第5話「時が、動き出す」・前編
【神楽坂】「ここが・・・」
【川島】「天麗高原・・・」
という訳で、一行は天麗高原に到着です。
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ) 第5話「時が、動き出す」
天麗高原の最大の名所が、100m近い高さがある崖。高原はその上にあります。
その崖から見える景色は、魔術界でも一、二を争う美しさと言われています。
【木更津】「うわぁ・・・」
【ヴァレイユ】「あたしらも初めて見たけど、やっぱすごいわね・・・」
その崖から、絶景をみんなで眺めていました。
ところが、次の瞬間、
【村人】「ど、どろぼーっ!」
【カナル】「!?」
見ると、村人が男の人間を追いかけています。
さらに、
【村人】「旅人さん、捕まえて下さ~いっ!」
と、声をかけられました。
こうなったら、何もしない訳にはいきません。
【川島】「分かったわ!」
川島が真っ先に走り出し、泥棒と思われる男に、
【川島】「えいっ!」
・・・回し蹴り。
【神楽坂】「ま、回し蹴り・・・」
【カナル】「お前、喰らった事あったか・・・?」
【神楽坂】「さすがにあれは、ない・・・」
見事に泥棒は倒れ、捕まえました。
全員がそこに集まります。
【村人】「あ、ありがとうございます。」
【川島】「どうしたしまして・・・ところで、何を盗んだんですか?」
【村人】「古文書なんです。ツインポールの伝説の。」
【サララ】「ツインポール?」
【木更津】「それって、クリムゾンとコバルトの?」
【村人】「ええ。」
【川島】「それって、何?」
たまらず聞きます。
【ヴァレイユ】「そっか、知らないよね・・・」
木更津とヴァレイユが、ツインポールについて説明を始めました。
ツインポール。魔術界に古くから伝説として伝わる2つの杖。
2本を持つと世界を支配できる程の魔力が備わると言われています。
深紅のクリムゾンポールと、群青のコバルトポール。片方を持っただけでも、魔力はかなり増幅される、とも言われています。
【木更津】「コバルトポールは行方不明なんだけど、クリムゾンポールはここ、天麗高原のどこかにある、って言ってたなぁ・・・」
【神楽坂】「そうなんですか・・・」
そんな中、村人が泥棒から古文書を取り返すと、見慣れの無い一枚の紙が。
【村人】「何でしょう、これ・・・」
みんなが覗いてみると、次のような内容が書かれていました。
『指令
天麗高原周辺の、ツインポールに関する資料を集めよ。手段は問わない。
SEVENTH HEAVEN 吉川久志』
【神楽坂】「セブンス・ヘヴン・・・?」
【川島】「よく分からないけど、上からの指令で動いてた、ってコトね・・・」
となれば、この泥棒を捕まえても、意味がありません。
【ヴァレイユ】「問題は、この吉川久志って人物ね・・・」
【木更津】「多分、狙いはクリムゾンポール・・・」
そこに、1匹のチャオが現れました。
【チャオ】「ちっ、捕まったか・・・」
【川島】「誰!?」
【チャオ】「俺か?俺はガナーシュ=ヴィデンスってんだ・・・
どきな、そいつに用があんだ。なに、お前らには関係ないさ・・・」
そう言うと、ガナーシュは泥棒のところへ向かうと、
【ガナーシュ】「この・・・役立たずがぁっ!」
そう叫び、魔術で巨大な剣を作り、泥棒に突き刺しました。
【神楽坂】「!?」
泥棒はワッ、と叫び声をあげたのを最後に、動かなくなりました。
【ガナーシュ】「クリムゾンポールの在処も分かったし、もう用済みなんでね。
それじゃ、急いでるんで、失礼!」
そう言い残し、消えました。
【川島】「な、なによあれ・・・凄い魔力・・・」
【神楽坂】「殺すなんて・・・」
【木更津】「クリムゾンポールのありかが・・・分かったって・・・!?」
衝撃の連続に、驚きが止まりません。
【ヴァレイユ】「とにかく、追ってみなきゃ!」
【カナル】「でも、クリムゾンポールの場所なんて分かるのか?」
それもそうです。しかし。
【村人】「本当にそうかどうかは分かりませんが、そうじゃないか、と言われている場所なら知ってます!」
【木更津】「本当ですか?」
【村人】「ええ、高原の北の方にある遺跡です!」
【ヴァレイユ】「ありがとう!みんな、行ってみるわよ!」
【川島】「ええ!」
こうして、一行は走り出しました。
<中編へ続く>