第6話 交差
翌日
グレン「おい、朝だ。起きろクオン。」
久遠「あ~、眠い…。」
グレン「さっさと起きろ」
久遠「わかったわかった…。起きる起きる・・・。」
色々考えていて、全然眠れなかった。
イメージの想像かぁ・・・。わからない。
とりあえず、顔を洗ったあとに、朝食を食べて、練習しに行く事にした。
昨日と同じ、村のはずれに着く。
また昨日と同じように日が暮れるまでここで、練習する事にする。
グレン「そうだ、思い出した・・・。能力を出す事は『発現』と言われている。
そして、武器を想像するのと同時に、創造もするんだ。
つまり、武器を想像して創造する。作り出すんだ。」
グレンにそう言われた俺は少し考えながら。
なるほど。と思った。
想像し創造して現れる、発動する能力・・・。
そんな事を考えながら練習する事にした。
−葉月黎人−
俺がここに来て、数日がたった。
元の世界よりも充実した毎日だった。
ここは力が目に見える。
それが気持ちよかった。
俺は森の中にある、要塞の近くにいた。
そして、要塞のはずれ。
歩いて10分もかからない所で特訓でもしようかと俺は向かった。
しかし、そこには幼馴染・・・。
『朱乃美咲』がいた。
黎人「おい、美咲?美咲だろ。」
美咲「え?」
美咲は振り返り。
美咲「黎人?!黎人あんた、何して・・・、って違うわよ!ここどこなのよ?!」
黎人「落ち着け、美咲。」
美咲「う、うん・・・。」
美咲は落ち着きを取り戻した様子でもう一度訊いてきた。
美咲「ここどこなの?」
黎人「ここは、シルフィーム。俺達のいた世界とは違う世界だ。」
美咲「ふぅん・・・。ヤケに落ち着いてるのね。「もうここに来て長い。」みたいな感じがする。」
黎人「ああ、長い。そっちがいつ来たかは知らないが、大分経っている。少なくとも俺が来てからはな。」
美咲「私はさっき、気がついたのよ。ここで言う、私たちの元々いた世界から来て、一日も経ってない。」
黎人「そうか。ところで久遠もこっちの世界に?」
美咲「わからないけど、ここに来る前の日「久遠が家に帰ってないみたいだから、美咲の家にいないか」って、御園から電話がかかってきたから・・・。
もしこっちに来てるなら、昨日ぐらいには・・・。」
黎人「そうか・・・。やっとか、やっときたか・・・。待っていた。」
美咲「黎人、あんたどうしたの?」
黎人「いや、なんでもない。ところで美咲はどうするんだ?もしよかったらだが、そこの要塞で詳しく話してやるぞ。この世界の事を」
美咲「要塞って・・・。あんた、なんかしたの?」
黎人「いや、ちょっと色々訳ありだ。」
美咲「ふぅん・・・」
微妙な顔をしていた美咲を連れて要塞に向かった。
そして説明した。
この世界の事や世界に起こっている事。
そして能力の事などを。
美咲「へぇ・・・。能力なんてあるんだ・・・。黎人がさっき見せてくれたのみたいに、出せる・・・、発現って言うんだっけ・・・できるの?」
黎人「ああ、出来る。美咲は出したいのか?」
美咲「うん、私もその能力を発現させたい。」
黎人「お前も力を求めるんだな・・・。」
美咲「ええ・・・。少しね、この世界ならもしかしたら悠を・・・。」
黎人「ん?悠がどうしたんだ?」
美咲「何でもない。でも黎人。あんた今、「お前も」って言ったよね?」
黎人「ああ、さっきも言ったとおり訳ありだ。この事はお互い訳ありでおわりにしておくか。美咲も話す気はなさそうだしな。」
美咲「そうね。多分、いつかは話すと思うけどね。」
黎人「俺もかもな・・・。」
そんな事を話していると。
兵士が入ってきた。
兵士「おい、レイト、お前に命令が出た。馬で数時間の村に能力が発現した反応ありだ。
少し大きい力みたいだから明日、お前に行って来て欲しいそうだ」
黎人「大きい力か、わかった行こう。もし敵と判断できるなら・・・、いいんだな?」
兵士「ああ、いいそうだ。じゃあ、頼んだ。」
そう言い兵士は出て行った。
美咲「黎人、あんた、「敵と判断・・・」とか言ってたけど・・・あんた、もしかして」
黎人「心配するな、美咲が思っていることはしないさ。ただの様子見だ。」
美咲「黎人の事だから心配はしてないけどね。」
黎人「ははっ、信頼してくれて嬉しい限りで。
もしかしたらあいつがいるかもしれないからな・・・。」
美咲「私はどうしたらいいの?」
黎人「ここにいてくれ、多分すぐ帰ってくると思うが・・・。兵士たちの事は心配するな。
いい奴ばかりだ」
美咲「わかった。」
黎人「じゃあ、夕食にするか」
美咲「ええ。この世界のご飯っておいしいの?」
黎人「ああ、結構な。」
そして俺は、明日、馬で数時間かけて森を抜けたところにある村に行く事になった。