第二回 『冒険モノ』の罠(2)

さてと、先ほどは「トーナメント」の話をしましたが、
今度は「戦闘シーン」の話をします。



まず一言。



戦闘シーンを書くの、止めておいた方が良いですね。



理由は簡単。



難しいから。



今の冒険モノの小説で戦闘は多いですよね。
でも、みなさんの戦闘は、
まるでファンタジーの武器を使っただけの、
ちゃんばらごっこにしか見えないことが多いんですよ。



みなさんはまず「戦闘」の言葉の意味を分かっていません。

「戦闘」を知りたかったら、
ルール無しの不良の喧嘩に参加すればすぐに分かります。

途中、死にかけたら、そのまま死ぬのが普通。
復活することがどんなにベタな話かが分かります。

あと、弱すぎる自分が強い相手に立ち向かうとき、
戦ってやられるなんてありません。
その前にまず、逃げるでしょう?人間なら本能として。

みなさんは戦闘を乱闘と勘違いしています。

戦闘は逃げることも戦闘です。
相手の攻撃をただただかわすことも戦闘です。
防御だけで相手が去るのを待つのも戦闘です。
相手の言うことをシカトするのも戦闘ですよ?

みなさんは戦闘のバリエーションを揃えていますか?

武器を持つ二人が居たら、そのまま戦わせていませんか?



で、例えその要領が分かっていたとしても、
今のみなさんが戦闘シーンを書く事は出来ないでしょう。

俺もそうだし、みなさんもそうだ。

戦闘には必ず「心理」がつきまといます。
戦闘は「肉体戦」と共に「心理戦」も入るのです。

でもみなさんには戦った経験がありません。
「心理」なんて分かるはずがないんです。
だから、戦闘シーンをみなさんはリアルに出来ないと思います。
たとえ、どんなに「肉体戦」の描写が完璧でも。

俺も、これまで25コの読み切りを書いてきましたが、
戦闘シーンは今でも嫌いです。
このキャラとこのキャラが戦うと、
彼らはどのような行動を起こすか?と言うことを、
いちいち考えないといけないから。

でも、それを考えて書かないと、
ただの駄文の部分になってしまうから。

戦闘は書かない方が良い。

俺はそのことを伝えようと思いました。
まぁ、だからこそトーナメントもおすすめできないんですよね。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第281号
ページ番号
2 / 6
この作品について
タイトル
某の書き逃げ小説講座
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第281号