第7話 再度
−如月久遠−
俺は練習していた、創造すると言うアドバイスをグレンに受けてから。
でも、上手くいかないもので・・・。
昼頃になったみたいで、昼食を摂る事にした。
久遠「発現させるのにコツは無いの?グレン。」
グレン「コツか、そうだな・・・。自分の『力の象徴』、『想い』みたいなのを考えると良くなるかもな。
この発現自体、よくわかってないからな。前に言ったようにこの世界の常識。みたいなものだから。」
久遠「ふぅん・・・。『力の象徴』、『想い』か・・・。一番わかりやすい気がするよ。ありがとう。」
グレンは頷いていた。
昼食が終わり、食後のストレッチをして色々考えていた。
そして、再び練習を始めた。
久遠「(力の象徴・・・、俺にとっての力か・・・。剣道・・・。だから刀か・・・。
そして、想いか・・・。幼馴染・・・、両親・・・、御園・・・。)」
そんな事を思いながら、俺は集中する事にした。
数時間していたが、一つ変わったことがあった。
それは、この世界に来て、すぐに野獣に襲われた時の暖かい『何か』があるのに気付いた。
俺は刀・・・、力の象徴を想像した。
すると、その『何か』が形作っていく・・・。
刀になる何か。
その時、気付いた。
光なんだ。
グレンを人形になる時、武器が発現する時・・・。
俺はその光を出す為に集中した。
・・・出ない。
俺は焦った。
もう少しなのに、と・・・。
声が聞こえてきたんだ。
グレン「クオンはその力を手にして何を望む?」
久遠「俺が望んでいる事・・・?それは・・・、この世界にいるはずの幼馴染を・・・。」
その時、俺は明確な目的を思い出した。
自分の大切な幼馴染達を助ける為に来たんだ。
今まで何を考えていた?刀が出したいため?珍しいから?
違う!俺は・・・、俺は幼馴染達・・・、黎人や薫や刹那を助けたいんだ・・・!
その時だった、その暖かい『光』は俺の手に発現したんだ。
久遠「え・・・、出てきた・・・?」
グレン「出てきたな。出したときの気持ちを忘れるなよ。
それがお前の力になる。必ずな。」
久遠「あ、あぁ・・・」
前みたいに放心状態は無かった分、鞘つきの刀を何分間か見ていた。
グレン「もう、夕暮れか。早いな誰かが刀をまじまじ見てせいで。」
久遠「そんな事を言ったって自分で出せたんだ。まじまじ見たくなる。」
グレン「わかったわかった、さて早いが帰るぞ。」
そう言ってグレンは背を向け、村に向かった。
俺もその後ろを追いかけた。
夕食を済ませた俺達は温泉みたいなのに入り、部屋に戻った。
グレン「あ~、俺もクオンの横で色々考えていたから疲れた。寝るな。」
久遠「ああ、おやすみ」
グレン「ああ」
昨日の様にチャオに戻り眠りに就いた様だ。
俺も寝ようとした。
だけど、眠れなかった。
今頃、幼馴染が何をしているとか、両親が何をしているとか、御園の事も思っていたら、寝るのが遅くなった。
力を発現させるコツは掴んだ、次は刀の扱い方だと考えながら、俺も眠りに就いた。