第6話「勝者と、敗者」・前編
永川とサリアは、高原を走ります。
【サリア】「でも、そのポール、どうするのですか?」
「魔術界最強」の呼び声が高い永川。絶大な魔力を得ることができるというクリムゾンポールも、彼には不必要です。
【永川】「どこかに隠したり封印したりしても、結局同じことがまた起きるだけ・・・だったら・・・」
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ) 第6話「勝者と、敗者」
【吉川】「・・・いくぜ!」
今度は、吉川が神楽坂たちの方へ突っ込んできました。
【ヴァレイユ】「来る!?」
【吉川】「サンダーフィストっ!」
【神楽坂】「くっ!」
何とかよけます。
【カナル】「危なかったな・・・だが、これで!」
吉川が中央に突っ込んだおかげで、倒れている川島を除いた2人と3匹が吉川を囲む形になりました。
【木更津】「うん、今がチャンス!・・・せーのっ!」
その掛け声で、一斉に吉川に向かい攻撃。
しかし、またも。
【吉川】「・・・ストームアラウンドぉっ!」
全方向への雷の攻撃。攻撃は全て弾かれてしまいました。
【木更津】「これもダメ・・・」
【ヴァレイユ】「どうすれば・・・」
そんな中。
【川島】「くっ・・・こんな所でくたばる訳には・・・いかないのよ・・・!」
川島が、何とか立ち上がろうとします。
【サララ】「涼子っ!」
しかし、その場所が悪すぎました。偶然にも、吉川の真後ろ。
【吉川】「・・・邪魔だっ!サンダーフィストっ!」
【川島】「きゃあっ!」
直撃を受けた川島は、吹っ飛ばされてしまいました。
・・・しかも、柵がない崖の方へ。
【サララ】「涼子ぉっ!!」
しかし、川島の姿はありません。
ところが。
【川島】「・・・くっ・・・」
【サララ】「涼子、どこ!?」
・・・川島は、あろうことか崖に両手でぶら下がっていました。
【川島】(なによこの、王道中の王道なヒロイン大ピンチって!)
・・・などと言ってはみたものの、下は数百メートル下、彼女自身の腕力もそうある訳ではありません。
【川島】(こんなんなら体育の授業マジメに受けるべきだったわね・・・)
【神楽坂】「川島さんっ!?」
【川島】「あたしはいいから、先にそっちを倒してっ!」
【木更津】「で、でも!」
【川島】「何も考えずに突っ込んだあたしが悪いんだから!」
(・・・そうよ、全部あたしが悪いのよ・・・裏山に誘ったりなんかしたから・・・)
そこに、吉川が再び攻撃。
【吉川】「サンダーフィスト!」
【ヴァレイユ】「おっと!」
結局、このままにしておくしかありませんでした。
【サララ】「涼子、頑張って!」
サララは飛べるので、川島の顔の近くで飛びながら励まします。
本来なら助けたいところですが、チャオが人間を持ち上げるのは不可能な話でした。
【木更津】「早く・・・早く倒さないと・・・!」
【神楽坂】(落ち着け・・・焦ると逆に不利になる・・・)
しかし、1分、2分と時間は過ぎます。
神楽坂達の攻撃はほとんど弾かれ、体力もそろそろ限界。もちろん、川島も。
【川島】「ヤバい・・・汗で滑りそう・・・!」
ところが、そこに。
【神楽坂】「!」
【ヴァレイユ】「あれは・・・!」
【サリア】「こ、これは・・・何がどうなってるのですか!?」
【永川】「君達!」
【木更津】「永川先輩っ!」
【吉川】「何っ!?」
永川慶十郎&サリア=ハージェス、到着です。
【吉川】「くっ、粘られすぎたか・・・」
こうなるとさすがに不利。逃げようとしますが、
【永川】「逃がさない・・・吉川久志・・・」
闇の剣を抜いたと思った次の瞬間、
【吉川】「ぐはぁっ!」
既に吉川は大きなダメージを受けていました。
【カナル】「は、速すぎるぜ・・・」
【ヴァレイユ】「せ、先輩!
後は何とかします!川島さんを助けてもらえませんか!?」
【永川】「分かった、サリア!」
【サリア】「ええ!」
永川とサリアは崖の方に向かい、
【サリア】「はぁっ!」
地の魔術を発動。何もなかった川島の足元から見事に足場がせり出しました。これで大丈夫。
【川島】「あ、ありがとうございます・・・」
【サララ】「ふぅ・・・」
<中編に続く>