第1話「扉を、開く」・後編

第1話・後編


【木更津】「・・・ごめん、ありあわせのものしかないけど、いいかな?」
ヴァレイユと協力して作った夕食を出します。
【川島】「ううん、大丈夫。」

という訳で、みんなで夕食。
【木更津】「ところで、神楽坂くんと川島さんって・・・付き合ってるんだよね?」
いきなり。
【神楽坂】「ぶ、ぶっ!?」
【川島】「ち、違うわよ!」
【木更津】「だって、平気で他人を殴れるなんて、兄弟姉妹か恋人かしかないでしょ?」
【ヴァレイユ】「んで、会話の内容を聞くと、兄弟姉妹じゃない。となると、ね。」
【サララ】「・・・えっと、これにはちょっと特別な事情がありまして・・・」

説明すること数分。

【木更津】「・・・つまり、幼馴染だったのが気がついたら・・・という典型的なパターンね。」
【神楽坂】(あれだけ一生懸命説明した意味って・・・)
・・・無駄だったようです。

【川島】「と、ところで、この世界って、ずっとこんな感じなの?」
話題を変えます。
【ヴァレイユ】「ううん、街もあるし、色んな景色もあるし。
       例えばね、この北の方にある・・・」

それから、北へ南へと、色んな話。最も、ほとんど木更津家の書物にある情報です。

【川島】「へぇ・・・」
そこで、川島がこう切り出しました。
【川島】「ねぇ神楽坂、この世界を冒険してみない?」
【神楽坂】「へ?」
【川島】「RPGの主人公気分でさ。魔術もあるしね。」
【神楽坂】「でも、学校は?」
【川島】「あんなハチャメチャ学校、多少休んだってどうって事ないでしょ?」
【神楽坂】「た、確かに・・・」
納得してしまうのも、なんだか微妙。
【川島】「サララ、いいね?」
【サララ】「涼子がそう言うのなら、ね。」

すると、木更津が。
【木更津】「だったら、ウチにある地図を貸してあげる!」
【川島】「いいの?ありがとう!」

とりあえず、今夜はこの家で一晩寝ることに。


という訳で、翌朝。
【神楽坂】「お、おはようございます・・・」
と、食事をする部屋に行くと、既に全員集合。
【カナル】「遅いぞ、啓。」
【ヴァレイユ】「よく寝れた?」
【神楽坂】「ええ、おかげで。」

すると、全員が揃ったのを見計らって、木更津がこう切り出しました。
【木更津】「あ、そうそう。昨晩ヴァレイユと相談したんだけど、あたし達も一緒に行っていい?」
【川島】「え、いいけど、扉はどうするの?」

【木更津】「うん、弟がいてね。弟を呼んだから大丈夫。」
だ、そうです。

朝食をして、支度をして、いよいよ出発。
【木更津】「それじゃ・・・しゅっぱーつ!」
【川島】「おーっ!」
【神楽坂】「おー・・・・」

【カナル】「啓、元気ねぇな。どうした?ワクワクしねぇのか?」
【神楽坂】「いや、嫌な予感でゾクゾクする・・・」

これが、技術界から魔術界に来た2組のペアの、冒険の始まりでした。

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荒れ地を、一人の少年と、チャオが歩いています。
どうやら、チャオは女性のようです。珍しい、男性の人間と女性のチャオのペア。
【少年】「・・・ん・・・この波動は・・・『扉』が開いたか・・・?」
【チャオ】「私には分かりませんが・・・向かいますか?」
【少年】「そうだな・・・確か、南だったか?」
【チャオ】「ええ、ですが南は砂漠です。迂回した方がいいでしょう・・・」
【少年】「そうか・・・」
そう言うと、このペアは歩く方向を変えて、再び歩き出しました。

                 来週へ続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第182号
ページ番号
3 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日