第12話「瞳の、向こうに」・前編

さて、神楽坂ペアとルーティア嬢も、急いで階段を駆け上がります。
【カナル】「なぁ、啓・・・」
【神楽坂】「どした?」
【カナル】「敵の基地がどっかーんで、ギリギリで逃げるオチ・・・ベタ過ぎないか?」
【神楽坂】「そういうのは作者に言えっての。」
・・・オチまで読むんですか、そこで。


魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ) 第12話「瞳の、向こうに」



一番最初に地上に戻ってきたのは、永川とサリアでした。
【永川】「まだ、みんないないみたいだな・・・」
【サリア】「ですね・・・戦闘機の中で待ちましょう・・・」


続いて、神楽坂ペアとルーティア嬢が。
【神楽坂】「ふぅ・・・」
【カナル】「・・・なぁ、だいぶ走ったはずだぞ?疲れてねぇのか?」
【神楽坂】「・・・あんまり。・・・ひょっとして、これも・・・?」
【カナル】「かもな・・・」
魔術界に行ったことによって受けた恩恵は大きいものですが、本人にとってはいい迷惑になる場合もあります。

【ルーティア】「それじゃ、みんな戻るまで待とうか!」
と、ルーティア嬢は近くで待機していたぴーた君を拾い上げ、戦闘機に戻りました。


さて、この2組は。
エレベーターが止まり、ドアが開きました。
【川島】「あれ、外じゃない!?」
しかし、まだ建物の中。とりあえず、ここから上もないので、走ることに。

しばらく、廊下をまっすぐ走ると、ありました。扉が。
【木更津】「あったぁっ!」
早速扉を開けようとしますが、開きません。
【木更津】「うーん、ひ、開かない・・・」
【ヴァレイユ】「・・・こんなの、開く訳ないじゃん・・・」

開かないのには、訳があります。
確かに「それ」は扉なのですが、巨大な鋼鉄製。しかも厳重なロックがかかっています。
関係者でもない限り、開けられそうにありません。
【川島】「運び出し口って書いてあるから、外に出られるはずなんだけど・・・」

【木更津】「魔術で壊せない?」
【ヴァレイユ】「香織やあたしの魔力で壊れると思う?永川先輩ぐらいならともかく・・・」
【川島】「確かにそうよねぇ・・・」

しかし、ある「もの」が、彼女達にはありました。

【サララ】「・・・いいえ、壊せるわ!
      涼子、コバルトポールがあるじゃない!」
【川島】「あ、そっか!サララ、ありがと!」
そう言い、持っていたコバルトポールを、木更津に渡しました。

【木更津】(これが、コバルトポール・・・
      すごい、魔力が無限に広がってく感じ・・・)
木更津がコバルトポールを受け取った瞬間、異様な力を感じました。
これが、世界をも支配できる、魔力なのです。

【木更津】「って、あたしが壊すの!?」
【ヴァレイユ】「・・・雷属性より氷の方が壊せるような気がするし。」
【川島】「こっちじゃあたしら魔術使えないしね。」

【木更津】「とりあえず、やってみる・・・
      果てよ吹雪!!ブリザードクラッシュっ!!」
呪式の最後の一節を唱え、必殺技を撃ちました。
(呪式に意味はありませんが、「気持ち」の問題です。重要なところで最後の一節だけ唱えることはよくあります)

次の瞬間、轟音が響き、雪煙が舞い上がりました。



紀流院とロルフィーヌ。きょうじゅ宅を出て、帰って行きます。
【ロルフィーヌ】「ところで、だ。
         ・・・ミサイルが追跡しても、僕達が分からなければ無意味なのではないか?」
【紀流院】「・・・そっか。」
・・・気づくの、遅すぎます。
【ロルフィーヌ】「くっ・・・だから言ったのだ!あんな奴に任せる方が馬鹿だと!」
【紀流院】「・・・そういえば、あのミサイル、どっちの方向に飛んでいったか覚えてるか?」
【ロルフィーヌ】「確か・・・ミスティックルーインの方角だったような気がするが?」
【紀流院】「よし、行ってみよう!奴のミサイルの正確性はともかく、行ってみる価値はある!」
【ロルフィーヌ】「くっ、また貴様に付き合うのか・・・だが、仕方がない・・・」
再び、2匹は走り出しました。まずは、駅です。



【川島】「・・・ど、どう?」
雪煙が収まった次の瞬間、光が差し込みました。成功です。

【木更津】「す、すごい・・・あたしでも、こんなことができるなんて・・・」
コバルトポールの力に、驚く木更津。
【ヴァレイユ】「とにかく、急がなきゃ!」
【サララ】「ええ!」

こうして2組は外へ、再び走り出しました。

<中編へ続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第194号
ページ番号
35 / 78
この作品について
タイトル
魔術師狂想曲(マジシャン・ラプソディ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第182号
最終掲載
週刊チャオ第227号
連載期間
約10ヵ月12日