第7話「再び、出会う」・後編

第7話・後編


【川島】「ちょっと様子見てくるわ。永川さん、香織ちゃん、しばらくここにいて。」
【ヴァレイユ】「分かったわ。」
そう言い、神楽坂ペアと川島ペアはそこを離れました。

【カナル】「おい、どうすんだよ?」
【神楽坂】「とりあえず正門がどうなってるかだよな・・・まだリネージュ先輩は帰ってないの?」
彼女が帰れば、ファンも帰るので楽になります。
【川島】「確か今日3年生は1限多いはずよ、まだ授業中だわ。」
【サララ】「でも、あと5分・・・もう少し待てば・・・」
ルーティア嬢も部活には入ってません。財団の総裁という仕事の都合、暇が無い、というのが理由です。
つまり、授業が終わればすぐ帰るはず。それまでの我慢です。

そう話しながら、グルリと学校を1周。
しかし、正門以外はファンがグルリと取り囲んでいます。
【カナル】「ったく、戦国時代の城攻めかよ・・・」
【神楽坂】「いずれにせよ、無理そうだね・・・」

【木更津】「おかえりーっ!」
【川島】「ごめん、やっぱしばらく出れそうにないわ。もう少し待ってて。」
【サリア】「分かりました・・・」

その時、授業終了のチャイム。

【永川】「技術界って、大変なとこなんだね・・・」
【神楽坂】「まぁ、そうですね・・・」
大変なのは学校周辺だけだと思いますが。

ルーティア嬢が帰るまでの時間稼ぎとして、帰れない原因になっているルーティア嬢についての説明をすることに。

6歳で大学に入学し、14歳で大学院を卒業というとんでもない経歴を持つ彼女。
【川島】「これはあたしの勝手な感想だけど、「完璧」って言葉が一番相応しいと思うわね。」
【永川】「完璧、か・・・」
文学から経済学、商学、理学、工学、医学など、ほぼ全ての分野に天才的な才能を発揮する彼女。
趣味もピアノから舞踊まで、ほとんど何でもこなします。

しかし、14歳の時に親族と死別、他にも事故で重傷を負ったり暗殺されそうになるなど、辛いことも少なくありませんでした。

【川島】「で、今年の春になって、『社会勉強をしたい』っていう事で、この高校に通うことになったの。
     それから毎日この騒ぎ。ホント、いい迷惑よ。」
【サララ】「それはちょっと言いすぎでは・・・」

と、その時、後ろから、声がしました。
【???】「ごめんね、みんなに迷惑かけちゃって。」

振り向くと、そこには、

【神楽坂】「り、り、リネージュ先輩っ!!??」

・・・なんと、ルーティア=リネージュ本人。

【カナル】「え、嘘だろ!?」
【ルーティア】「ううん、本人だよ。本人が本人って言うのも変だけど。」
当然、神楽坂ペアも川島ペアも、本人をこれだけ近くで見るのは初めてです。

【川島】「ご、ごめんなさいっ!」
・・・こうなったら謝るしかない川島。
【ルーティア】「ううん、いいの。みんなに迷惑かけてるのは、あたしだから・・・」

【神楽坂】「は、初めまして・・・2年B組の神楽坂啓です。」
【川島】「同じく、2年B組の川島涼子です。」
とりあえず、自己紹介。
【ルーティア】「よろしく!・・・ところで、この人たちは?見慣れない服だけど。」
【サララ】「えっと、説明すると長くなりますが・・・」

そう言い、魔術界の説明をします。そして、このままではどうしようもないことも。
彼女は黙って話を聞いた後、こう言いました。

【ルーティア】「分かった、任せて!あたしが何とかする!」
そう言うと彼女は携帯を取り出し、
【ルーティア】「もしもし?至急ヘリをお願い!4人、一緒に移動したい人がいるの!」
・・・なんと、ヘリで学校を脱出するというのです。

【神楽坂】「でも先輩、なんでこんなところに?」
【ルーティア】「今日はここの掃除当番だったんだけど、後で友達に謝っておかなきゃ。」
なんたる偶然。そんな事を話している間に、プロペラ音が響いてきました。

【ヴァレイユ】「な、何あれ!?」
【永川】「空を飛ぶ・・・機械・・・!?」
【カナル】「そっか、初めて見るのか・・・」

【ルーティア】「それじゃ、脱出~っ!」
そう彼女が合図するのと同時に、全員校庭に向かい全力疾走。ヘリに飛び乗りました。


                 来週へ続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第189号
ページ番号
22 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日