2B
「…よろしく。」
俺たちは街をざっと歩く。相手は銃を持っているらしい。
フードをかぶる女が発見されたらしいが、
彼女がRBを見た瞬間逃げたという話が報告されたらしい。
俺たちがその処理をすると言うことだった。
「…フードをかぶった女…か。
昔のあの女は…フードは、かぶっていなかったよな…?
いや、でも…。でも…。」
…あのとき。
……
「…今、撃ったの?
…感覚が無くなっていく…。」
「…俺は…。」
「…、ねぇ、…。私が…分か…る…?………。」
……
「ゆー?ゆー?」
「あぁ、考え事だ。気にするな。」「考え事?」
「気にするなって。たまにはそう言うときもあるさ。」
「ふふっ、なにそれ。」
二人は笑って、銃を片手にホテルを出た。
俺は、ふと、唖夢の髪を撫でてやった。
こんな光景、見つかったら本部に「恋の病か?怠けてる」と怒られるだろうが、
たまにこんな事したくなってしまう。
もちろん、それへの返答は、驚き混じりの笑顔だった。
「…私は公園側を探そうと思う。
あなた、…いや、ゆーは、どうする?」
彼女は「ゆー」を使い慣れていないようだ。相変わらず。
俺は一緒に公園に行く選択もあるが、
単独で街の中を探すという方法もある。どうしようか…?
ここは…。
「…じゃ、俺も公園を探すかな。」
「一緒に探すなんて、手際が悪い…。」
「たまには良いじゃないか。
重点的に探せるし…さ。」
「私はどっちでも良いと思ったけど…。
…分かった。じゃあ、公園を手分けして探してね。」
唖夢はすっかり冷静になって俺に問いかけた。
俺はすこし期待が外れて「ちぇっ」とは想いながらも、
銃を片手に、明るい日差しの刺さる公園に入り込んだ。
この公園には多くの人がいる。
Dirtyなホームレスも多いし、失業者もいる。
貧困地域に入ればもう二度と戻って来れないので、ここで渋るわけだ。
そして、鮮やかなスーツに身をまとい、black coffeeをすするサラリーマン。
ストレスを抱えながら、こういうところでそれを飛ばすのだろうか。
まぁ、どちらにしろ、俺の仕事は絶対に秘密である。
「…銃は隠さないとな。」
唖夢はどうやらここから見える範囲の他の場所を探しているようだった。
指をまたずっとしゃぶっていたのか、親指は確か赤みがかっていた。
…と、その時、
俺はふと、公園の向こうの林で誰かが座っているのに気づいた。
フードをかぶった、…女?
…!
俺は私服のままゆっくりとその女の座る林へと足を進めた。
俺はそっと林に入り込もうとする。
しかし、ここで出鼻をくじくように、
その女はこちらを向かず、話しかけてきた。
「…あなたは?」
「俺に、気づいていたのか?」
「当たり前でしょ。…あなたは一体…だれ?」
彼女は後ろを向いたままそう聞いた。
変声機で、声は「ほわんほわん」とエフェクトがかかっており、
ニットキャップをかぶる俺の正体は分からないのが当然だ…。
だが…どう返答しよう?
3A・『RBの者です。』
3B・『どこにでもいる男ですよ。』