第7話「再び、出会う」・前編
・・・2組が技術界に帰ってきた翌日、月曜日の朝。
とりあえず、いつも通りに登校してみました。
【川島】「結局、こうなるのね・・・」
と、そこに、担任の岩井麻弥(いわい・まや)先生が。
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ) 第2部 第7話「再び、出会う」
【岩井先生】「おーっ、どした?
しばらく見なかったから、駆け落ちでもしたんだと思ったけど。」
【神楽坂&川島】「違います!」
・・・担任公認の仲、というのも、おかしな話です。
というか、本人達は否定してるのですが。
【岩井先生】「というか、あたしが結婚する前にそゆコトしないでくれない?
この前も高校の時の友達が結婚しちゃって、いよいよ取り残されてるんだし。」
・・・一応、これでもチャトル大学付属高校の先生です。担当は古典。
【岩井先生】「・・・で、駆け落ちじゃなかったら何してたの?
一応担任だし、聞いておかなきゃいけないし。」
【神楽坂】「え、あ、あのー・・・」
・・・大事なこと、「先生への言い訳」をすっかり忘れていた神楽坂ペア。
しかし、川島はキッパリ、
【川島】「異世界を旅してました!」
【サララ】「・・・それ、言ってもいいの?」
【川島】「ごまかしてもいつかバレるし。」
ところが、岩井先生は、
【岩井先生】「ふ~ん・・・」
【神楽坂】「先生、驚かないんですか?」
【岩井先生】「うん、普通なら驚きたいところなんだけど、
あいにく、あたしが授業持ってる1年生のクラスに異次元を旅しまくってる5人がいてね。
欠席理由書いた表見てみる?あ、個人情報だから無理か・・・」
【川島】「あ、そういう事か・・・」
川島はそれを聞いて、全てを悟ったような顔をしました。
ここはチャトル大学付属高校。なんでもありの高校なんです。それを忘れていました。
こんな感じの話は登校後も続きます。
【男友達A】「おーっ神楽坂ぁっ!愛の逃避行はどうだった?」
【神楽坂】「違うって!これには深いワケが・・・」
しかし、どう説明しても、クラスメートを納得させるのは至難の業です。
それは、こっちも同じ。
【川島】「なんで付き合ってもいないのに駆け落ちしなきゃならないのよ!」
【女友達A】「え?違うの?てっきりもう結婚秒読みだと・・・」
【川島】「なんでそうなるのよ!」
思わず川島は腕を構えますが、
【サララ】「涼子、ここ技術界よ。」
【川島】「あ、そっか。」
・・・魔術は使えません。
【女友達B】「・・・涼子、格闘技でも習ったの?」
【川島】「ち、違うわよ!」
(でも、当たらずとも遠からず・・・)
・・・とまぁ、こんな騒ぎが1週間以上続きました。
さて、話は火曜の放課後。
神楽坂ペアと川島ペアが、教室の窓から外を眺めています。
【川島】「はぁ・・・やっと質問攻撃は収まってきたわね・・・」
【神楽坂】「でも、あんなに色々答えちゃっていいんですか?」
【川島】「肝心の扉の場所言ってないし、大丈夫でしょ。」
【カナル】「しかし、1週間か・・・なぁ啓、木更津さんとか、いつ来ると思う?」
【神楽坂】「さぁ・・・あの連中も強いから、永川さんでも全員倒すには時間がかかると思うけど・・・」
【川島】「そうね・・・さすがに崖から落ちるのはゴメンよ・・・」
その強さは、自分達もよく分かっています。
【神楽坂】「でも永川さんの強さを見たら、1週間で・・・・って、えええええっ!!!」
神楽坂が、いきなり叫び声をあげました。
【カナル】「うるせぇな、啓、どうした?」
【神楽坂】「あ、あれ・・・」
神楽坂が指したのは、窓から見える校庭。
そこには、
【川島】「か、香織ちゃん!?永川さんまで!?」
・・・木更津ペアと永川ペアが、普通に歩いています。
【サララ】「まさか、もう倒したのでしょうか!?」
【カナル】「とにかく、行ってみるぞ!」
【神楽坂】「ああ!」
2組は慌てて教室を飛び出し、階段を駆け下りました。
<中編に続く>