第7話「再び、出会う」・中編
第7話・中編
校庭に、全力疾走。
【カナル】「ちょっと待ったぁっ!」
【永川】「やぁ、久しぶり。」
【木更津】「来ちゃった!」
【川島】「そんなことより、ここ堂々と歩かないで!」
ここは学校の校庭。はっきり言って、このままでは不審者です。
何とか物陰に連れて、話を聞きます。
【神楽坂】「来たって事は・・・バーミリオンを倒したんですか?」
【永川】「それが、違うんだ・・・なかなか相手も隠れて出てこないんだ・・・」
【サララ】「では、なぜ技術界へ?」
【サリア】「それなんです・・・」
そして、サリアと永川は事情を話し始めました。
吉川との戦いの後、永川ペアはバーミリオンを追うと同時に、ツインポールの残りの1つ、コバルトポールについての調査も進めました。
コバルトポールは現在行方不明ですが、先に調べられて、バーミリオンに狙われてはおしまいです。
ところが、歴史書などの調査結果から出した永川の結論は、とんでもないものでした。
【永川】「・・・コバルトポールは行方不明のはずだったんだ。
なぜなら、技術界にあるんだから・・・」
【カナル】「ぎ、技術界!?」
それで、技術界に来た、というのです。
【川島】「・・・で、香織ちゃんは?」
【ヴァレイユ】「・・・オマケみたいなもんよ。どうしても行ってみたいって聞かなかったのよ。」
【神楽坂】「はぁ・・・」
永川が技術界に行こうと決めた時、ちょうど木更津が退院する日でした。
木更津の帰宅がてら、永川も扉まで一緒に行ったのですが、結局この通り。
【永川】「別にいいんだよ。僕も、技術界の技術を見てみたい、ってのはあったしね。
その気持ち、よく分かるから。」
【木更津】「で、なんか面白そうなの、ない?」
いきなり、聞いてきます。
【神楽坂】「うーん・・・あ、これなんかどう?」
バッグから取り出したのは、携帯電話。
【木更津】「なにこれ?」
【川島】「うーん、説明するより実際にやった方が早いかな?
サララ、お願い!」
【サララ】「ええ!」
そう言うと、川島は自分の携帯電話をサララに渡し、サララは校庭の方に。
・・・しばらくして、神楽坂の携帯に着メロ。通話ボタンを押します。
【サララ】『もしもし?』
【神楽坂】「大丈夫、聞こえますよ。」
【木更津】「しゃ、喋った!?しかもサララの声で!?」
【川島】「これは携帯電話。遠く離れた相手に、「声」を送って、話ができる機械なの。」
【カナル】「魔術界では使えないけどな。」
当然圏外になります。
【永川】「へぇ、凄い・・・これが技術界か・・・」
しばらくすると、サララが戻ってきました。今度は、神楽坂が質問。
【神楽坂】「ところで、こっちで魔術って使えるんですか?」
【永川】「どうなんだろう、書物には書いてなかったけど・・・」
【木更津】「試してみます!アイスキューブっ!」
・・・成功。
【神楽坂】「あ、使えるんだ・・・」
しかし、よくよく考えてみれば。
確かにこの世界は技術が発達してますが、ハッキリ言って世界そのものが「なんでもあり」。
謎の術を使う女子高生4人組(第1話参照)が同じ高校に在籍しているくらいですし、魔術ぐらい使えてもおかしくないのです。
【木更津】「ところで川島さん、その服かわいいですね。後で着てもいいですか?」
【川島】「ああ、これ?うん、いいよ。」
木更津が指したのは、チャトル大付属高校の制服。
ブレザーにスカートのよくある制服ではありますが、各所にとても細かい気遣いがされており、とても人気があります。
(ちなみに、男子制服はブレザーにズボン。これもなかなか好評です)
【サララ】「後でって、どうするの?正門は使えないのでは?」
【川島】「そ、そうだったわね・・・」
ところが実はこの学校、学校を出るのが大変なんです。
第1話でも少し触れましたが、この高校の3年生にはかの天才美少女・ルーティア=リネージュが在籍しています。
ルーティア=リネージュ。
CDを出せば全世界で数億枚を軽く売り上げ、IQは250とも300とも言われます。
現在はアイドルを引退していますが、自らが立ち上げたリネージュ財団の総裁を務めています。
(実はこの高校の制服も、彼女がデザインしたものです)
で、引退したとはいえ、高校には毎日ルーティア嬢の姿を見ようと数万人+匹のファンが詰めかけ、敷地を取り囲むのです。
唯一正門が生徒の出入りを確保するため空いています。
しかしそんなところを通ったら、魔術界の服装である木更津と永川がいるためやはり騒ぎになりかねません。
【神楽坂】「うーん、どうするか・・・」
思わず考え込んでしまいました。
<後編へ続く>