エピソード №27
カズマ「そして、その倉見音を気絶させた人物が倉見音一真だという事が『今』発覚した。
・・・それを確認した人物は・・・・・・・・・・まさしく本人、倉見音春実そのもの、だ。」
ハルミ「・・・お久しぶり。」
エピソード №27 「復讐」
今、共の関係を知ったカズマとハルミ。ハルミはいつもと違う雰囲気を漂わせている。その手には、ナイフが。
ハルミ「ありがとう・・・おかげで全部思い出した。」
カズマ「ふ~ん?ずいぶん強気じゃない?ただ記憶を取り戻しただけなのにさ。」
ハルミ「違う・・・私は怒ってるの。」
どうやら本当にそうらしく、カズマを睨みつける。
カズマ「・・・なるほど、僕がハルミを気絶させた事とでも?」
ハルミ「・・・。」
カズマ「なぁ、僕が記憶に無いのに、いきなりそんな事されてもしょうがないんだよ。」
ハルミ「嘘だ!!!」
急に声を張り上げるハルミ。その声のせいか、カラスが飛び立つ。
ハルミ「現にその資料が証拠。今知ったじゃない。明らかにやった事にされてる。」
カズマ「違う!大体お前の存在自体知らなかった僕にこんな証拠があっても記憶に無きゃただの紙だ!」
ハルミ「証拠は証拠、すでに起こった真実は曲げられない!」
カズマ「俺はこんなの知らないんだよ!!いいかげんにしろォ!!!」
と、急に切り替わった口調で話した口を一瞬閉じる。
ハルミ「もういい・・・私は兄さんを殺しに来ただけ。それだけを済ませればいいの。」
カズマ「・・・やっぱりそうか。まあ、それ以外にナイフを持つ理由なんか無いし・・・。」
ハルミ「ゴタク並べた口を閉じろぉ!!」
そう叫び、ナイフを構えて刺しに来る。
カズマ「うおわぁっ!?ハルミっ!おい!」
カズマは必死にナイフを避けながら懸命に考えている。
カズマ「(何で僕はハルミに狙われなくちゃいけないんだ?
ハルミは何で泣いてたんだ?僕の事を怯えていたのか?
ハルミの頭にあった手術の後って何だ?頭を強く殴った痕は僕がつけたのか?
だとしたら何で妹にそんな事をしたんだ?僕がハルミを運んだ場所ってどこだ?
ハルミの耳元で囁いた言葉って何なんだ!?)
・・ってうわぁっ!!」
見事に不意を突かれてしまったカズマは、知らない内に広い裏通りの壁に追い詰められていた。すでに出血もしている。
カズマ「・・・お前なぁ・・・」
ハルミ「今さら遅いよ、そんな事。私はもう、こうして復讐すれば・・・ねぇ、命乞いぐらいしてよ。止められない。誰か止めてよ、兄さん・・・!」
カズマ「(・・・死ぬ間際に今までの思い出とかが浮かんでくるって言うよな・・・本当に色々浮かんで来た・・・!?)」
『 』
カズマ「・・・本当に、変わらないんだな、お前は。まだ甘いよ。」
今の一瞬で何があったのか、すでにカズマは棒切れを持ち、ハルミが追い込まれている。
ハルミ「兄さん・・・?」
カズマ「何だよ。止めてほしかったんだろ。」
ハルミ「嫌・・・嫌!やめてよ!」
カズマ「それじゃ前と全然変わらないよ。今の君のその思考を消すには、こうするしかないんでね。」
ハルミ「嫌!やめてよ兄さん!」
カズマ「ハルミの為なんだ。僕の為でもある。前にも言ったじゃないか。忘れたのか?」
ハルミ「嫌ぁ!!」
―止めてやるよ
バキィッ―――
カズマ「・・・。」
知らない内に酷い嵐になっていた。その光景は、見るも無残な姿を物語っている。昔と同じような光景だ。
カズマは棒を持ち、ハルミを殴っていた。昔と同じ場所を、だ。
そしてカズマは隣に座り、こう発言した。
カズマ「人生よ、終われ。そして、始まれ。」
これが、耳元で囁いた言葉だ。
カズマ「これでいいんだろうな。・・・全く、相変わらずだよなぁ。」
どうやら、死ぬ間際に全て思い出したらしい。
カズマ「(・・・僕は、脅迫されていたんだ。あの黒服達に。ハルミが黒服達を殺していっている時、アイツ等は僕の存在に気付いた。
僕がハルミの姉だったと言う事を知って、僕を脅迫し、ハルミの記憶を消すよう言われた。
だから・・・)」
バキィッ―――
カズマ「(その後、僕は言われた通りにハルミを奴等の所へ持っていった所を、殴られた。
その時に僕は一部の記憶を無くしたんだ。そして奴等の計画はそのまま実行された・・・)」
そこまで考えて、カズマは目付きを変えた。
カズマ「(でも、甘いな。僕は今全部思い出した。僕が今する事は、復習として奴等の組織を壊滅させる事!
さぁ、まずは怪盗X!待ってろよ!!)」
・・・
カズマ「さぁて、コイツはどうするか・・・。」
キョロっとハルミの方を向いて、少し赤くなるカズマ。
カズマ「・・・ま、まぁ、寝てるしな。どうするかな・・・どうするどうする、何で今頃こんなに赤くならなきゃならないんだ・・・。」
すでに真っ赤。