【訳ありの少女、襲う】
「ご、ごめんなさ~い…」
「…ドアホ。あれ高かったんだからな。」
「ついつい出来心で~」
「なーにを嫉妬してるんだかシラねぇけど、
常人じゃ壊せないような領域まで粉々にしてくれたら、
逆にバレバレだっての。」
「し、嫉妬なんてしてないです…///」
「…はいはい。ま、あいつは俺の好みじゃないし、
んな誰でも彼でもやってくれると困るんだから。
もうあんなコトするなよ。」
「は、はいっ♪」
「まぁ、するなら、モットむかつく奴にやって欲しいわけだ。」
「…は、はい…?
もしかして、そっちが本題だったり?」
「そう言うこと。」「…先輩も悪よのぉ…」
「お代官様ほどでは…。…って、こっちの方が悪か…。」
…そうして放課後…。
『あ、あの可愛いコが…悪!?』
「ひそひそ…(そうそう、あいつだよあいつ。)」
『でも、そんな悪い人には見えないけど…。』
「ひそひそ…(いやいや、世の中見かけには寄らないのさ。)」
『なるほど、先輩は見た目通りの極悪人ですけどね!』
「ひそひそ…(まぁ、そう言う例外もあるけど…って何言わせんだよテメ…)」
ぎゅっ(←頬をつねる音)
『ご、ごめんなさいっ!』
…
…と、電車の中、
その女が友達と会った瞬間…一変した。
「つーか、美由紀って奴いるでしょ?
そっちのクラス!」
「あぁ、いるいる!」
「あいつの笑顔ちょー不細工ってゆーかー!
見てられないよ!キモ過ぎ!」
「あぁ、そうそう、
田中もバカだって!あいつとつき合うなんて!」
「そーそー!でさ、あの隣のクラスの…」
朋と京介は、
二人が気付かないところでそっと座る。
電車が動き出すといよいよ彼女たちの悪口は、
エスカレートをしていくのだった…。
「は、始まった…。」
『せ、…盛大ですね…』
「…(聞いているこっちが悪口いわれているみたいだし。)」
『でも、どう仕返ししろって言うんですか?』
「…(お好きなように。)」
『えぇ~?私怖くて出来ないです~』
「…(さっきCDを粉々にしたバカは誰だ?)」
『ぅ~でも、半殺しまでは可哀想です~』
と、朋は俺の背中から離れると、
音もなく動いて(←当然と言えば当然…)
ちょんっと彼女の背中をつついてみる。
悪口を言っていた女は気にしない。
『ん~、これじゃあ、ダメかぁ…
…あ、そうだ…♪』
朋は次に髪の毛を引っ張ってみる。
すると、さすがにその女も気付いたらしく、
「痛いっ」と言ってそれを払いのける。
しかし、後ろには誰もいない。
「…あれ?」
「みーちゃん。どうしたの?」
「誰かに髪の毛を引っ張られた。」
朋は次にその女の顔をどついてみる。
女はそれを払うが、前には誰もいない。
次に朋は足を蹴る。
もちろん、下には誰もいない。
最後に朋直伝の握力で右腕を握る。
女もさすがに叫んだので俺は×サインを送る。
お返しに、朋はブイっとVサインを送ってきた。
まぁ、今日はこのくらいにしてやろう。
俺はそれを笑ってみていた。
…。しかしながら…。
やっていることは普通の幽霊よりひどいかも…。
「…みーちゃん、右腕にあざが…。」
「…ひ、ひいいい…。」
「だ、大丈夫?」
「ちょっと今日…病院へいってくる…。」
…。
…まぁ、そりゃ、事情を知っている俺は良いが、
リアルに何も知らずにされると、
そりゃビビルのかもしれない…。
『ご愁傷様♪こんなえげつない男に恨まれたから…』
「…(…の割には語尾に♪つけてるじゃねぇか…。)」
『いいもん、先輩が喜んでくれたら何でもします~v
あ、充電充電…』
朋はまた京介の背中に飛びつく。
吊り輪が重そうだが、多分大丈夫だろう。
…つーか…幽霊に重力って、あるの?か?
…
…
夜は得てしてやってくる。
今日も俺はこの家で一晩を過ごすことになる。
いつもと変わらない日常…。
しかし、今回の夜は違う。
それは…
「…せ、先輩…///…優しく…してくださいねv」
「あぁ、朋、…可愛いよ…
……って違う違う違う違う!
ノリやすい性格だから止めてくれ!」
「あたしとしては結構本キートークみたいな?」
「…意味分からない言葉を使うな。」
「あんたら、夜もげんきよのぉ…。」
「女子高生のオマエが何しみじみしてんだよ。」
「いいじゃん、人間としての性よ。
…と言うわけで夜ご飯完成しましたー。」
すると、陽菜はホットケーキの元みたいな、
どろどろした液体が入ったボウルと、
大きめのホットプレートを奥から出してきた。
「…ほぉ、お好み焼きとな。珍しい。
ホットプレートで焼けばいいってわけだな。」
「私は野菜しか入れていない状態にしてあるから
肉が食べたけりゃ焼くときに自分のに載せてね。」
「…頭よく考えたな。
兄の反感を避ける、かつ、手を抜けると。」
陽菜は少しムッとして京介を見る。
「手を抜いたわけじゃなぁいー。
たまにはこういうのも良いじゃんって事で。」
「…そりゃそうだな。
悪かった。じゃ、焼いてみるか。
…?」
「…おいしそうですねぇ…」