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白いまぶしい色や黄色い暖かい色が街を照らし始めた。
男は最近髪を切っていなかった。
頭の上から襟足まで、黒い髪がそれに反射した。
夜になりかけている。
「…何か食べるか?」
「へ…?うん…」
男は警察をしばらくまいていた。
少しだけの余裕。
彼らが、少しだけ、普通の恋人同士になれる時間。
思えば、チャオをわざわざ手に入れて、
こうやって逃げているのか、
その理由が二人にはうすうす感じられていた。
違う苦しい道を歩いてきた二人は、
きっと何かで一緒になりたかったのだ。
そのためにこのデイパックに入っているチャオを奪って、
こうやって、夜灯に照らされる東雲(しののめ)の下、
ヘッドライトを前方に照らし続けて、
走っている、駆け抜けているだけなんだ。
男は女にクレープを買ってあげた。
あのときと同じ、
最初に会ったとき、彼は同じように、小さな売店で、
彼女の大好物だというそれを買ってあげた。
『ねぇ、名前なんて言うの…』
『…ん?知らなくて良いさ、別に…。』
『そう?
…あ、そうだ、ありがとね。』
『…ん…。あぁ…。」
「ねぇ、今からどこへ行くの?」
「どこへでも行けるさ。
俺らのストーリーは誰かに作られるんじゃねぇから…。」
男はまたアクセルを大きく踏む、
灰色のダストが大きく汚い街にまた溶け込んでいった。
女は暇そうにラジオをつける。
ちょうど曲が、始まって、演奏されていた。
綱渡りのeveryday 繰り行く日々の背に
唾吐きすり抜けたrunnaway
傷つき疲れ果てた 心の暗闇を
脱ぎ捨て 今キミ抱きしめに行くのさ
もう 誰も 癒せない
傷跡に 降り注ぐ雨
そう キミと 痛みを分け合うように
ずっと孤独を抱いてくれ
裸の太陽 Ahこの胸に 熱く輝きながら
今目覚め始める この想い キミに届くまで
love you,love you,love you,love you
走るだけ
行き交う人の流れ 戸惑い隠しながら
自由を気取っている誰もが
隠された闇を 盗まれた今を
必ず取り戻しに行かなければ
そう 誰も 知らない
瓦礫の 街に咲いた花
そう キミと 秘密を分け合うように
ずっと永遠を抱いてくれ
響く銃声 Ah行き場のない 明日を占うような
今目覚め始める 想いだけ たどり着きたくない
love you,love you,love you,love you
走るだけ
もう 誰も 癒せない
傷跡に 降り注ぐ雨
そう キミと 痛みを分け合うように
ずっと孤独を抱いてくれ
裸の太陽 Ahこの胸に 熱く輝きながら
今目覚め始める この想い キミに届くまで
love you,love you,love you,love you
love you,love you,love you,love you
離さない
stealin' got of the SOS
stealin' got of the SOS
uh...love you...