7B
……
俺は呆然と彼女を見ていたが、
ふと、後ろで服を掴まれる感覚がした。
そこには、1人の女性から恋人になった、
月からの天使が俺を見ていた。
「…亜子。」
「…私、気づいた。
ゆーがどれだけ大きな決断をしたか。
ゆー。ありがとう。私の最初で最後の恋人。」
「夫…じゃないのか?」
「ううん、恋人。」
「そうか…そうだよな。俺たちって…。」
俺と亜子は歩き出した。
何もかもから解放されたふたり。
上手くいきすぎる生活なんて、幸せじゃない。
屁理屈だけど、…確かに俺たちはそう感じている。
8『結局、それから1年が過ぎた。』