I never have "notihng" 2
後日。作哉、冬樹、須磨の3人は、
他の第5SRFBD隊のメンバーを引き連れて、宇宙船に乗っていた。
ステルス機能で、彼らの情報はチャオには関知されなかった。
―見ろよ、須磨。
あれが俺たちのMOTHER・・・地球だ。
冬樹が目の前に指を差したとき、
須磨は初めて見る地球を見て、感動した。
―あれが・・・地球・・・。
―チャオ達は俺たちの地球を奪った後、
急速にきれいな水ときれいな森の復活をさせた。
だから、もしかしたら地球はこうさせるように運命をチャオに、託したのかもな。
人間は必要なかったのかもしれない・・・な。
そう話した作哉の目は色々なものが渦巻いているように見えた。
人間は正しかったのか、チャオは間違っているのか。
それに対し「YES」とは地球は作哉に言い切らせなかった。
彼は歯がゆく思っているのかもしれないと、須磨は思った。
―まぁ、そんな悩んでいる暇があるなら、生き残ることだけを考えようぜ。
須磨、作哉。
そろそろ、成層圏を抜けて来た頃だ。いまからが、本番だろ?
―・・・あぁ、よし、全員降りるぞ!
第5SRFBDメンバー20人!森に降りる準備をしろ!
ここからは生死をかけた戦いだ!
全員の目は本気になっていた。
誰もが死を覚悟して、地球を「夢見た」若者ばかりだった。
須磨も、郁のことを忘れ、目の前のこの美しく恐ろしい地球の景色を見つめた。
一週間後。
須磨と冬樹は年齢が似ていることもあって、すぐにうち解けた。
ただ、須磨は作哉に関しては敬語を使うように心がけていた。
ある日、いつものように森の中を探っていた二人は何かが倒れているのを見つけた。
それはまだ進化していない水色のチャオだった。
多分、子供だろう。
須磨はあわてて駆け寄ろうとしたが、それを冬樹は止めた。
―うかつに近づくな。CBかもしれない。
―CB?
―チャオ・ボム。つまり、囮の爆弾の可能性がある。
あれで、以前おまえと同じような新入りが吹き飛ばされた。
須磨は背中に冷や汗を感じた。
少しの油断であっという間に死んでしまうことを実感した。
しかし、須磨はおかしいと思った。
彼は一面泥だらけで、少しぴくりと動いている。
―そのCBってのは・・・あんなに細かく動くのか?
―それは分からない。だが・・・。
―俺は助けるぞ!
―ダメだ須磨!おまえみたいに助けようとしたから、
以前の新入りも吹き飛ばされたんだ!
―だが!
須磨は冬樹に言い返した。
―俺はチャオが敵だとは思えない。
こんなきれいな森を作る、地球を味方にする、チャオ達には。
むしろ俺たちが敵なんだろう。
チャオにとって・・・いや、地球にとって。
だから、俺はチャオと共存できる社会になって欲しいんだ。
きれいになった地球が、許してくれるなら。
須磨はゆっくりとチャオに近づいた。
それはおなかがふくらんだりしている。呼吸をしている。
いくら機械でもこれは真似できない。
これは生命だからこそ出来る呼吸だ。
俺はチャオにふれた。爆発はこれでしないと分かったのだろうか。
冬樹も近づいて、須磨に行った。
―子供なら何とかなる。
看病をしようか。そのつもりだったんだろう?
―冬樹・・・。
須磨は少し笑って、うなずいた。