【訳ありの少女、寝る】

「朋…オマエはさすがに無理だろ。
 俺たちとふれあえるといえども飯は…。」

「…今日は先輩を食べるのでガマンします…」
「(ブッ)」

「ちょ、…兄貴、ばっちい!(←福井で言う汚い)」
「んな…朋!
 オマエ、それはどう考えてもネタとしてまずいだろ!」
「へ?むー、あたしとしては本気でしたけど~?」
「いや、それはそれでまずいから。」
「え~?まずくはないですよ~?
 ただ、あたしも妊娠はするんですから責任だけh…」


(ぼかっ)


「ちょっ、何するんですかぁ!」


「ごめんごめん。でも、それ以上話が進むと、
 ホントこの話にCEROが着いちゃうから…」
「…CEROって何か卑猥なモノですかぁ?」
「…。…卑猥が分かってどうしてCEROがわからねぇんだよ…。」

と、3人が食べ終えた(朋は食べていないけど…)後、
プレートなどを片づけながら、
陽菜がにやっとして京介達の方を見た。

「ま、…朋ちゃん、あなたは「清純」でいて欲しいから、
 今日は私の部屋で寝てね。」
「あ、…でも、先輩…」
「ダメダメ。兄貴の部屋で寝たらCEROかかるから!」
「変なところでCEROを使うんじゃねぇ!!」

(※CEROとは?
 えっちなゲームやビデオに主にかかる制限のことですv)



夜中になっても京介はまだ起きていた。
ギター練習、受験勉強、学校祭での造りモノの設計まで…。
いろんな事がぐるぐる回っている。
彼としてはこれ以上気にかけるモノを増やしたくはなかった。

これ以上は、例え、性欲の糧になろうが、…

でも、避けられない事はいくつでもある。

何度もやってくるモノも…いくつもある。

「せんぱい…起きてます?」
「朋…陽菜はどうした?」
「もう寝ました…というか、爆睡です♪
 で、いびきも…」
「…あいつのいびきは公害だからな…。
 オマエの逃げてきた気持ちもよく分かる。
 幽霊かって、寝ないとイケナイんだろ…?」

「…。」

「ん?どうした?」

「あたしは人間ですか、幽霊ですか?」

「?」
「先輩はどっちですか?
 普通の人間に戻ることを恐れてこうやってさまよう、
 あたしは人間ですか、もう、幽霊なんですか?」


「何が、あったんだ?」


「…あたしは病院にいます。
 重い病気です。多分、あたしが「戻った」としても、
 あたしは多分死んでしまうんでしょう。
 でも、最後に一度だけ、手術が成功したら、
 あたしはまた、生きれるんです。
 病気が、完治できるんです。
 でも、それはたったの…たったの、一パーセント…」

「朋…。」

「あたしは先輩が好きです。大好きです。」

「…朋?」

「誰のモノにもしたくありません。
 でも、死んだら、あたしはもう幽霊です。
 幽霊として、先輩に会うことになります。
 でも、それじゃあ、きっと先輩はもういなくなっちゃう…。
 あたしの元から消えて行っちゃう…。
 あんな、沢山の女のコと遊んで、逃げられて、騙されて、
 結局あたしや他の人にグチをこぼす人なんだから、
 きっと…。…。」

「…(どさくさに紛れてひどいこと言ってやがる…。)」

京介は一瞬また頬をつねってやろうとか思ったが、
そんな気にはなれなかった。
むしろ、胸を頭を心をもがれるような悲しみが、
しゅんと心の真ん中に、体操座りで座っていた。
朋のようにも、見えた。

「朋。」
「はいっ!」
「今日は寝ろ。」
「せ、先輩…あたしのせっかくの告白は…?」
「ったく…。『朋かって』、寒いんだろ?
 『朋だって』、寂しいんだろ?
 それはそれで仕方がないんだよ。
 オマエだから、な?」

「…。
 あたしのこと、幽霊って呼ばないんですか?」

「それは俺のかってだろ。
 それでもって、オマエは、『朋』だ。
 でもって、
 俺がオマエのことを好きかキライかは別として、
 オマエは『朋』として、俺の目の前に来ている。
 今は、もう寝ればいいさ。
 夜中に考えたことなんて、結局忘れてるよ…。」



「…先輩。」

「ん?何?」

「鼻毛出てます。」

「(ブッ)あのな!ここは普通シリアス路線を続けるだろ!」
「え?だって本当ですよ~♪」
「…もう、えっとぉ…あぁ、これだ(ぶちっ)」
「うわぁ、えぐい…です…」
「うるせぇ、ここは俺の部屋だ。」

「先輩…。」

「今度は何?」

「あたし、先輩があたしを好きになるまでつきまといます!
 でもって、先輩をあたしが幸せにします!
 ゴールまでたどり着きます!約束、約束ですからね!!」

「…。

 ふふ、期待しないで待ってるよ。」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第330号
ページ番号
7 / 7
この作品について
タイトル
暇日。
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第327号
最終掲載
週刊チャオ第330号
連載期間
約22日