第9話「光の華が、咲く」・後編
第9話・後編
【川島】「ま、マジ!?」
と、川島がガラスケースのところに駆け寄ります。
しかし、ガラスケースは床に転がり落ちて、コバルトポールはきれいになくなっていました。
【ルーティア】「あれは、きょうじゅをおびき寄せるための陽動だったんだ・・・」
そこに、木更津ペア、永川ペアが到着します。
話を聞いて、やはり驚く2組。
【ルーティア】「偶然あたし達がいたから、陽動が派手な戦いになっちゃったけど・・・」
【木更津】「は、犯人は!?」
【ルーティア】「こんな派手な作戦ができるなんて、かなり大規模な犯罪組織か、最悪どこかの国が絡んでるかも・・・」
いずれにせよ、捜査は難しそうです。
【永川】「でも、いくら1億リングといっても、技術界ではただの杖。
盗まれたものだから、売ることもできないし・・・どうするつもりなんだ?」
それもそうです。しかし、犯人が分からない以上、推測するのも難しい話です。
【ルーティア】「ごめん、せっかくあと一歩のところまで来たのに、ふりだしに戻っちゃって・・・」
【永川】「いいえ、構わないです・・・最初から、ある程度の時間がかかるのは覚悟してましたから。」
【神楽坂】「でも、どうするんですか?きょうじゅはまだ知らないんじゃ・・・」
【ルーティア】「・・・そうだ!」
彼女はバッグからさっき摩り替えようとしたレプリカを取り出し、何事もなかったようにガラスケースの中に入れ、元に戻しました。
【ルーティア】「これで何事も無く独自に犯人を追える、っと。」
【神楽坂】「は、はあ・・・」
(いいのか、これで・・・)
【川島】(い、いいんじゃない・・・?)
ルーティア嬢にとっては、警察が絡むと逆にややこしい事になりかねないので、独自に調査できた方がやりやすいのです。
さらに、携帯電話で現場の写真を何枚か撮り、手がかりになりそうなものを探して拾います。
そして数分後、帰ることに。
【きょうじゅ】「まだまだじゃ~~~っ!!」
・・・このチャオは庭で何も知らないまま。
帰り道。
【サララ】「結局、とんだ無駄足でしたね・・・」
【川島】「確かに。でも、先輩のことだし、仕方ないわよ・・・」
【神楽坂】「にしても、一瞬どうなるかと思った・・・」
【カナル】「ま、魔術界でのことに比べれば、このくらいは、な。」
【川島】「それもそうね・・・」
全員、お疲れの様子。
【神楽坂】「はぁ、明日も授業だよ・・・どうしよう・・・」
【川島】「やっぱりサボろうかな・・・?」
【サララ】「また岩井先生に勘違いされますよ・・・?」
【川島】「それも嫌ね・・・」
ゆっくりと、道を歩きます。既に、下弦の月が出ていました。
翌・木曜日。
神楽坂ペアも川島ペアも、ヘトヘトです。しかも。
【神楽坂】「1限から体育・・・」
【カナル】「しかもスポーツテスト・・・」
【体育の先生】「それじゃ、まずは人間から、50m走はじめ!」
【神楽坂】(はぁ・・・)
正直、全くやる気はありません。・・・とりあえず、全力の8割ぐらいで走りました。
・・・ところが。
【神楽坂】「・・・あれ?」
【体育の先生】「1着、神楽坂!」
・・・男子5人で走ったのですが、1着。元々彼はそんなに足が速い方ではありません。
【神楽坂】「おかしいなぁ・・・」
【カナル】「・・・啓、まさか。」
【神楽坂】「・・・ひょっとして、そのせいか・・・?」
【カナル】「だとしたら・・・」
こっちは、女子。
【女友達A】「あれ?涼子、そんなに足速かったっけ?」
【川島】「そんなはずはないんだけど・・・」
【女友達B】「ひょっとして、駆け落ち中に・・・」
【川島】「だから違うってば!」
【川島】(どうなってるのよ・・・)
【サララ】(もしかしたら涼子、魔術界で戦って体力ついたんじゃ?)
【川島】(ま、マジでそれが原因!?)
・・・しかし、タイムは嘘をつきません。
神楽坂ペアも川島ペアも、魔術界での戦いで、体力が一回り上になったのです。
【川島】(だとしたら・・・ひょっとしてあたし、筋肉で太った!?)
【サララ】(そ、そこまでは・・・)
それは自分で確かめて頂ければ。
【神楽坂】「しかし、バテバテのこの状態でこのタイムだと・・・」
元気なときに本気になれば、恐ろしい事になりかねません。
【カナル】「・・・お前、部活か何かやった方がいいんじゃねぇのか?」
【神楽坂】「体が向いても気持ちが向かないっての。」
【体育の先生】「次、チャオ!反復縦飛び、はじめ!」
・・・えっと、一応説明しておきますと、上下に飛びまくります。結構体力使うんです、これが。
しかし、カナルはやっぱりクラス中トップの回数を叩き出しました。
【カナル】「・・・いよいよ間違い無ぇな、こりゃ・・・」
来週へ続く