~斬首な情報屋~ 3
「本題?」
「まぁ、言うなれば、あの女の子のこと。」
「あぁそうか、彼氏とられたんだよな?」
「…いやいや、そうじゃないんだけどー…。」
彼女は一枚の紙を俺に見せる
あぁ、これはセブンイレブンに売っている、
36行B5サイズのルーズリーフ(定価216円)だ。
…以外とケチなんだな。
「…なんか私を馬鹿にしてない?その顔。」
「元々こういう顔だよ…。」
俺はその紙に目を通す。
最初に彼女のHNが書いてあるようだ。
「腕斬…自殺死亡か?」
「いえいえ。あ、ちなみに本名は「春風 千秋」と言います。」
「一体どっち(の季節)だよ…。」
「まぁ、気分的には冬かな。」
「どっちでもねーじゃねぇか!」
俺はさらにさらに文章を読み進めていく。
どうやら今度は本当にマジメな文章らしい。
「…あの女子ってこんな素行だったのか?」
「まぁ、そうね。電車の中ではよく悪口言う所も見かけるしー…」
「ふ~ん。」
「ちょっとショックだった?」
「いや別に…。」
「でも、あなた、一度彼女に恋をしていたわね?」
「何で?」
すると、今度はまた同じルーズリーフを彼女は俺に手渡した。
…俺の情報が載っている。
そこには俺の一年からの行動が鮮明に書かれている。
一体どこからこんなに情報をかき出してきたのだろう?
しかもその中にはあの女子にラブレターを出したという話が…。
でも、これは違う…これは…!
「これは…下川のメルアドを届けただけじゃないか…。」
「あら?そうなの?もう、わかりにくいことしないでよ~。」
「わかりにくいも何も、そんな情報捕まえてくるな!」
俺はその俺の情報を思い切りゴミ収集小屋に投げ込む。
ちょうど隙間に綺麗に入っていった。
千秋は「あっ」と一瞬声を漏らしたが、
すぐさまもう一枚の紙を俺に見せてきた。
「ぎゃああっ…コピー。」
「あと100枚はあるから。…もしもの時のために。」
「いくらなんでも刷りすぎだっての!」
「まぁ、トイレで紙がないときとかは便利ね。」
「あのなぁ…。」
彼女は「冗談。」と言って軽く笑うと、
さらにもう一枚の紙を見せてきた。
先ほどの素行の続きらしい。
「…マペット・チルドレン?」
「そう、最近噂のこの近くにあるテロリストに近い組織。」
「はぁ…。…どういう事をしているんだ?」
「まぁ、ガキみたいな事よ。
女子高生のてんで出来の悪い集団が作った組織。
万引きとか、援助交際とか、そんな感じかな。」
紙にはマペット・チルドレンの詳細が載っている。
人数は大体50人程度、
頭脳明晰な女子高生もいて、かなり危険度は高い。
警察も調査に乗り出すが、
裏では援助交際によるつながりで「橘組」がいるらしく、
捜査は難航している…。
「ふーん…。
で、それと彼女はどう関係があるんだ?」
「まぁー…。簡単に言えば、メンバー。
詳しく言うと、幹部的存在の結構ボス的存在ね。」
「うひょー。見かけによらないねぇ…」
「でしょ?だから危ないのよ。あの彼氏。
彼はサッカー部の竹内 悠人(たけうち ゆうと)。
親は「竹内製作所」の社長。」
「あぁ、知っている。かなり儲けているみたいだな。」
「バックがバックだからねー…。
かなり危ない気がするのよ。」
「それは頭の悪い俺でも何となく分かる気がする。」
「まぁ、早めに手は打っておくべきね。」
「なるほどな。…で、何で俺もこの話を聞いたんだ?」
千秋はくすっと笑って俺を見る。
俺は紙を持つ手が手汗で濡れてくるのを感じた。
まさか…まさか…。
「手伝いなさい。命をかけて。」
「い、…いやだぁ!!!!!!!!!」
『第一章 マペット・チルドレン』
副井は相変わらず平和な街のように見えるが、
これは歩行者の数が少ないからそう見えるだけなのだろうか?
少なくとも、俺はかなり危険な目に遭う予感がする。
「あぁ、せっかくの休みが…。」
「お待たせ♪まぁ、ゆっくりと捜索しましょ♪」
「…(涙)」
「ちょっとぉ、泣かないでよ、男でしょ!」
千秋は俺の腕を引っ張り街の中に入っていく。
そして、そのままスターバックスの中へと入っていこうとする。
「おまえ、何するつもりだ…?」
「いやー、何て言うんでしょう?仲間よ、仲間。」
「あぁ、そうか、二人じゃさすがにな。」
「いやまぁ、犠牲は1人でも良いと思っているんだけどー…」
「…貴様は仲間をそう考えているのか…。」
俺たちは一番奥の席に座る。
すると早くも3人のメンバーがそこに座っていた。
1人はカプチーノを飲む身長180は有ろうかという綺麗な女性。
もう1人はブルーマウンテンをブラックで飲む身長175の男。
100%オレンジジュースを飲む図体の良い身長185の男。
(↑スターバックスにそんな物があったのか!?)
「そうそうたるメンバーをまぁ…。(←身長175の某)」
「身長だけで判断しないでよ。彼らは運動神経も抜群よ。」
「へぃへぃ…。(←運動神経、並の某)」