第3話「そして、出会う」・中編
第3話・中編
【木更津】「ヴァレイユ、このペアだよ!」
【ヴァレイユ】「・・・えっ、このペアだっけ!?」
【サララ】「このペアが、どうしたんですか?」
「このペア」じゃ、誰にも分かりません。
【木更津】「さっきヴァレイユが言いかけた、四天王最強のペアにして、今は魔術界一の天才魔術師ペア・・・
永川慶十郎と、サリア=ハージェス!」
ちなみに、「ながかわ・けいじゅうろう」と読みます。サリアの方がチャオ。慶十郎ですから、「ケイ」と呼ぶ訳です。
【神楽坂】「えっ・・・このペアが!?」
【カナル】「魔術界・・・最強!?」
驚く2組のペア。そして、永川が喋り出しました。
【永川】「まぁ、四天王最強だとか、魔術界最強だとかってのは違うけど・・・永川です。よろしく。」
【神楽坂】「か、神楽坂・・・啓です。パートナーはカナル=アンタレス。」
【川島】「川島・・・涼子です。ここにいるのが、パートナーのサララ=マリシア。」
【サリア】「よろしくお願いします。」
人間同士、チャオ同士、握手。しかし神楽坂たちはガチガチです。
【永川】「君は確か・・・木更津の家の者だっけ?」
【木更津】「そうですけど・・・ひょっとして、『扉』の波動ですか?」
木更津が聞き返します。
【永川】「うん、何があったのかな、と思って来てみたんだけど・・・」
【ヴァレイユ】「ペアが2組、偶然こっちの世界に来たみたいなの。
それが、この2組よ。魔術界を案内しようと思って。」
【サリア】「彼らが、そうなんですか・・・」
【永川】「ふう、なら良かった・・・」
安心したようです。
【木更津】「何かあったんですか?」
【永川】「いや、旅をしてる途中に『扉を使って何かを企む連中がいる』って噂を聞いてね。」
【サリア】「そしたら偶然、波動が感じられた、という訳です。最も、私はそれ程の魔力じゃないですが・・・」
『扉』が開かられると、一定以上の魔力がある人間が一定距離内にいれば波動が伝わります。
但し、木更津の場合は魔力はそこまでありませんが波動は分かります。家柄の宿命、でしょうか。
【木更津】「そんな噂があるんだ・・・」
しかし、そこまで。具体的に何をやろうとしているのかまでは、永川にも分かりません。
【川島】「あのー、お取り込み中アレなんだけど、面識アリ?」
なんか、互いを知っているような話しぶり。聞いてみました。
【ヴァレイユ】「うん、ウチが扉の管理って特別な家柄でしょ?永川先輩ペアが高3だった2年前に1回会ったことがあるの。
あたしは全然顔とか覚えてなかったけどね。」
【サララ】「なるほど・・・」
【サリア】「ところで、これからどちらに行かれるのですか?」
【木更津】「そういえば、ここまで来たはいいけど、どこに行こう・・・?いい場所ない?」
逆に聞き返しました。
現在永川ペアは、魔術界を放浪する旅に出ています。色んな場所を良く知っていると思って聞いたのです。
【永川】「そうだねぇ・・・天麗高原なんか、いいんじゃないのかな?
ここから遠くないし、あそこの絶景は技術界でもなかなかないと思うよ。」
ここから、少し東にある高原。歩いて数日、というところでしょうか。
【ヴァレイユ】「なるほどね・・・香織、どう?」
【木更津】「いいね、そうしよう!先輩、ありがとうございます!
・・・ところで、先輩はこれからどちらに?」
【永川】「そうだね、ここの扉は問題ない、か・・・天麗高原には行かないけど、東の方に行こうと思ってる。」
【木更津】「そうなんですか・・・それじゃ、失礼します!」
【永川】「元気でね。君たちも、楽しんでいくといいよ。」
【神楽坂】「あ、はい!」
慌てて返事。そして、永川ペアと別れました。
【川島】「ふ、ふぅ・・・なんか、やっぱり違うわね・・・オーラってヤツ・・・?」
率直な感想。
【カナル】「で、そのナントカ高原ってのはどっちなんだ?」
【ヴァレイユ】「あっちね。香織に任せるとまた間違えそうだから、あたしが先に行くわ。」
そう言って、一行は再び動き出しました。
<後編へ続く>