
いきなり、川島のところにミズチャオが走ってきました。
【チャオ】「る、ルーティアちゃんに会っただとぉっ！？」
どうやら、ルーティア嬢のファンのようです。
【木更津】「・・・このチャオ、知り合い？」
【川島】「いや、違うけど、どっかで見たことあるような・・・」

【カナル】「思い出したっ！こいつは第１回グランドＣＳ優勝の紀流院だっ！」
紀流院。「きりゅういん」と読みます。一応。
おかしなことに、世の中には漢字の名前を持つチャオもいます。向島きょうじゅもそうですが。
んで、グランドＣＳとは、チャオレースの大会の中でも有名な大会の１つ。テレビ中継もされますから、名前も顔も覚えてる訳です。

ちなみに、いわゆる格闘バカ。ルーティア嬢のことに関しては恐ろしいほど地獄耳です。

【紀流院】「どこで会った！何の話をしたんだ！？」
しつこく川島に迫ります。
【川島】「あ、あたしはチャトル大付属高校の生徒で、偶然前を通っただけよ・・・」
とっさに弁明。こうでも言わないと、大変なことになりかねません。
ルーティア嬢が引退した今、ファンは情報集めに奔走しているのです。


その時、川島の携帯電話が鳴りました。
【川島】「ん？」
しかし、モニターを覗いても、見たことのない番号。
【川島】「ワン切りじゃないみたいだし・・・とりあえず出てみるか。」
通話ボタンを押します。すると、電話口から。
【ルーティア】『もしもし？この番号でいいのかな？』
【川島】「り、リネージュ先輩っ！？」
なんと、ルーティア＝リネージュ。
どうやら、ハッキングか何かをして調べたらしいです。

【紀流院】「なにっ！？ルーティアちゃんから電話っ！？」
【神楽坂】「しまったっ！カナル、抑えろ！」
ルーティア嬢からの電話となれば、紀流院が黙っているはずがありません。
川島のところに向かおうとする紀流院を、カナルが止めます。

【川島】「・・・え？コバルトポールを盗んだ犯人が分かった？ええ、分かりました！」
ルーティア嬢からある連絡を受けて、電話を切りました。

【紀流院】「お、おい！どんな電話だったんだ！？」
【川島】「・・・あ！あそこに学校でリネージュ先輩の彼氏って噂になってる男が！」
【紀流院】「・・・な、なんだとぉっ！？」
紀流院はまっすぐそちらの方へ全力で走っていきました。もちろん、古典的なウソです。

・・・で、本題。
【永川】「犯人が分かったって、本当かい！？」
【川島】「ええ、恐らくは某国の特殊部隊が絡んでるんじゃないかって・・・」
【木更津】「それで、どうするの？」
【川島】「それが・・・」
【神楽坂】「・・・それが？」
【川島】「このビルの真上にヘリで来てるらしいのよ・・・」

・・・またしても。

・・・こうして、再び４組はヘリで移動するハメになったのです。

＜中編に続く＞