4B

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「何もしてねぇよ!!!」
「…。…叫ばないでよ。」
「俺は、お前だけが好きだ。」「嘘。」「嘘じゃない。」
「嘘でしょ!」

唖夢は俺の方をじっと見た。

「そうやって、私に取り繕うんでしょ!
そんなべたな言葉を、ありきたりな言葉を!何で信じないといけないの!?
そんなに私ってバカ!?そんな程度だと思っていたの!?」
「そんなつもりはない!」
「嘘よ…絶対に嘘よ…。」

彼女の声はだんだんと小さくなって、
俺に抱きかかっていった。

本当は、俺の方が暖かさが欲しいのに…。

俺は無力感と虚脱感に襲われた。
彼女を何とかしなければならない。

でも、俺も、自分の過去にある真実をどうしても知りたかったのだ。
過去を知ることは自分を知ること。
自分を知りたくない人間が、この世で生きているはずがない。

でも、人は他人と折り合いをつけていかないと生きて行けないのも、また…

「唖夢…。」「バカ…バカ…。」

俺はしばらくそのままバカという言葉を聞き続けていたが、
やがて、それがただの透明な息に変わった。

「泣き寝入りか…。」

俺は指をしゃぶったまま寝ている唖夢を抱えた。
そして、彼女と共に丘を降りていった。
ちょうど、夕日が現れていた。もうそんな時間だったのか…。
俺はそう思いながら少し、歩くスピードを速めた。

……

俺はしばらく、自分の部屋で唖夢を寝かせていた。

一つの疑問が生じてしまう。
唖夢は彼女なのか?
本当にそうなのか?
それがいけないと分かっていても、そう思った。
妄想がいつの間にか人にばれるのを恐れるように、
今俺は唖夢が自分の疑問にいつのまにか気づく時を恐れていた。

「その前に、…俺は確認しないと行けない。」

立ち上がる。
夜の八時、本当は仕事以外では出歩かないのだが…。
俺は唖夢が起きてこないように、
そっと部屋のドアを閉めた。

ガチャリ 「…ゆー?」

夜の冬の公園は寒い。
厚着をした俺は1人林の方へと向かう。
段ボールがいくつか家のように造ってあった。
…ホームレスも、多い。凍死しないことを祈るだけだ。

「…この公園の林を抜ければ…小屋が…。」
「…ゆー。」「!?」
「来ちゃった。」
「…来ても、良いのか?
 最初に言うけど…俺が携帯を切った原因の所に、今から…。」
「女がいるんでしょ?」「そんな言い方するなよ。」「浮気者。」

唖夢は笑って俺にそう言った。
しかし、

「でもま、そうだよね。過去を知りたいのは、当然のことだしね。」
「…!」
「そうよ、驚いたでしょ。私はゆーの過去を全部知っている。」
「どうして、言ってくれなかったんだ?」「愛しているから。」
「…?」「…愛しているから。それだけよ。そーれだけ。」
「それだけって、お前…。」「さぁてと、邪魔はしないからさっさと行ってきて。」

唖夢は林の入り口で俺を奥へと押した。
笑ったまま…いや、嘘の笑顔だ。絶対に…こらえている。

「唖夢…。」
「早く行ってよ!早く!」
「…ありがと。」

俺は唖夢をおいて、奥へと向かった。
皮肉にも、昨日貰ったジャムを持って。

……

このページについて
掲載号
週刊チャオ第311号
ページ番号
14 / 29
この作品について
タイトル
diRty,ugly,and Black coffee
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第311号