1 ++α

ふと、赤いジャムがスラムの街を埋めてゆく、浸食してゆく光景を想像した。
誰もがジャムに酔い、ジャムに生活をゆだね、
この俺は幸せと並行してこのジャムを持っている。まさに皮肉だ。
生きる糧であるジャムが、
人生を賭けて求めるべき『幸せ』と同じ価値にあることが俺はどうしても許せなかった。
でも、ジャム以上に素敵なモノは自分にはすぐには見つからなかった。

亜子?

一瞬「素敵なモノ」と考えた瞬間、すぐそばにいる顔が思い浮かんだ。
逆に言えば、それだけしか思い浮かばなかった。

つまり、それは…。

「亜子、…。」
「…何?良く聞こえなかったけど?」
「いや、何でもない…。」
「そう?…へへ、今日のゆーは朝から変だよ。変、変。」
「変?…あぁ、お前みたいなヤツを即行で家に迎えただけのことはあるだろ?」
「…え?ちょっとそれ…。…えー?どーいうこと?何か不満でもあるのー?」
「…別に。」
「あるんでしょ?あるならはっきり言ってよー。」
「無い無い、さぁ、早く寝ようか。」
「…ぶーぶー。」

俺は背中から来るブーイングを無視して、いつもの新聞紙の寝床に向かった。
電気は9時には完全に消える。
亜子は文句を言いながら、…でも、少し楽しそうに…俺の隣に寝ころんだ。

「おやすみ…。」
「うん…。…。」

亜子は数秒もしないうちに目を閉じて、そして、寝息を立てた。
俺は急に亜子が欲しくなったが、
彼女を今無理に起こして、自分に従えようとは自分の理性が許さなかった。

俺は「欲求」や「疑心」を無理矢理押し込んで、寝返りをうった。
いいさ、幸せを感じるなら、きっとそんなモノなんて胡麻の一粒にもならない。

今宵、月の見える窓を少し眺め、
色々な将来を考えているうちに、涼しい風が吹いてきて、
いつの間にか目を閉じていた。

『Determine their future』 ~未来を決定せよ。

2A・次の日、その幸せはあっさりと壊れる形となった。…
2B・次の日、俺と亜子はいつものように工場へと出かけた。…

このページについて
掲載号
週刊チャオ第300号
ページ番号
4 / 17
この作品について
タイトル
JAM
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第300号