第3話「そして、出会う」・後編
第3話・後編
街外れを進む一行。
【サララ】「ところで、扉ってあそこだけじゃないんですね?」
さっきの会話から、疑問点を一つサララがぶつけます。
【ヴァレイユ】「うん、正確には分からないけど、10ヶ所くらいあるんじゃないのかな?
んで、それぞれの扉を守る役割の家があるの。」
【カナル】「なるほどな・・・ん?待てよ?
つまり、あっちの世界にも扉は10ヶ所くらいあるってコトかっ!?」
まぁ、そうなります。
【神楽坂】「学校の裏山以外にも、10ヶ所くらい・・・」
【川島】「ひょっとすると、こっちで残りの扉の位置を調べて地図を作って重ねれば、他の扉の場所も分かる!?」
【木更津】「うーん、同じ座標にあるとは限らないと思うよ?」
それもそうです。でも、それは後で調べればいい話。
そして、もう1つ。
【神楽坂】「・・・あのペアって、魔術界最強なんだよね?」
【木更津】「うん。」
【神楽坂】「ってコトはさ、チャオのサリアさんも相当強いんじゃないの?魔力がないって言ってたけど・・・」
パートナー制を取れば、当然人間だけが強くても、チャオだけでも最強にはなれないはずです。
木更津ペアは、少し黙ったあと、喋りだしました。
【ヴァレイユ】「本当は・・・最強じゃない可能性が高いのよ・・・」
【川島】「可能性が高い・・・?どういうコト?」
【木更津】「あのペア、元からのペアじゃなかったの・・・」
そして、あのペアの過去をゆっくり話し出しました。その内容はこんな感じ。
元々、永川はエスト=ツィーグラという男のチャオとのパートナーでした。
永川の魔力は半端ではなく、エストのそれもかなりのもの。魔術高校時代は、名実共に最強ペアでした。
(そして永川ペアと他の3組が「四天王」と呼ばれてました)
【木更津】「んで、永川先輩には恋人がいたの・・・」
【川島】「こ、恋人!?」
【神楽坂】「なんか・・・ちょっと想像できない・・・」
恋人の名前は、箕島千紗(みのしま・ちさ)。魔術高校の同級生でした。
(魔力は魔術高校の学生としては平均的でした)
彼女のパートナーこそが、サリア=ハージェスだったのです。
もちろん、みんなで仲良くしていたのですが。
【ヴァレイユ】「戦争を止めたって時に、箕島先輩とエスト先輩が死んでしまったのよ・・・」
【2組】「・・・・・。」
それ以来、永川とサリアは一緒に行動しています。
魔術界最強というのは、高校時代の噂が広まりに広まったもの。つまり、名前だけが先走った結果なのです。
サリアの魔力が魔術師としては標準的なので、実際は最強じゃない可能性が高い、というのです。
そしてもう1つ、永川とサリアは正式なパートナー契約を結んでません。
あのペアにとって、本来のパートナーはエストであり箕島なのですから。
(ただ、本人達も「パートナーって呼んで構わない」と言っています)
【カナル】「凄ぇ過去だな・・・」
【神楽坂】「そうだね・・・」
そして、今は1組で魔術界を巡る旅をしている、という訳です。
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【永川】「ねぇ、サリア・・・」
【サリア】「どうしました?」
こっちは既に街を出て、草原地帯を進みます。
【永川】「あの2組・・・似てると思わない?」
【サリア】「え、誰に・・・ですか?」
【永川】「昔の・・・僕たちに。」
【サリア】「・・・・・。」
少し、静かな時間が流れました。
【サリア】「かも、知れません・・・ですが、私達と同じ運命は、たどって欲しくないです・・・」
【永川】「そうだね・・・」
来週へ続く